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 絶対、最強の恋のうた/あなたがここにいて欲しい/風味絶佳

絶対、最強の恋のうた

絶対、最強の恋のうた

★★★★★
あらすじ
大野君とミート君の恋の話。それに、キドサンとフジサンとサカモッチーとミッチーが絡んで、最後に少しサカモッチーのその後のエピソード。単行本なので、あらすじはありません。
レビュー
これも図書館でたまたま借りた本です。
久しぶりに良かった。とても良かった。まぁ、要は大学生の恋愛話というただそれだけの話なんだけど、その何気なさが面白い。冒頭部分のスクランブル胴上げからして面白い(本編のストーリーとは無縁だけど、学生の頃ってこういうバカバカしい事に本気になったりするものだし)。
一通りの展開の後、大野君の視点からだった話が、ミート君の中学生時代からの回想に変るんだけど、そういう過去というかバックグラウンドを描く事で今までのストーリーがとても現実味を帯びたものになって、ひとつひとつの描写がドラマや映画の様に頭の中でリアルに描かれます。浮かれて想い合って、そして計画して、セックスのタイミングまで予定立てる付き合いがどうなるんだろう?って心配は有りましたが、そこら辺は読んでのお楽しみ。
二十歳頃の僕は、こんな落ち着いた付き合いも、思いやりも、気の利いた会話も出来なかったな。ただひたすらにハマって(性的な意味じゃなく。それもあるけど。)、抑制が効かなかった。大野君はとても礼儀正しい(?)と思う。
ただ、僕の感想としては最後のサカモッチーのエピソードは大野君でも良かった様に思えます。実際最初はサカモッチーではなくて大野君のその後の話だと勘違いして読んでいてもの凄く切なくなったんだけど、よくよく読んでみたらサカモッチーの話じゃないか。安心した半面、最強のスパイラルの結末がこういうものであった方が現実的な気もします。
いずれにせよ久しぶりに面白い恋愛小説でした。文庫化されたら買うかもしれない。

あなたがここにいて欲しい

あなたがここにいて欲しい

★★★★☆
あらすじ
3編の小説。表題作は、吉田君と舞子さんの恋の話に、又野君とゾウとあんぱんとカマボコが絡んでくる、という様な話。単行本なのであらすじはありません。
レビュー
読みたい単行本の小説が有ったので、市の図書館で探すと貸し出し中&予約多数だったので、他に何か面白そうな小説無いだろうか?と探した本。
やっぱり、この作者が描く二人のやりとりが面白い。以前の作品に比べると随分と普通な感じがするものの、それでもにやけてしまう様な。いけ好かないヤツ、と思っていたのが実は自分がひねてただけだった、なんてのは身をつまされる思い。若い頃ってそういうものなのかなぁ。
ただ、何か強烈なもの、という意味ではインパクトが薄いです。表題作もいいけど、別の短編「ハミングライフ」という作品の方が面白かったかも。
男子五編というのは、多分筆者のエッセイみたいなものだと思う。岐阜県大垣市在住&同年代なので、友人の日記みたいなものを読んでいる様で、これはこれで興味深かったです。

風味絶佳 (文春文庫)

風味絶佳 (文春文庫)

★★★★☆
あらすじ
70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。(本書裏表紙より)・
レビュー
冒頭部部の愛しいものの表現が凄く的を得ていて、興味がわいたので買って読んでみました。
どこと無く不安定で、なんとなく不安で、この先どうなるんだろう?って、ついつい読み進めてしまいます。何という事は無い話なのに、ここまで気がかりにさせる手法が凄い。結果は、「あれれ?」だったり、「ほっ」だったり、「がっかり」だったり、色々ですが、それもまぁセオリー通りの展開じゃなくて楽しめるのでは。