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目指すのはジャンガリアンな生き様

 資質








昨年の秋に昇進して、僕は課長代理になった。管理職だ。本来ならおめでたい事なんだけど、僕の場合は地方の中小企業の小さな職場で、年齢や技術的に管理職にふさわしい人材が他に誰も居なかったというに過ぎない。僕自身管理職向きな人材ではない事は百も承知で、つまりは年功序列でなっただけ。だからブログでも「昇進した」としか書かなかったんだけど、この半年あまり仕事をしてきて僕なりに思う事があったので書いておこうと思う。
僕は現場作業に特化したかった。職人的な技術者になりたくて、だから自分を成長させる為に難しい仕事も大変な仕事も率先してがむしゃらにやってきた。でも管理職は僕が目指す方向性とは違う。それに加えて全くやる気の無い課長、ゆとりな部下という慢性的に危機的に不足する人材の中で独り絶望的な気持ちで仕事をしてきて、そんな環境で管理職になったって自分で自分の首を絞めるようなものだ。だから最初は断った。でもとある人に相談した時に、独りで頑張ったって何も変わらない。それなら上に行って自分で変えていった方が良いんじゃないか。と言われて、それもそうだなって引き受ける事にした。僕は人をまとめたり、人を使ったりする事が苦手だから管理職には全く向いていない。それでも独りであえいでいるよりは何かしら変えていく事が出来るんじゃないかって思った。
だけど、昇進したは良いけど何をしたら良いのかが分からない。こうしたい、これを変えたいっていう漠然としたビジョンは見えるんだけど、それを実現する為にはどういう手順を踏んでいけば良いのかが見当付かない。金もそう。責任も増える分使える金も増えるんだけど、これに金を掛けたいと思っても、どういう予算でどういう経費でどういう手順で使えば良いのかが分からない。環境、状況や予算だけじゃなく、職場の人材をどうやってまとめて、どうやって効率良く機能させ、未熟な人材をどうやって育てたら良いのか。これは小さな会社の現場上がりの管理職(と中間管理職)には多く見られるんじゃないかと思うんだけど、いくら現場仕事に精通しても良い上司にはなれない。現場作業と管理職って全く違う資質なんだけど、現場でまじめに仕事をしていると職制が上がって、中間管理職、管理職に上がってしまう。技術的な職種だと、なおその傾向が強い。知識や技術と、マネジメントは別物なんだ。
そんな折、敏腕な部長が上司になってくれた。今までの曖昧で怠惰だった就業状況も一新され、やる気の無い課長もゆとりな部下も変わってきた。仕事は早いし、指摘も鋭いから今まで曖昧に誤魔化してきたものが誤魔化せなくなり、仕事はハードになった。だけど、仕事って本来そういうもののはずなんだ。僕が標榜してきた仕事ってこういうものなんだ。僕や課長がやらなければいけなかった事、言わなければいけなかった事、そういう事をあっという間にやってしまった。会社からiPhoneを支給させたのも部長だ。
それは資質なんだと思う。「これをやるんだ」と突き通してしまうだけの強い意思と意欲。やっぱり僕にはそういった管理職の資質は無い。だけど、この会社にはそれだけの資質を持った人は他には居ない。これを逃せば、僕が学ぶ機会はなくなってしまうだろう。資質が無いなりに、僕なりに努力したい。年功序列で名ばかりの管理職にはなりたくない。
だけど、部長は圧倒的な行動力ゆえに反感を買う人も多い。会社を良くする為に、働く人の為にってやっているんだけど、正しいか正しくないか、筋が通っているか通っていないかではないんだろう。僕は部長を頼りにしているけど、煙たがる人も多い。この先部長が安泰で居られるかどうかも分からない。
僕も早く一人前になりたいと思う。40半ばになってまだ一人前じゃないのかって情けなくもあるけど、早く出来る人間になりたい。毎日忙しくて今までの様にのんびりブログ書いている余裕も無いんだけど、僕なりに頑張ろうと思う。