シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

 白山(御前峰・剣ヶ峰周回) 平瀬道から








コースタイムや状況、使用道具類等の情報は、今後の私的なデータベースとする物で一般的には信頼性に欠ける物です。参考にされる場合は充分注意して下さい。




はじめに
剣ヶ峰に登る一般登山道は有りません。登山道以外を歩く事が良いのかどうかも微妙です。剣ヶ峰に登る人は居る様なので、この辺りは暗黙の了解というかグレーな範疇なのかもしれず、そういう記事をアップするべきではないのかもしれません。では何故そんな記事をあえてアップするのかと言えば、そういうちょっとイレギュラーな登山をしたい人も稀に居るのではないか、でもそんなイレギュラーな山行記事はなかなか無くて情報が得にくいのではないか、という事から参考までにアップしています。それは僕自身が欲しい情報だから。なので、「チン寒なルートなんて興味ねえよ」っていう人はそのままそっとページを閉じて頂き、「チン寒にチャレンジしてみたい」という人は適当に参考にして頂き、「オレはもっと凄いチン寒を知っている」という人はこっそり教えて頂けたら幸いに存じます。
一応「岩場を歩いて草木は踏まない」という事を念頭に、自分が歩く事で自然に対してダメージを与えない様に気を付けています。一般登山道の様に誰もが歩ける様に整備されている訳でも無く、いつでも誰でも歩いてOKという訳でもないという性格のものである事をご承知おき下さい。







2015年10月4日(日)雨のちガスのち晴れ
平瀬道で白山(御前峰)に登る。のち剣ヶ峰周回。






05:45 駐車場 無風 6℃
07:30 大倉山避難小屋 微風 5℃
08:45〜09:15 室堂 弱風 3℃
09:45 御前峰 やや風強い 2℃
10:25 翠ヶ池手前尾根取付 弱風 2℃
10:45 剣ヶ峰 強風 1℃
11:10 御前峰 弱風 3℃
11:45 室堂 弱風 8℃
12:50 大倉山避難小屋 無風
14:15 駐車場 無風 13℃









駐車場発〜駐車場着 15.6km 6時間40分(休憩含む)
駐車場標高:1263m 最高点:2702m 標高差:1439 累積標高登り:1572m
道中の飲料水 1.2L(お茶1.0L コーヒー0.2L)
着衣(上) 長袖シャツ カッパ ウインドブレーカー(未着用) マイクロフリース(未着用) ULダウン(未着用) 防水防風パーカ(未着用)
着衣(下) 化繊のズボン(中厚) カッパ
靴 トレランシューズ
他 ヘルメット グローブ





そろそろ遠方の高山は厳しくなってきたけど、白山の平瀬道が歩ける様になったのでシーズンオフになる前に白山に登る事にする。白山と言えば御前峰なんだろうけど、個人的には白山は剣ヶ峰が一番面白い。ただ、前回剣ヶ峰に登った時は意外に呆気無かったからもう少し違うルートを考えてみた。





アクセス
岐阜方面からだと、国道156号を北上。国道158号との三叉路を左折して国道156号のまま。白川郷の看板を目指して走ると分かりやすい。御母衣ダムを過ぎると白山公園という看板が有るので左折。林道を13kmほど走ると白水湖畔の駐車場に着く。林道はすれ違い困難な細い林道でカーブミラーは乏しい。日中は対向車に注意。





今回のルート
山旅ロガーでGPSのログを取り、カシミールで表示させています。
GPSのデータはこちらから。
参考
丁度1年前に剣ヶ峰を登っています。
http://d.hatena.ne.jp/single779/20140928











0時頃着いて仮眠する。御嶽山でとても寒い思いをしたから、今回は自宅用の厚い毛布+キャンプ用のシュラフ+タウン用ダウンを着て寝たけど、丁度良い位だった。朝めっちゃ寒い。登山者は多くて駐車場は一杯。暗いうちからライトを点けて登る人が居る。日照時間が短くなって長い行程が難しくなってきたけど、順調に歩けばさほど時間は掛からないと思う。明るくなってからスタートする。






木製の階段の資材が置いてある。登山道整備の工事をしているらしい。結構大変そう。入山料徴収しても良いんじゃないの?






白水湖が見える。視界は良いけど雨が降ってきた。カッパ着ないと濡れるレベルだからやむなくカッパを着る。予報は午後から晴れだったから午前中の晴れは期待してなかったけど、まさか降られるとは思わなかった。テンションガタ落ち。






1時間45分で大倉山避難小屋。雨は上がったっぽいけど、御前峰方面は完全にガスってる。






神々しい光景よりも晴れた方が良いんだけど・・






紅葉のカンクラ雪渓。日が差したりガスったり目まぐるしい。






終盤の階段が、めっちゃしんどいんだけど。歩きやすいけどペース上がらない。






御前峰は稀に顔を出す位で終始ガスの中。






ハイマツの林を抜けて歩いていると、ガスの中から不意に室堂ビジターセンターが現れる。朝から登山者多い。恐らく時間が経過するほど天候は回復しそうだから、屋内のベンチを借りて、濡れたシャツを着替えて軽く食事を摂る。






室堂で30分程待ったけど御前峰は相変わらずガスってる。仕方が無いのでとりあえず登る。道中はガスって眺望は得られず画像無し。






御前峰はやっぱりガスの中。困った。御前峰から剣ヶ峰に向かうルートを見極めたかったのに、これでは全然分からない。数秒だけガスが切れて、剣ヶ峰と御前峰の北斜面(剣ヶ峰方面)が見えた。歩けそうなのは分かったけど、すぐにガスに飲まれてしまう。ルートでもないし、マーキングも無い様な斜面を視界不良の中歩くのはちょっと無謀だよな。しばらく粘ってみたけどガスが晴れないのでとりあえず以前歩いたルートで剣ヶ峰を目指してみる。その間に天気が回復するかもしれない。






登山者の合間を縫って、御前峰の石柱脇を通って翠ヶ池方面へ下る。御前峰を過ぎると登山者は一気に減る。






ザレた斜面をジグザグと下る。晴れていると良い眺めなんだけど。






ガスっているものの、視界はそれほど悪くない。前回は剣ヶ峰脇の池の手前(南)から取り付いたけど、今回は翠ヶ池寄りの痩せ尾根から登る事にする。見た感じ歩けそう。






目指す剣ヶ峰。尖って見えるのは剣ヶ峰ではなく、剣ヶ峰の西の岩の頂。






痩せ尾根に入ると、あれれ?何だかトレースっぽいのが有るんだけど。もしかして結構歩かれてるんじゃねーの?






ガス晴れてきた。序盤はイージーだけど、終盤はなかなか険しそうだよ。






翠ヶ池、超綺麗。






尾根から御前峰。室堂方面から見た感じとは全く違う荒々しさ。火山の痕跡かな。






岩の尾根を詰める。手前の岩はどうする?右に巻くのか左に巻くのか。もちろんマーキングなんて無い。






見た目の印象よりは歩きやすい。でもこの先に「こりゃヤベーよ!」っていう個所が有ったりもする。






歩いてきた尾根を見下ろしてみるけど、何だか良く分からないね。






すごい。向こうの池まで見渡せる。絶景。






この岩はそのまま直登か。そもそもルートというルートなんて無いから、自分が「登れる」と思うルートを選んでよじ登る。






去年歩いた南から巻くルートと合流する。いや、ルートって言えるのか分かんないけど。






剣ヶ峰山頂から歩いてきた岩稜。取り付いてから山頂まで20分程。僕には最後の大岩が一番難関だった。






剣ヶ峰は風が強くてのんびりしていられない。御前峰に向かって登り返せないか眺めてみる。御前峰から見下ろした感じでは東(この画像では左寄り)の方がなだらかで歩けそうな感じだった。岩ガレの斜面を直登し、東寄りに巻いて登ってみる。






剣ヶ峰からも御前峰方面に向かって下れそう。画像で見ると「いやいや、これは歩けんやろ!」って思えるけど、実際に見るとそうでもない。






ザレた斜面よりは大きな岩の上の方が歩きやすい。これ位なら歩けるよね。






でも下ってきた斜面を見上げると、おいおいこれ登れるのかよ?って思える。






もうすぐ下りきる。手前の大岩が邪魔なので巻いて行く。






下ってきた剣ヶ峰。御前峰から見た印象よりは登れそうかな?って思える。かも?






下って大汝峰方面を望む。






御前峰に登り返す。歩きやすそうな所を適当に。






岩ガレの斜面を登って






東寄りのなだらかな斜面に取り付き






御前峰まで登り返す。剣ヶ峰の難関の岩場(左)と、下ってきた斜面(右)。良かった。とても面白かった。






御前峰で小休憩して下る。時間的にも体力的にもまだ余裕が有ったのでお池巡りして室堂へ戻りたかったんだけど、今回は剣ヶ峰を歩けたのでヨシとする。最初に御前峰から剣ヶ峰に向かえたなら、そのまま翠ヶ池からお池めぐりコースで戻れて無駄が無かったんだけど天気が悪かったから仕方が無い。






室堂で小休止して下山する。室堂付近は平坦で開放的だけど、室堂で幾つかのルートが交錯する。下山時に変な方へ行かない様に。






下山したら晴れるんだもんな。御前峰から平瀬道に、室堂を経由せずに登り下り出来そうだけど、草木が生えているので歩けるのは残雪期かな。






南へ向かう縦走路分岐。良いね。






尾根に向かって下っていく。登りは天気が悪かったけど、下りは晴れて良い眺め。






平瀬道は歩きやすくて気持ちの良い登山道。唯一ここがチン寒なくらいかな。






紅葉、御前峰、カンクラ雪渓。





紅葉と三方崩山。






別に紅葉が見たかった訳じゃないんだ。紅葉ってみんなで眺めて、「わぁ綺麗だね」「赤いよ」「黄色いよ」「緑だよ」「緑は紅葉じゃないよ」「そうだね」「あはははは」ってうきうきわくわくするのが正しい紅葉イズムな訳で、独りで黙ってシャッター押していても「あれ?おかしいなピントが合わないや」って溢れる涙を堪え切れない訳で。






まぁ綺麗だから良いんだけどさ。紅葉に包まれた避難小屋。






歩いた御前峰と剣ヶ峰。






開放的な尾根を下り






明るい雑木林を抜けて






下って来た。紅葉の時期の週末だからか、登山者の車は多くて路駐までしてた。もう少しの間紅葉が楽しめそう。





ルート
平瀬道(白水湖〜御前峰)
よく整備された登山道。開放的な尾根を歩く。険しい個所や急登はほとんどなく、全般的に歩きやすい印象。白山の登山道の中では比較的登りやすいルートみたいだけど、そこそこ距離が有るので日帰りで歩くなら程ほどに体力が有る人じゃないと厳しいと思う。


剣ヶ峰
一般的な登山道としては整備されていない。歩きたい人が適当に歩いている印象。山行記事にもあまり上がらないけど、歩いている人はそこそこ居るみたい。池の南側から剣ヶ峰南斜面を登るのが最も歩きやすい印象。薄いトレースは有るもののマーキングは無いので自分自身でルートファインディングしていく必要が有る。ヘルメットは必須。個人的には少し行程が短過ぎて物足りなさを感じるけど、日帰りの白山で岩登りを楽しめる点は満足。






感想
前回剣ヶ峰に登った際、御前峰から剣ヶ峰方面を眺めた時に御前峰北斜面が歩けるんじゃないかと思った。今回は御前峰から剣ヶ峰まで一直線に結んで歩けないか?という試み。御前峰から覗いて「歩けそうだな」なんて考えてしまうのが既におかしいやろって気もしなくもないけど。
登山道ではない所を歩くというのは、登れるのか登れないのか、どういうルート取りをするのか、そういった全ての判断を自分自身が下さなきゃいけないし、登れるという保証もない。それは精神的なプレッシャーになる反面、綺麗に整備された登山道を歩くのとはまた違った醍醐味でもある。それが良いとか悪いとか、偉いとか劣るとかそんな事ではなくて、ただ綺麗に石を敷き詰められた階段で登る御前峰に立っても楽しくなくなってしまったんだ。人それぞれ、幾つも有る山の楽しみ方の1つとして、変わったアプローチに興味が沸いてしまった。登山を始めた頃は自分の限界を手探りしている状態だったから、一般的な登山道をなぞるだけでも充分にスリリングだったし、今でも誰かと一緒に歩くのならそれでも充分楽しめると思う。ただ、独りで歩くには何かが足りない。今後何を目標にしていくのかはまだ分からないけど、登山以上クライミング未満というレベルが今は一番楽しいと思う。
穏やかな晴天の日中は過ごしやすいけど、10月だと相当冷える。今回は不意に雨に降られて、防水の手袋を用意していなくて失敗した。風が有ると耳が冷たい。耳当て付きの帽子とかフード付きのジャケット等は必須。正規ルートじゃない所を歩く事から行動不能に備えてありったけの衣類を持っていったけど、それら全て着ても僕は山頂付近で一夜を明かせる自信が無い。




オマケ

室堂の神社は閉まっていてお守りは買えなかったんだけど、代わりに室堂で買ったどんぐりストラップ(300円)と、どんぐり木鈴(500円)。どんだけどんぐり好きなんだよ!ってのはさて置き、山小屋のお土産にしては破格値じゃない。ビール呑む位ならみんなどんぐり木鈴買うよな。沢山残ってたけど。
熊鈴は用意したけど、今回は登山者はとても多そうだったから持って行かなかった。熊避けという意味合いよりも、登山者に自分の存在をアピールする意味合いの方が大きい気がする。うつむいてはぁはぁ言いながら登ってきたり、前を歩く人に追い付いてしまったりした時にビクって驚かれても困るし。でもチリンチリン鳴らし過ぎるのも煩いし、中央アルプスではおじさんに「ここに熊は居ませんよ」って忠告されたし、確かにうざったいかもしれない。でもどんぐり木鈴は木製だからコロコロと穏やかな音色で威圧感が無い。熊には効かないかもしれないけど、登山に持って行くには良いかもしれない。