シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

決断

僕のバイクのお師匠さんが、京都に行くと言う。京都にあるトライアルショップに行きたいから一緒に(君の運転で)行こう、と言う。そんな訳で、むさいオッサンが2人軽自動車に乗り込んで京都くんだりまで出掛けたのだけれど、お師匠さんが求めていたパーツは無くて、代わりに店員さんに「TLM(ホンダのトライアルバイクTLM220R)にお金掛けるだけムダですよ。」と言われる始末。それは侮辱でも商売でもなく、ただ単に古いマシンと新しいマシンでは雲泥の差が有るからいくらお金を掛けても同じパフォーマンスにはならず、古いバイクに固執するよりも新しい物を買った方が有意義だ、という至極まっとうな意見。お師匠さんも薄々分かってはいたものの、あからさまに否定されたのはショックだったみたいだ。そして、僕も少しブルーになった。
僕のトライアルバイクは、とても古い。そして、とてもくたびれている。貰ってきてからというもの、直せど直せど次から次へとトラブルが出て、僕はそれを1つ1つ直しながら、一体このバイクはこれだけのお金と時間と手間を掛けるだけの価値が有るのだろうか? でも、それらはきちんとメンテナンスされていない事が原因で起きた必然的なトラブルでしかなく、決してバイクが悪い訳じゃないし。と、悩み続けていた。トライアルの経験者は、みなショップの店員同様「古いマシンは止めた方が良い」と言う。きっとそうなんだろう。僕が逆に尋ねられたとしても、やっぱり「止めた方が良い」って答えるだろうから。
おかしい。好きで乗ってるはずのバイクなのに。好きで始めたはずのトライアルなのに。僕はどうしてこんなにブルーになってるんだろう。バイクに乗る理由って何? バイクを選ぶ時の理由って何? それは「楽しいから」じゃなかったのか。今更新しいバイクを買うのはとても厳しい。だけど、それに見合うだけの楽しさが手に入るのなら、買うべきだ。そして、対価に見合わないなら買わなければ良い。
楽しければ乗れば良い。楽しくなければ止めれば良い。ただそれだけの事だった。結局決めるのは僕でしかないし、とりあえず乗らなければ何も分からないし、何も始まらないんだから。