シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

ガタゴト揺られて

岐阜の市内には路面電車が走っている。いや、正確には「走っていた」。赤字経営が続き、路面電車は今日で最終日となった。
奥さんが、子供を連れて路面電車に乗りに行った。何を今更と思いながらも、もう明日以降は乗ることが出来ないと思うと、最後くらいは乗っておこうかと思うのも人情。僕は、もう随分と昔に乗ったきりで、とうとう乗り損なってしまった。
急激な車社会の発達に取り残されてしまった岐阜の路面電車。車社会の発達は、路面電車のみならず、岐阜の市街地をも衰退させてしまった。もしかしたら、路面電車を活用する事で市街地の活性化も促せたかもしれないのだけれど、そういう計画もことごとく流れてしまった。
路面電車はのんびりとしたスピードでガタゴト走る。子供にはさぞ楽しいだろうと思ったら、子供曰く「(遅くて)ちょっとイライラした。」とか。あのスピードが楽しめるのは、大人だからこそなのかも。ゆとりを持てる大人の。それは、もしかしたら快適なラグジュアリーカーよりも贅沢なひと時かもしれない。
路面電車の窓から子供が覗くと、信号待ちのドライバーが手を振る。路面電車で、人がみんな優しくなった。そして、明日からは殺伐とした街並みになる。