シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

ため息

ウチの長女は僕に似てる。不器用で、要領が悪くて、マイペースで、いつも余計な一言を口走って、何度言われても忘れてしまって、好きな事には没頭するけど興味が無い事は上の空で、どこまでも真っ直ぐで、まるで昔の僕みたいで。
奥さんがコミックの「ハチミツとクローバー」の9巻を買ってきた。そこで森田の父親のシーンがある。才能のある技術屋として。僕はあんな大人になりたかった。唐突で、素っ頓狂で、綱渡りみたいな毎日なのにそれを平然とサラリとこなして、周りからも一目置かれる、技術屋というよりは芸術肌みたいな。確かにそういう人は居るんだ。とっぴも無い様で、でもいつもちゃんと結果が付いてくる人。だけど、僕は「根岸のおじさん」だった。
娘を見ると、人は生まれながらにして既にほとんど性格が決められている様な気がする。僕は森田を目指したけど、無理だったよ。生まれ持ったものを変えるのは並大抵のことじゃないし、何処かに必ず無理が出る。ならば自分の出来る事を何か、と思っていたけれど、根岸のおじさんは報われなかった。
不器用で平凡な人間は報われないものなのかな。「無いものねだり」と言ってしまえば簡単だよね。
ため息がこぼれた。