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目指すのはジャンガリアンな生き様

 初心者を連れて山へ










僕も所詮登山歴3年程のビギナーではあるんだけど、全くの初心者をハイキングではなく登山レベルに連れて行くという経験は今まで無くて、ソロの時とは違った事を色々思ったので書いておこうと思う。




スニーカーはやめた方が良い
まず防水性が無い。出発時は晴れていても途中で雨に降られるという事は良く有るし、雨上がりでぬかるんでいるとか、登山道に水が流れているとか、湧水で濡れているとか、靴が濡れるシチュエーションは沢山出てくる。ただでさえ歩き慣れていないのに靴が濡れない様に気を遣いながら歩くのは疲労させたり怪我をさせたりしかねない。
あと、スニーカーのソールはフラットで滑りやすい。滑りやすい靴で歩くと非常に疲れるし、疲れた状態で滑ると怪我をしやすい。歩きなれていなくて疲れやすい初心者を、更に疲労させてしまう。
トレッキングシューズと言っても1万円位はするので、登山を続けるかも分からない初回から用意するのは難しいと思うけれど、山を繰り返し登る機会(当人のモチベーション)が有るなら防水で滑りにくい靴を履いた方が良いと思った。また、軽装での日帰り低山であまりに本格的な登山靴を買うのも逆に歩きにくくするのでやめた方が良いと思う。それらのメリット/デメリットを承知の上で歩き慣れた人が履く分には、何を履いて歩いても良いと思う。今回も完全なトレランシューズを履いている人をちらほら見かけたし、状況や人に合わせるという事で絶対ではない。




歩くペースは遅くても良い
独りの時はがっつり歩きたいから、なるべく他の登山者とカチ合わないルートを好んで選ぶ。他人に左右されずマイペースで歩けるのはストレスが無くて良い。だから登山者がとても多いルートを、ペースの遅い初心者を連れて歩くのはストレスを感じるんじゃないかと思っていたんだけど、そんな事は全く無かった。ペースが遅いから抜かされる事は有っても先行者を抜かす事がほとんどないから、ほぼマイペースで歩く事になる。道を譲る際に止まるけど、元々ペースが遅いから多少止まった所で大して変わらない。そんなスローペースでも、慌てずに登って帰って来れるだけの行程を考える必要はある。同伴者が居ると登山者が多いメジャーなルートでもストレス無しに歩けるという事は、ちょっと驚きだった。




ルートや天候をよく考察する
初心者で状況に対応する能力が低いから、なるべく良い状況の時に、良いコースを選定したい。だから天気予報を見ながら状況を推測したり、コースタイムや距離、累積標高、路面状況などを調べて初心者でもクリヤできるかどうか考えたり、不測の事態に対応出来る様に考えたり準備したりする。独りの時はより過酷な状況を好んで選んで「ダメなら諦める」というスタンスだし、多少天候が悪くても「それも経験」と歩く事が有るけれど、初心者同伴だとそんな苦行じみた登山なんか連れて行けない。だから初心者同伴ではつまらないかと言えば、身体的な負担以外に色々考えさせられるし、同行者が体力が無い分装備の負担が掛かるから、特にそうは思わなかった。




経験している事は大事
危険な鎖場は誰でも危険を実感するだろうけど、濡れた岩や木の根が滑りやすくて呆気なく転ぶとか、歩き方で足を痛めるとか、どの程度の強風まで耐えられるのかとか、雨や汗で濡れるとどうなるのかとか、山頂はどれくらいの気温でどれ位の衣類が必要だとか、そういう事に抜かりなく対処出来てトラブルに発展させないというのは、今までの経験が大きかった。ロープウェイが止まるような強風のなかを歩くのは何も知らなければ恐怖でしかないし、引率者が不安がっていたら同行者も不安になる。これは大丈夫、これは危険だからやめる、という的確で確固とした判断が出来ると安心する。本当なら終日晴れて穏やかな日に登るのがベストだけど、山は天候が変わりやすいし、何時どんな状況に置かれるかは分からない。そんな場合でも、虚勢や無謀ではなくて冷静で客観的な判断として。あと、状況的にも体力的にも僕にはかなり余裕が有って、自分が一杯一杯の状態じゃないから充分にフォロー出来るというのも良かった。





これは僕が自分の子供を連れて行った時の感想で、他の人が引率する場合とか、僕が他の人を連れて歩く場合などでは、また違った感想になると思う。2人以上で歩いていてもペースの遅い人を置き去り気味に先行してしまう人は良く見かけるし、コースの選定も「自分が選んだコースについてこい」というスタンスの人も居るだろうから、連れて行く側、連れて行ってもらう側の人それぞれに良い山行/悪い山行は有ると思う。
僕は普段あまり人に意見するタイプではないんだけど、自分の子供である事と、圧倒的な実力差が有る事から細かい所まで指示を出しやすかったというのは良かったかもしれない。相手が中途半端な立場の人だと、「そこまで言うべきなのかな?」って悩まされそうだから。

とりあえず、僕はこんな風に思った。ただがむしゃらに歩きたいっていう思いから少し変わってきたのかもしれないし、今回はたまたまそう思っただけなのかもしれないけど、ズブの初心者を連れて行くのも結構楽しかった。連れて行かれた側はどうだか知らないけど。




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