シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

免疫の無い男

奥さんの友達が結婚することになった。今まで色々あっただろうから、幸せになって欲しい。と思ったけれど、幸せって何だろう?
学生の時、バイト仲間から「こときち(仮名)は、聞かなくて良かったよ。」と言われた事を思い出す。みんなは、新しくバイトに入った女の子と飲みに行った。僕は呼ばれなかったのか、用事で行けなかったのか覚えていないけれど、僕の居ないその席で女の子の意外な一面(要はきわどいエロ話)で盛り上がったらしい。でも、僕はそういう事には免疫が無いからきわどい話を聞かなくて良かったね、と言いたかったらしい。多分深い意味は無くて、言った本人は既にそんな事を言ったことすら覚えていないかもしれない。だけど、バイトを始めてから結構経っていたし、そろそろ世間知らずから脱しつつあるかと自分では思っていたから、その言葉は突き放されるようで僕にはショックだった。僕だって際どいエロ話には人並みに興味があるし、そんな事を聞いたくらいで鼻血を出したり、テーブルを叩いて熱く論じたり、股間を押さえてうずくまったりしないのに、いや、酒の席では微妙に引いてしまうよりはその方が良いかもしれない。やっぱり酒の席には「呼ばれなかった」のかもしれない。結局僕は免疫が無いまま、免疫が無いと思われたまま今に至っている。
結婚し、子供を育て、幸せな家庭を築こうとするのは、そういう世間知らずで頼りない僕でも立派に家庭を持つことが出来るということを証明したかったからかもしれない。証明することで、自分自身が安心したかったからかもしれない。だけど、いくら僕が立派なものを積み上げたとしても、基礎は頼りないままだからいつもグラついて揺らいでる。それは無いものねだりなんだよ、と言われればそうかもしれない。でも、今でも僕は「つまらない生活を送ってきた免疫が無い男」に見られるんだろう。
今更誰がどう見ようが構わないんだけどね。だけど、平穏に見える家庭を持つことや、金銭的に豊かな生活を送ることが必ずしも幸せでないかもしれない。結婚して無理して互いにすがりつくよりも、1人の方が幸せな場合もあるだろうし、金が有っても幸せじゃない人も居れば、金が無くても幸せな人も居て、一体何が幸せって呼べるんだろう。
「幸せ」の定義なんて曖昧で人それぞれだろうけど、一生懸命生きることが出来て、自分を必要としてくれる人が居ることが幸せなんじゃないかと思う。だから、幸せになってください。と言うよりは、一生懸命生きてください。と言うべきなのかもしれないけれど、免疫の無い男が言うには少々説得力が無いみたいです。