シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

 それからはスープのことばかり考えて暮らした 吉田篤弘










路面電車が走る町に越して来た青年が出会う人々。商店街のはずれのサンドイッチ店「トロワ」の店主と息子。アパートの屋根裏に住むマダム。隣町の映画館「月舟シネマ」のポップコーン売り。銀幕の女優に恋をした青年は時をこえてひとりの女性とめぐり会う―。いくつもの人生がとけあった「名前のないスープ」をめぐる、ささやかであたたかい物語。
★★★☆☆




レビュー
下町のサンドイッチ店と寂れた映画館を取り巻くゆるい物語。ゆるいのは僕は嫌いじゃないからまぁ良いんだけど、どうにもフィクション感が強いというか物語感が強いといういか、感情移入はしにくかった。多分、綺麗で都合が良過ぎるからじゃないかと思う。登場人物は皆良い人過ぎるし、映画館の描写に力を入れるよりはリツのお母さんをもう少し丁寧に仕上げた方が説得力が有る様に思えるんだけど。「チェリー」と「昨夜のカレー、明日のパン」を足して2で割って3を引いた様な印象。読みやすく長くないのと、毒が有る人物や描写は無いので穏やかでゆるい話が読みたい人にはお勧めだけど、読み応え感は薄め。









チェリー

チェリー