シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

絶望に効くクスリ

山田玲司というマンガ家の作品、僕は結構好きで、中でも「17番街の情景」が好きなんだけど、あの荒っぽいデッサンの様な画風と熱くてクサいストーリーの中に、作者の陰の様なものを感じて、それがどことなく共感するのかもしれない。
その山田玲司のマンガが、本屋のコミックのコーナーに置いてあった。「絶望に効くクスリ」というマンガ。マンガではあるのだけれど、山田玲司と様々な人との対談をマンガにしたもので、内容は気になるもののコミックとしてはどうなんだろう?別に活字でも良い様な気がするけど。別に僕は絶望してないしなー。650円って微妙な金額だしなー。などと購入をためらっていたんだけど、コミックの帯に「この国がイヤなら捨てちゃえばいいんだよ by 五味太郎」と書かれていて、僕は頭をド突かれた様な衝撃を受けて反射的にコミックを手に取り、フラフラと本屋のレジに差し出し、ついでに図書券も差し出して追金150円で購入するに至った。
僕も小さな子供を持つ身だから、五味太郎の絵本は何度か目にした事が有る。なんとなくほのぼのとする印象を受ける絵を書いている人が、あれほど辛口な人だったとは思いもしなかった。とは言うものの、辛口なのは「大人に対して」だけなんだけど。その意見は「なるほど」と頷くことしきりなんだけれど、この先この国はどうなっちゃうんだろう?という漠然とした憂いに対する明確な答え。「イヤなら捨てちゃえ。」 日本は小さな島国だから、外国に住むという事はとてつもない事に思えてしまうけど、陸続きの欧州なら隣の国に移り住んじゃう、なんて事が極普通に行なわれているのかもしれない(本当の所はどうだか知らないけど)。
分かってはいても社会や既成概念の呪縛から逃れるのは難しいだろう。実際に僕が日本を離れる事はまずないだろうし、何処へ行っても少なからず不平不満は有るだろう。だけど、出来る事なら僕の子供は自由にしてあげたい。その為に、何処でも、どんな状況でも生きていけるだけの術を与えてあげたいと思う。そう思う事が既に親のエゴなのかもしれないけれど。
このマンガ、かなり面白い。