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目指すのはジャンガリアンな生き様

 プール/ノルウェイの森/図書館の神様/ヌルイコイ

プール

プール

★★★★☆
あらすじ
競泳のエース薫と、スキー部の広戸。高校時代と現代とを行き来しながら進展していくストーリー。単行本なのであらすじはありません。
レビュー
以前読んだ「ラブコメ」だったか「ラブかストーリー」だったかで、この「プール」で書かれている一節が出てきます。気になったので図書館で借りて読んでみました。
著者の作品は結構コメディっぽいのが多いのですが、この小説は少々ファンタジックでもあり、結構シリアスです。仲間内に届く謎のラブレター。ラストに明かされる意外な差出人と切ないエピソード。あの時、広戸は薫の手を取り、どういう選択をしたんだろう。

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

★★★★★
あらすじ
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルグ空港へ着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの「ノルウェイの森」が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ二十歳のなろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。(本書裏表紙より)
レビュー
タイトルは以前から知っていましたが、あらすじだけ読んでも内容がサッパリ分からない謎の小説でした。でも、読書のコミュニティで絶賛されたいたので、それなら一度読んでみようかと文庫を買いました。
心に病を持った女性と、それを支えようとする男の話です。舞台は1969年頃だし、執筆されたのは20年位前になるのですが、この心の病、まともな人間とそうじゃない人間、現代に見事に当てはまる内容で引き込まれます。
内容はとにかく緻密で素晴らしい。特に心に問題を抱えた人々の描写が良いです。ちょっと悲しい話ですが、確かに皆が絶賛する理由があります。個人的には最後のレイコさんとのエピソードが好き。

図書館の神様

図書館の神様

★★★☆☆
あらすじ
バレー一筋に打ち込んできたものの、とある事件をキッカケに挫折してしまった「清」(女)と、その赴任先の高校の文芸部の青年垣内。清の弟や恋愛相手の浅見さんらを通して再生していく清。単行本なのであらすじはありません。
レビュー
非常に地味な文芸部(部員は垣内1人のみ)の顧問を押し付けられた全くやる気の感じられない清と、清よりよっぽど大人びてる垣内とのやり取りが面白いです。ヌルイコイを読んだ後だったので、不倫の話も何だか微笑ましいし(笑) なんという話ではないし、起伏に乏しいのですが、面白いことは面白いです。

ヌルイコイ (光文社文庫)

ヌルイコイ (光文社文庫)

★★☆☆☆
あらすじ
夫とのすれ違いの生活。妻子ある、冷たい先輩童話作家との不倫。マンションの給湯設備が壊れ、なつ恵は、銭湯に通うようになる。そこで出会う謎めいた青年「鳩」。やがて、なつ恵は死に至る病を告げられ、ますます「鳩」に思い焦がれていく。いわくあり気な老女たちが、ざわざわしはじめる。気だるい愛と不安が漂う日常を、繊細に切なくリアルに描く恋愛小説の傑作。(本書裏表紙より)
レビュー
死を宣告された女と、青年の恋愛。と聞くと凄くベタな恋愛モノって感じがするので買うのを躊躇いもしたのですが、「ヌルイ」のなら良いかもしれない。と、つい買ってしまいましたよ。で、読んでみるとコレが「ヌルイ」と言うより「ユルイ」んじゃないの?というか、だらしない。誠実な夫に対して何が不満で不倫するのか理解できないし、不倫相手にそこまで媚びる理由も分からない。その上「死にそうになったから気になる青年と良い仲になろう」なんて都合良過ぎるんじゃねーの?まぁ死んじゃうなら思い残す事が無い様に好き勝手生きるのも良いかもしれないけど。と、思ってたらあの結末だよ。帯に「直木賞受賞」と書かれてたから、なにか凄く心に訴えかけて来る物があるんじゃないだろうか?と期待したものの、もう呆気に取られちゃって、しばらく放心状態でしたよ。