シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

武勇伝

本屋のバイク雑誌コーナーで、見慣れない雑誌を見かけた。新刊の雑誌だろうか。手にとってパラパラとめくると、どうも中年世代向け、もっとハッキリ言えばオヤジ向け、といった感じだろうか。まぁ、僕もオヤジ世代なので目を通してみると、某有名人のインタビュー記事があったのだけれど、読み進めていくうちにガッカリした。出たよ。武勇伝が。オヤジの武・武・武勇伝。オヤジの武勇伝にはセオリーがあって、
1 無免許で乗り始めた事を自慢する
2 「昔は相当無茶をした」と必ず言う
3 「周りも一目置いている」と必ず言う
大体この3点を押さえると、ほら立派な武勇伝。僕はそれが大嫌いだ。
無免許で、というのは、昔は交通事情も大らかだったから許されていた事なんだろうけど、それは自慢することじゃない。周りの評価というのも、自らが口にすることじゃない。そして何より無茶した事を誇るのはやめて欲しい。まるで「無茶をしていない人間が情けない」と言っているみたいだ。確かに僕も、若かりし頃は無茶をした。だけどそれは僕自身の基準に照らし合わせると「無茶」なのであって、こういう雑誌や人の話と比較すると全然無茶じゃない。でも、僕が自分の基準以上のそれらの無茶をしようとするなら、きっと今頃生きていないと思う。
何故にバイクに乗るのか。僕にとってのバイクは、楽しく、気持ち良い充実した時間を過ごす為のツールであって、 自らの、また他人の命を危険に晒す為に乗る訳じゃない。周りから一目置いてもらう為でもない。中年になれば、背負うものも大きくて重い。それに対して無茶を推奨するのは、とても大人のする事とは思えないよ。
僕は、いかにリスクを減らし、いかに周りに迷惑を掛けず、いかにして楽しく乗れるかを考えたい。だから、例え情けないと思われたとしても、僕には武勇伝は語れない。