シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

ドキドキは何処だ?

 

 

 

好天の週末。暑くもなく寒くもなく、何をするにも良い季節。そして僕の手元にはきちんと整備され車検を通したバイク。これで乗らない理由を探す方が難しい。なのに、乗らない。何故だろう?どうしてバイクに萌えないんだろう?って自分なりに考えた末に、それは

 

「(このバイクでは)ドキドキが足りないから」

 

だという事に思い至った。バイクの危険性と疾走感でドキドキが足りないというのも少々的外れな気もするけれど。

僕が乗っているのはヤマハのSRX-6という単気筒エンジンのバイクで、既に製造から28年も経ってしまった古いバイクなんだけど、これはこれでとても良いバイクだと思う。だからこそいまだに手元に保管し、朽ち果ててしまわないように維持してきた。飛ばしても流しても楽しいし、のんびりツーリングしてもワインディングを走っても楽しい。だけど、このバイクでドキドキ感や爽快感を得ようとすると、かなり狭い範囲に限定されてしまうし、一歩間違えば死んでしまう領域に踏み込んでしまう。大げさな話ではなく、バイクなど一回飛んでしまえば呆気なく死んでしまうものだ。過去に二度ほど飛んだ事が有るけれど、今五体満足で普通に暮らせているのは相当運が良かったと思う。

これがもしオフロードバイクだったなら。でもオフロードバイクでもある程度乗れる様になるとやはり限界が高過ぎてリスキーになる。じゃあ足かせで限界を下げる為に乗りにくいバイクにしたらどうだろう。いや、もっとハードにトライアルバイクにした方が楽しめるんじゃないか。でもトライアルバイクって本当にトライアル以外何も出来ないし。と、結局僕が今まで辿ってきた事を繰り返すだけじゃないか。それは今までやってきて納得した事だった。ちなみに、僕が乗ってきた中で一番衝撃的でドキドキしたバイクは、免許を取って初めて乗った250ではなく、1100cc145psのリッターバイクでもなく、200ccのイタリア製トライアルバイクだった。あの衝撃的な感覚は乗った人でなければ分からないと思う。

そういう考え方は結局僕自身の根本的な願望の様で、山登りでも同じ事をしようとしている。始めた頃はただ歩くだけで楽しかったし、満足出来たし、自分の技術や限界、道具類も貧相だったから無理も出来なかった。ある程度経験を積んで道具を揃えてくると、普通の登山道を普通に歩いているだけでは物足りなくなってきた。

例えば仲間と一般的な登山道で山登りするのはバイクでいうツーリングにとても似ている。仲間と目的地を目指してわいわいやりながら道を辿る。ワインディングやオフロード、トライアルは何だろう。岩場や沢登り、クライミングみたいな、もう少し突き詰めたものだろうか。

僕にとって登山は有名な山に登りたいとか、良い景色を眺めたいとか、そういう事ではなくて僕にとって1つの要素でしか無くて、要は僕にとって新しい何かを得られるかどうかという事なんだと思う。それは別に秋晴れの週末でなくても構わないと思うんだけど、それは秋晴れの週末に出掛ける事が出来なかった僕自身への言い訳なのかもしれない。それでも、肉体的な限界、精神的な限界を比較的容易に体験する事が出来る登山は、今のところ僕にとっては面白いと感じられる趣味だと思う。