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目指すのはジャンガリアンな生き様

 チェリー 野中ともそ






チェリー

チェリー

夢のような幸せな日々には終わりが約束されていた―。13歳の少年ショウタは異国の地でモリーという名の不思議な女性と出会う。始めは奇妙な行動に戸惑うが、いつしか二人の間には絆が芽生えていった。美しい自然を舞台に繰り広げられる永遠の出会いの物語。
★★★★☆





レビュー
ネット上の何処かで紹介されていて目に留まった1冊。アメリカの片田舎での、少年と老女の生活が描かれている。多分評価はかなり分かれるんじゃないかと思う。「モリーみたいな人」をリアルで知っているかどうかで。性別とか、年齢とか関係なく。知っていれば、作者はとても上手く表現しているなぁと感心するし、そこが理解出来なければただのキモいアブノーマルな恋愛小説みたいな何か、になってしまうと思う。
少々上手く行き過ぎな感じもするけど、そもそもが現実離れしたストーリーだから少々の事はまぁ良いかって思える。ラストは少し泣けた。



元々は、一人で泊まりの山登りに行く時に暇つぶしに小説を持っていこうと思ったんだけど、図書館で検索したら蔵書に有ったので借りてきた。単行本は山に持って行くには不向きだ(当たり前だ)。だけど、何もかもが効率化最優先なら、そもそも山登り自体が非効率だ。バカでムダだから面白いって事も有るんだよ。



























































追記
ネタバレが含まれるので、ストーリーの詳細を知りたくない人は読まないように。って言っても、物語の結末なんて目に見えているんだけど。
結局モリーは死んでしまう。少年と老女という関係上、ストーリー的にはモリーは死ななければいけないんだろう。それはさて置き、大切な人を看取る事が出来るというのは、実はお互いにとても幸せな事なんじゃないかと思えた。大切な人がこの世から去ってしまうその瞬間を見届ける事が出来たという事、そしてこの世を去る最後の瞬間に目にするものが大切な人だという事。
生きていれば死ぬのは当然だというのなら、どうすれば思い残すことが無いかと考えると、そういう事なのかもなぁ。そして自分の思いが誰かに受け継がれていってくれたなら良いなと思う。
在住の地でもないのにモリーを看取る事が出来るなんて話が上手過ぎるとは言いつつ、そんな事を思った。