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目指すのはジャンガリアンな生き様

 何で日帰りジャンダルム?










何で日帰り?
まず、あんな険しいルートを日帰りで歩く事を推奨している訳ではないし、速く歩く事が偉い事だとも思っていない。険しい岩山を登る事は他よりも偉いとは思わないし、西穂高岳奥穂高岳の登頂も特に興味は無かった。僕はただあの険しく厳しい岩稜の縦走路を歩きたかっただけで、その為に必要な条件が「日帰り」だった。

昨年ひょんな事から剱岳に登ってしまって、さて僕の今後の目標って何だろう?って考えた時に、最高難易度の岩稜で名高い、西穂高岳奥穂高岳間の縦走路(途中のジャンダルムが有名)を歩いてみたいって思った。でもコースタイムを見る限りどう考えても1〜2泊しなければ歩ける場所じゃない。加えて、僕が一般的なコースタイム以上のペースで歩けるのは荷物が軽いからであって、僕の体力では泊り(縦走)装備を担いではペースを上げられないし距離も稼げない事を痛感した。剱岳を登頂出来たのは、手ぶらに近い軽装で登ったからだ。剱岳以上と言われる西穂〜奥穂間を縦走装備で歩くのは僕には到底無理だ。この先いくら頑張った所で僕の身体能力が劇的に向上するとは思えないし、逆に年齢的に衰えていくばかりで、だからジャンダルムは単なる憧れでしかなかった。

西穂〜奥穂間の縦走は全く考えていなかったんだけど、次のテン泊は何処にしよう?って考えている時に、新穂高ロープウェイを使えば西穂〜奥穂間を日帰りで歩けるんじゃないかって気付いた。他の人の記事を見ると確かにあのルートを日帰りで歩いている人はほどほどに居る。日帰りの装備なら僕でも険しい岩場を歩く事が出来るんじゃないかな。ロープウェイで上り、西穂〜奥穂の順で歩けば麓から登らなくても良い分体力的には余裕が出来るから、岩稜ルートだけに集中出来る。下りのルートが長くなるけど登りが長いよりははるかに楽だろう。乗り物に頼って登るのが登山なのか?とか、シーズン中は混雑するとか、ロープウェイはあんまり使いたくないんだけど、あの険しい縦走路を歩く事が出来るのならロープウェイを使ったって構わない。つまり、僕にとって西穂〜奥穂縦走する為には、ロープウェイも日帰りも必然だったんだ。




実際に歩いてみて思った事
バリエーションルートと言われているけど一応登山道で、歩く(よじ登る?)ことが出来る。例えば剱岳のバリエーションルートの様にロッククライミングの技術や道具が必須なルートではないという事から、多分にっちもさっちも行かなくなる程の困難な岩場は無いだろうと思った。ロープウェイで上る事から、時間さえ余裕が有れば体力的にも歩き通せるだろう。だから僕が一番問題視したのは、条件が良いかどうか。
僕が今までの経験上本当にヤバい、これは遭難するかもしれないって切迫して思ったのは、立山で経験した暴風雨だった。真剣にビバークの覚悟をしたのはあの時だけ。夏山のルート上で、これは危ない、これ以上進むと滑落するかもしれないって真剣に危機感を感じたのは、木曽前岳の藪のトラバース路だった。有名でもなければ険しい岩稜でもない。つまり、難しいのは岩場ではなくて、難しい時に歩くから難しいんだと思う。条件が悪ければ、普段危険じゃない所でも危なくなる。今回は週末にかけて台風が接近する予報だったから強風が心配で、とりあえず西穂高岳を目指してみて状況を見て進むか引き返すか判断しようと思っていた。幸いほとんど無風状態で問題無く歩くことが出来て、岩場でどうしようもない程困難な状況にはならなかった。それよりも延々と続く岩の稜線は感動的だった。

中央アルプスで2〜3泊程度は必要だと思われるルートを日帰りで歩いている人と出会い、前回は苦行の様なテン泊装備を担いでのろのろと一杯一杯で歩いて、一体僕は何がしたいんだろう?って思った。登頂が目的なのか?テン泊が目的なのか?誰かに凄いって言われたいのか?  中央アルプスの素晴らしい稜線を歩いて感動して、僕はやっぱり稜線を歩きたいと思う。一番重要なのは、テントでも登頂でもない。ただ稜線を歩きたい。その為に必要であれば、登頂するしテントも担ぐ。今回必要だった要素はロープウェイと日帰り装備だった。だからそれを選択した。延々と続く岩稜を歩くのは至福のひと時だった。
だけど、今回本当に楽しそうに満喫している青年二人組を見て、穂高岳山荘泊りだったならもっとゆっくりとあの岩稜ルートを満喫出来たんじゃないかって残念に思った。小屋泊りなら日帰り装備と大差無い重量に抑える事が出来るだろうから、ロープウェイで上って西穂〜奥穂縦走、穂高岳山荘泊、翌日奥穂〜西穂へ引き返してロープウェイで下山、という全くのピストン出来たら素晴しい。麓からのえげつない登りも下りも経験する事なく2日間あの岩稜ルートを満喫出来るなんてスバラシイ。この場合の問題は、金と時間かな。機会が有ればやってみたい。







オマケ
参考と情報集めの為に他の人の山行記事を見ている時に、中学生くらい?の女の子2人とこの縦走路を歩いたお父さんの記事を見かけた。子供といっても中学生位になれば運動不足の40オヤジなど圧倒してしまうだけの身体能力が有るけど、女の子を連れてあのルートを歩くのは凄いと思った。それは子供の事を信頼しているお父さんと、お父さんを信頼している子供の関係が。ソロの山岳テントに親子3人で泊まったり、そこまで信頼されるお父さんって一体どんな人なんだろう?











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