シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

崩れる脳を抱きしめて 知念実希人

 

 

 

崩れる脳を抱きしめて

崩れる脳を抱きしめて

 

 広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く。彼女はなぜ死んだのか?幻だったのか?ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。

★★★★☆

 

レビュー

 研修医と余命いくばくもない美しい女性という、コレなんてエロゲ?的な都合良過ぎる設定で読み始めてから後悔しつつも我慢して読み進めると、あれ?何か思ってたのと違う。思わぬ方向へ展開していく。相変わらず出来過ぎた設定なものの、女性向け甘々ラヴロマンスかと思いきや、意外に(恋愛を絡めた)ミステリー小説だった。違和感無く二転三転させて伏線を回収していく展開に引き込まれる反面、「親父の件」は身内なのにあっさりし過ぎじゃね?とか、医療関係の描写はリアリティに欠けるとか、細かな気になる点は多々有るものの、そういう所をいちいち突っ込む類の小説ではないんだろう。

都合良過ぎる設定のせいで感情移入は出来ないけど、エンターテイメントとしては面白かった。序盤ではどうなる事かと思ったけど、良い意味で裏切られた。

 

 

 余談

この夏は余りにも暑くて何もする気が起きなかったんだけど、ここに来てようやく気温も下がってきて、途端にやる気が出てきた。もしかしたら僕は爬虫類(変温動物)なのかもしれない、と思ったんだけど、それよりは加齢により体温調節機能が低下していると考えた方が自然なのかもしれないと気付いて少し悲しくなった。

ともあれ、よし、涼しくなったから色々やろう。と思ったものの週末は天気が悪くて登山もバイクも出来なくて、久しぶりに図書館に出掛ける事にした。ほんとならクソ暑い時こそエアコンの効いた部屋でごろごろしながら小説でも読んでた方がマシだとは思うんだけど。そんな訳で、久しぶりに小説読みました。