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目指すのはジャンガリアンな生き様

 アンドロイドは人間になれるか/石黒浩










タレントのマツコ・デラックスを再現したロボット「マツコロイド」の開発者で、CNNの「世界を変える8人の天才」にも選ばれた世界的ロボット研究者のアンドロイド的人生論。
美しすぎるアンドロイド「エリカ」や、人間国宝桂米朝の芸を完全再現する「米朝アンドロイド」など、これまで開発してきたロボットを紹介しながら、それらが教えてくれた「人の気持ち」や「人間らしさ」の正体をさぐる。
★★★★☆



レビュー
フィクションではなく、ロボットを研究している教授の話。
僕が石黒教授の事を知ったのは、1年くらい前になるのかな。以前KinKi Kids堂本剛がその道の達人と対談する、という番組を見ていて、その対談相手が石黒教授だった回が有った。一見ぶっ飛んだ偏屈そうな研究者という印象を受けがちだけど、実の所もの凄く理論的に話す。かなり極端だけど、理論的な話は面白い。その後時々TVでも見掛ける様になって、いろんなエピソードを聞いたりしていたんだけど。
本書は、その石黒教授のエピソードをまとめた様なもの。ロボット工学の技術的な話はほとんど無くて、ロボットを通じて人間とはなにか?を掘り下げていく。この内容はTVで見たな、という所も散見されたけど、薄っぺらい文庫本の割にはかなり突っ込んだ意見まで述べている。例えば、アンドロイドと性について、アンドロイドと宗教について、死後についての事とか、人間の命の価値は無限ではないとか、ほとんどの仕事はロボットで出来るとか、今の人達は「スマホホルダー」ではないのかとか、「個性」とかちゃんちゃらおかしいとか、グレーとかタブーとも思われる様な内容を理論的に論破していく。折りしも今話題になっている「寿司職人」も、石黒教授ならロボットで再現出来ると言うんじゃないかな。
ここまで行くと、抵抗を覚える人も少なくないかもしれない。ただ、考えなければいけない。例え人間の能力がアンドロイドに劣るとしても。アンドロイドの話だけど、究極は「人の気持ちとは何か?」「人間とは何か?」という様な、哲学に近い。良いとか悪いとかじゃなく、色々考えさせられる内容だった。まぁ買ってまでは読まないけど。
ちなみに、「ロボット」「アンドロイド」「ヒューマノイド」っていう名称はちゃんとカテゴリー分けされているっていうのを初めて知ったよ。




ついでに、面白かったアンドロイド系の小説を

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