シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

伝わらない「ありがとう」

死んでしまったら、もう2度と会えないんだよね。死んでしまったら、もう2度と話すことも出来ないんだよね。そんなの当たり前の事なのにね。
会社の人が、病気で入院した。僕が今の会社に入ってから、ずっとお世話になっていた人だ。物事を理論的に考える人で、感情的になる事も無くて、でもユーモアがあって、色々なことを教えてくれて、会社の中では一番大人で、あの人は僕の目標だった。会社でマニアックな話ができるのも、あの人だけだった。パソコンを教えてくれたのもあの人で、お古のパソコンをくれて、あの人が居なければ僕は今こんなブログなんて書いていなかったかもしれない。
容態が急変したと聞いたのは、朝だった。慌てて奥さんに、お見舞いの品を用意するようにメールをした。こんな日に限って仕事が長引く。やっと仕事を終えたのはもう面会時間を過ぎた頃で、それでも何とかならないかと病院に駆けつけた。一言お礼を言わなきゃ。
「ありがとう。僕は会社に入ってから、あなたが目標だったんですよ。いろいろ教えてくれてありがとう。いろいろ親切にしてくれてありがとう。」
直接会って、自分の口で、自分の思いを伝えなきゃいけない。自分で言わなければ、何も伝わらない。夜間通用口から病室に向かうと、病室の電気は消えていて、すでに入口の名札も外されていた。
バカだよなぁ。ほんとバカだよなぁ。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。
時間はいくらでもあったのに。
話したいことが、まだまだ一杯あったのに。
こんな事なら・・
今更後悔したって仕方がないのに。
だけど、こんな事なら・・
後悔してもしきれませんよ。
あなたは最後まで大切なことを教えてくれましたね。
だけど、僕の「ありがとう」は、もう2度とあなたには伝わらない。
ほんとうにありがとう。
そしてほんとうにごめんなさい。