- 作者: 石黒浩
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (4件) を見る
美しすぎるアンドロイド「エリカ」や、人間国宝の桂米朝の芸を完全再現する「米朝アンドロイド」など、これまで開発してきたロボットを紹介しながら、それらが教えてくれた「人の気持ち」や「人間らしさ」の正体をさぐる。
★★★★☆
レビュー
フィクションではなく、ロボットを研究している教授の話。
僕が石黒教授の事を知ったのは、1年くらい前になるのかな。以前KinKi Kidsの堂本剛がその道の達人と対談する、という番組を見ていて、その対談相手が石黒教授だった回が有った。一見ぶっ飛んだ偏屈そうな研究者という印象を受けがちだけど、実の所もの凄く理論的に話す。かなり極端だけど、理論的な話は面白い。その後時々TVでも見掛ける様になって、いろんなエピソードを聞いたりしていたんだけど。
本書は、その石黒教授のエピソードをまとめた様なもの。ロボット工学の技術的な話はほとんど無くて、ロボットを通じて人間とはなにか?を掘り下げていく。この内容はTVで見たな、という所も散見されたけど、薄っぺらい文庫本の割にはかなり突っ込んだ意見まで述べている。例えば、アンドロイドと性について、アンドロイドと宗教について、死後についての事とか、人間の命の価値は無限ではないとか、ほとんどの仕事はロボットで出来るとか、今の人達は「スマホホルダー」ではないのかとか、「個性」とかちゃんちゃらおかしいとか、グレーとかタブーとも思われる様な内容を理論的に論破していく。折りしも今話題になっている「寿司職人」も、石黒教授ならロボットで再現出来ると言うんじゃないかな。
ここまで行くと、抵抗を覚える人も少なくないかもしれない。ただ、考えなければいけない。例え人間の能力がアンドロイドに劣るとしても。アンドロイドの話だけど、究極は「人の気持ちとは何か?」「人間とは何か?」という様な、哲学に近い。良いとか悪いとかじゃなく、色々考えさせられる内容だった。まぁ買ってまでは読まないけど。
ちなみに、「ロボット」「アンドロイド」「ヒューマノイド」っていう名称はちゃんとカテゴリー分けされているっていうのを初めて知ったよ。
ついでに、面白かったアンドロイド系の小説を
彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)
- 作者: 森博嗣,引地渉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/10/20
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (21件) を見る
- 作者: 菅浩江
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/09/21
- メディア: 文庫
- クリック: 25回
- この商品を含むブログ (73件) を見る
- 作者: 山本弘
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2015/02/10
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (2件) を見る