シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

 車輪

山崎まさよしの「one more time,one more chance」は、難しいです。書店の立ち読みで譜面を覚えるのが<コラ  なので、ヤマハ「ぷりんと楽譜」でBUNP OF CHICKENの「スノースマイル」と「車輪の唄」の楽譜を購入しました。もうぷりんと楽譜のお得意さんです。
スノースマイルは先日書いた通りアルペジオが良い感じの曲で、もう1つ車輪の唄はアップテンポなストロークプレイの曲。僕はBUNP OF CHICKENの熱烈なファンではないので最近まで知らなかった曲だけど、若い2人が駅で別れるという歌詞のようで、聴いていてオジサン目頭が熱くなったよ。
歌を聴いただけで泣けるなんて涙もろいにもほどがあるし、そもそも僕は遠距離恋愛の経験も無いのだけれど、曲を聴きながら昔聞いた話を思い出した。それは彼女が教えてくれた以前付き合っていた彼との話で、その中に遠くへ行く彼と電車で分かれるシーンも有った。僕自身の話ではないから内容までは触れないけれど、「それは何ていう恋愛小説ですか?」と尋ねてしまうくらいの紆余曲折を経たドラマティックな内容で、一通り聞いた後、胸が締め付けられる様な思いと、そして自分には傷つけることも、傷つけられることも、どうしようもないほど苦しむことも無い、あまりに何も無い平凡な生活を送ってきた事に対するやるせない思いが残った。
それは今でも変わらない。あれから10年以上経ち、彼女は僕の奥さんになったけれど、僕は相変わらず変わり映えの無い平凡で穏やかな生活を送っている。だけど、今はそれは必然的な事だったのかもしれない、と思うようになった。僕は感受性が強く、感情移入が激しくて、人の話を聞いただけでその人の心情を察したり、自分自身とオーバーラップさせてしまう傾向があって、つまりそういう心に痛みを負った人の話を聞いて受け止めていればいいんじゃないかと思えたからだ。僕自身が激しい痛みを負っていたら、人の事まで構う余裕がなくなってしまうけれど、何も無い平凡でのほほんとした生活を送ってきた僕にはかなりの余裕が残されているんだと思う。様々な経験が無い分、僕には話を聞いた所でどうする事も出来ないし、的確なアドバイスを与える事も出来ないけれど、そもそも自分の心情なんて自分自身で何とかしなければならない事で、ならば話を聞いて分かってあげるだけで充分なのかもしれない。
あの時、どうして平凡過ぎるくらい平凡な僕を彼女が選んだのか、僕にはよく分からなかった。もしかしたら、そういう事だったのかもしれない。今でも胸の奥が痛むのか、今は幸せなのか、本当のところは分からないけれど、車輪の唄はマスターできると良いな、と思う。