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目指すのはジャンガリアンな生き様

マーチ エール

 

 

 

週末に、日産マーチの中古車を見に行ってきた。

今乗っているのは旧型マーチの前期型で、見に行ったのは旧型マーチのMC後の中期型なので、何が違うのかネットで調べていたんだけど、まぁマーチの評価は総じて低めだ。「デザインだけ」とか、「安い割にはマシ」という意見が多いんだけど、再び同じマーチに乗り換えようと思うにあたり7年で11万km乗ってきた感想を少し書いてみる。

マーチ(K12/旧モデル)は、販売されている当時から走行性能に対する評価はさほど高くなかった。トヨタ・ヴィッツホンダ・フィットマツダ・デミオ、スズキ・スイフトと、他社のライバル車が総じて高い評価を受ける中で、マーチの評価される点はデザイン位しかない。じゃあマーチは「走り」においてまるでダメな車なのかと言えば、別にそんな事は無い。高速道路を含めた一般道を走る限りには、充分な性能を持っていると思う。外見のインパクトが強過ぎたんだろう。それでも、ライバル車が優れた走行性能や室内空間を持っているのは確かだし、既に10年前の車となれば尚更だろう。旧マーチは現行コンパクトカーと比較すると、性能も質感ももう2世代ほど前のレベルになる。だけどスポーツカーならいざ知らず、似たり寄ったりの国産コンパクトカーの一般道の走行を見ても、普通の人は走行性能の違いは分からないだろう。「乗れば違いが分かる」と言っても、周りには分からない。運転している自分しか分からない。つまり、不安を覚えるような致命的な不満が無ければ、その差は「自己満足」でしかない。もう少し上品に言えば付加価値だ。
MINIやWVビートルに乗っている人に、「走行性能低いですね」とか「内装がチープですね」などと言った所で「だから何?」と言われてお終いだろう。そういう要素で選んでいる訳じゃないから。「大人4人が乗って移動できる」という条件なら軽自動車で満たせる。危ないとか窮屈とか乗り心地が悪いとか格好悪いとか言われるけど、別に乗れない訳じゃないし法的にも全く問題ない。それ以上は全て「付加価値」だ。更に、フィットやスイフトがいくら良いと言っても、走行性能はスポーツカーには到底及ばない。コンパクトカーの優劣など本当はどうでも良いんだ。雑誌やwebのメディアではなるべくネガティブな事は書かないだろうし、ネット上の個人の感想にしても、筆者の技量も好みもコンディションもバラバラだから信憑性に欠ける。本当の所は結局自分で運転して実感するしかない。ある程度の目安にするにしても、些細な優劣に惑わされるべきじゃない。

そこで、マーチのウィークポイントとしてよく挙げられている項目について、僕の意見を書いておく。ただ僕は世の中で良く売れている車種には大体興味が無いので一般的な趣味嗜好から外れると思われる。人によって好みも違うし評価も違うし、現行モデルに比べると明らかに質は劣るので、一意見として。
1) ハンドルが軽過ぎる
ちゃんとハンドルを握っていれば別に支障は無い。高速道路の追い越し車線でも問題ない。MC後は少し重くなっているけどハンドルを切った時のフィールが一定じゃないから違和感が有る。速度が速いと顕著に出る。重ければ良いってもんじゃない。軽くてもリニアな方が良い。
2) 室内が狭い
実際狭い。今なら軽自動車の方が広い。なので広い室内を求める人には向かない。ただ、広ければ良いというものではない。いくら広くても使わないならムダ。乗員5名というのも軽自動車に対するアドバンテージになる。
3) 内装がチープ
僕は内装に高級感など求めていない。計器がちゃんと読めて、ちゃんと操作出来れば良い。高級感の為にムダにゴテゴテしたり、操作性が悪くなったり、重くなるのも嫌だ。タコメーターと水温計は欲しいけど、後から何とでもなる。後部座席がリクライニングしないのは少し残念。
4) コーナーリング時のロールが大きい
サスペンションが柔らか過ぎるとは思わない。ハイスピードでコーナーに入ってもちゃんと踏ん張るし、不安は全く感じない。これ以上ロールしないサスって、一体何と比較しているんだろう。
5) 遮音性が低い
確かに外の音はよく聞こえる。でも我慢出来ない騒音レベルではないし、変な振動や共振音は無いので別に困らない。遮音性の為に重くなるのも嫌だ。
6) ハンドリング
コーナーリングマシン。

逆に、特筆すべき点はMT。ルノー製の5速マニュアルはFF(ケーブル)とは思えないしっかりとした操作感に加え、ギヤ比も秀逸。街中からワインディング、高速道路までストレスが無い。このミッションが有るから面白いんだと思う。

トップスピードは170km/hくらい(予想)。140km/h程度で巡航も可能(予想)。コーナーリングは軽快で低速コーナーから120km/h程度のコーナーまで平然とこなせる。安物のコンパクカーだから絶対的には遅い。でも相対的には遅くない。というのは、公道でスピードを出すドライバーは良くも悪くも頭のネジが数本外れたバカだからだ。スポーツカーだろうが高級外車だろうが、峠だろうが高速道路だろうが、マーチのアクセル全開より速いドライバーはまず居ない。逆に古くてボロい軽自動車や深夜の大型トラックに煽られる時が有る。公道上での速度は、意図的であるにしろそうでないにしろ、アクセルを踏めるか踏めないかの違いでしかない。公道で速い事が必ずしも良い事では無いのなら、パワフルなエンジンは必須とは言えないしむしろデメリットになりかねない。

今販売されている最近モデルに比べれば相当劣るのは当然なんだけど、僕はマーチの「少し抜けてる所」が好きだ。「いかにも」っぽくない所が。ダメな所は自分が工夫知れば良いし、あえてダメな物を上手く操るのも楽しい。これはマーチに限らず、軽トラックでも同じだった。パワーとかハンドリングとか、そういう性能至上ではなくて、道具を自分で操作している感は確かに感じられる。

旧型マーチは今でも街中で頻繁に見かけるし、中古車は底値で溢れていて目新しさは全く無い。初心者や女の子向けの安い車というイメージ。でも、あと10年位経って多くのマーチが朽ち果ててあまり見かけなくなった時に、エポックメイキング的な車として再評価される様な個性的な車だと思う。