シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

何の為に

彼が入った大手メーカー、転職の時に僕はあえて入らなかった。大手には大手の良さが有り、そして大手故の苦労もあるはず。中小は中小の良い所があり、悪い所もある。きっと僕が知らない所で、彼もまた揉まれて苦労してきたはず。
結局、僕が一番悔しいのは「金が全てじゃないよ。」と、言い切れなかった自分に対して。仕事として働く以上、賃金が目的なのは当たり前で、所帯を持ち、子供も居れば賃金は最も重要な要素だ。だから、それは詭弁で綺麗事なのかもしれない。でも、それだけじゃない。負け惜しみにしか聞こえなくても、少なくとも僕にとってはそれだけじゃない。
そもそも、僕は今の倍の賞与を要求出来るほどの仕事をしてるのだろうか。自信といっても所詮は狭い工場内だけの話で、世間では通用しないものかもしれない。大口をたたくのは、今するべき事じゃない。
夏休みの工作で、子供が貯金箱を作ると言う。僕はハンドドリルに4.2mmのキリを付けてカプセルに穴を空け、そのまま横に移動させてコインの投入口を空けてあげた。子供達は好奇の眼差しで食い入るように僕の作業を見てる。僕の仕事は地味で目立たないし、成果も分かりにくい。でも、分かる人にだけ分かってもらえたらそれで構わない。そして、相応の給料が貰えたら良い。
お金だけじゃなく、地位や肩書きの為じゃなく、誰かに褒めて貰いたいからじゃなく、ただ自分で納得できる様に。僕は今日も汗と油と埃にまみれてます。