地球に向けて、巨大小惑星ダイスが接近中。人類は、あと5日で終わりを迎える。人々はその瞬間、『裁きの刻』をどう迎えるのか―。高校生の漆原亮の姉、圭子が殺された。コスモスの咲き乱れる花壇で、全裸で胸にナイフを突き刺された姿で発見された姉は、亮にとって唯一の家族、“世界そのもの”だった。恋人のこともそっちのけで、亮はとにかく犯人を見つけ出し、自分の手で復讐したいと暴走。そして“あるもの”を手に入れるため、クラスの“禁忌”と呼ばれる異端児・四元美咲に接触する。優しく、美しかった圭子を殺したのは、圭子の恋人だったのでは?しかしそれが誰なのかわからない。犯人を追い求めて、亮は圭子が入っていた天文学同好会、そしてダイスを崇拝するオカルト集団「賽の目」に踏み込んでいく…。人類滅亡まであと幾日もない中で、なぜ圭子は殺されなければならなかったのか―。
★★★☆☆
レビュー
評価が高かったのと面白そうなあらすじだったので読んでみた。SF&ミステリー的な内容かと思ったら、SF部分は希薄でほとんどミステリーもの。巨大な隕石による世界の滅亡は、物語にタイムリミットを設ける為の口実でしかない。
ミステリー部分はミステリーらしく二転三転していくんだけど、どうも説得力に欠けてインパクトを受けない。結末もしかりだし、キーマンである四元も最後に何故そう思ったのかが明確に明かされていない。結末ありきで組み立てられて、だからどうも都合が良過ぎる様に思えてしまう。登場人物はさほど多くないから犯人はその中から、というのも当然だし、それなら隕石も果たして必要だったのか。
全ては結末へのお膳立てみたいな感じはするものの、読みやすくて一日で通して読み切ってしまったので、エンターテイメント的には面白いのかも。どこかで見た様な作者だなと思ったら、以前他の著書を読んでいた。