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目指すのはジャンガリアンな生き様

HONDA CT110 ハンターカブ 詳細とインプレッション

 

 

まともに乗れる様になったので、詳細の紹介と実際に走行してみての感想。所詮は素人のインプレッションなので客観的ではないし、個人の好みによって評価は大きく変わる。もう製造していないバイクなのでこれから買おうという人も少ないとは思うけど、1つの意見として参考までに。

参考に今までの車歴は下記の通り(2017年05月時)。色々乗っているから上手いという訳でもないし最新のバイクには無縁なのであくまで参考。個人的な嗜好とてしは、機能性や快適性よりも何処か尖がっていたり、振り切れちゃってたり、イッちゃってたりする変態的な性格の物が好み。今乗りたいバイクはBuellのX1かS1という辺りから変態具合をお察し下さい。

 

ロードバイク

SUZUKI GSX250E

HONDA CBR250F

YAMAHA XJ750E

SUZUKI GSX-R1100

HONDA CB750

YAMAHA SRX-6

 

オフロードバイク

YAMAHA DT200

SUZUKI TS200R

KAWASAKI KLX250R

HONDA XR600R

HONDA CRM250R

SUZUKI DR750S

SUZUKI DR800S

FANTIC 247

HONDA TLR200

 

 

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右サイド。ハンターカブの代名詞ともいえる特徴的なアップマフラー。これが好きという人は多いけど、よほど荒れたダートを走行しない限り邪魔でしかないし他車種の流用も難しい。右側にもサイドスタンドが付いているというのも特徴的ではあるけど、右を使わなければいけないシチュエーションが思い浮かばない。使わないなら取り外そうかと思ったんだけど、両側使えばセンタースタンド代わりになるかと思って一応残してある。

 

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左サイド。左側にエアークリーナーボックスが有り、キャリアに設けられた吸気口に繋がっている(キャリアは取り外してある)。キャブセッティングの記事でも書いたけれどキャリアの吸気口でかなり絞られているので、パワーフィルターに替えるかキャリアの吸気口を使わない等で効率を上げてやるとかなり楽しいフィールになる。標準状態だとほんとに只の大きなカブみたいなフィールだけど、吸排気の効率を上げてやると単気筒エンジンらしい弾けるフィールになってそこそこ楽しい。鋼板プレスと鋼管のバックボーンフレームの様な構造。通常の乗り方では特別貧弱な印象は受けないけど、荒れたダートで飛んだりすると壊れそうでちょっと怖い。ガソリンタンク容量は4.8ℓ。燃費は40km/ℓ位なので、意外に航続距離は短い。オプションで別体式のサブタンクが有るけど、高額なのといちいちサブタンクに補充するのは面倒くさい(セルフスタンドでは携帯タンクへの給油はNG)。

 

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エンジンはOHC2バルブ空冷単気筒105cc。排気量が100cc有るので、単気筒エンジンっぽい感じがするのは面白い。良くあるカブのエンジンがデカくなっただけの様に見えるけど、普通のカブとは系統が違うらしい。キャブレターは京浜製のピストンバルブタイプで、スロットルレスポンスは結構良い。クランクケースの後方に副減速機が有って、切り替えレバーにより極低速に切り替える事が出来る。一見凄そうな機構に思えるけど、極低速走行しなければいけないシチュエーションには滅多に遭遇しない割に修理やメンテが極めて面倒臭くなるので微妙な機構。アンダーガードが装備される。それ程車高が高くないので、有るに越した事はない。チェンジペダルはカブと同じシーソ式(パターンは逆)でサンダルでもチェンジ出来るお手軽さだけど、スムーズな操作には慣れが必要。

 

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エンジン右側。始動はキックのみ。始動性は抜群に良くて1発で始動する。デコンプ無しの105ccのキックはカブのイメージからすると重い。デカいクラッチカバーと邪魔なエキパイ。エキパイは腐食で穴が空くので注意。ヒートガードやエキパイフランジのボルト&ナットも焼き付いて固着しやすいので注意。プラグはアクセスしやすい。CT110と書かれたカバーの中は車積工具、バッテリー、電装品、書類等が収まる。

 

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フロント周り。スポークホイールでタイヤは2.25-17。普通のカブとは違いサスペンションはテレスコピック(普通のバイクと同じ構造)になるけど、性能は極めて低い。とても荒れ地に突っ込んでいく気にはなれない。反面、舗装路でのハンドリングは軽快。タイトなコーナーが連続する様な場面ではくるくる回って楽しく走れる。フェンダーはクラシカルな外見の鉄製。ブレーキはワイヤー式のドラム。ブレーキ性能に関しては軒並み低評価だけど、一応普通に効いて特別不安な印象は受けない。僕はいつも指1本でブレーキングしている。最近のバイクと比べると初期制動の立ち上がりがとても鈍い為効かない様に感じるけど、仮に強力なブレーキを装備してもこのタイヤとサスペンションでは車体側が負けそうだ。

 

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リヤ周り。リヤタイヤもフロントと同じ2.75-17。組み替えればタイヤローテーション出来る。鋼板プレス製の貧弱なスイングアームとオーソドックスな2本サス。リヤサスペンションも性能は著しく低い。オフロード走行ではサスペンション性能はとても重要で、ゆっくり走れば良いという様な単純なものじゃない。岩ガレなどは振られまくりだし、急斜面では低いギヤを使ってもスタックする。スイングアームはもとより、ピボット(軸部)もいかにも弱そう。つまりこれはあくまでも「カブ」であって、ハンターカブが得意とするシチュエーションは「お散歩レベル」で、間違ってもゲロアタックレベルではない。リヤもドラムブレーキ。効きは普通。オフロード走行を想定してか、ドリブンスプロケット(リヤ)は少々大きめになっていて速度が伸びない。舗装路メインなら少し小さくした方が扱いやすそうな印象。

 

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ハンドル周り。カブと同じ遠心クラッチなのでクラッチレバーは無い。普通のカブとは違いパイプハンドルで普通のバイクっぽい外観。アップライトなポジションだけど、スタンディングではやや低くて手前寄りで窮屈。ミニモトみたいな感じ。スイッチ類は普通。ウインカーのプッシュキャンセラーとか最近のバイクの様な物ではないけど、プレスカブの様なキワモノでもなく普通。グリップはオフロードっぽい物がついていて操作感は良い。スピードメーターは100km/hまで表示されているけど、そんなにスピード出ないし、そこまで出すとサスペンションが貧弱過ぎて恐ろしい。困るのはメーターにトリップメーターが無いという事。給油のタイミングが分からない(その後サイクルメーターを追加した)。

 

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テール周り。後ろの外観はカブ。キャリアもデカかったけど、テールランプ&ウインカーもデカい。

 

 

市街地走行

80km/h程度までなら軽快に走る。ノーマルの減速比なら、50~60km/h辺りが心地よいエンジン回転数。70で巡行出来なくはない。80で長時間の巡行は辛い。なのでバイパスやよほど大きな幹線道路でなければ充分流れに乗れる。軽快なハンドリングで市街地や裏路地は得意。二段階右折も必要ないので足代わりには便利。車体が軽量なのと、ハンドル切れ角が大きいので取り回しはとても楽。リヤボックスやかごとか付ければ、市街地での足代わりには最高だろう。

変速に慣れる必要が有るのと、速度を上げるとバックミラーが振動で見えないというのが難点か。ダートは走らないのであれば、リヤスプロケットは少し小さくした方が快適。

 

ワインディング

遠心クラッチの操作は難しくは無いけど、スムーズに走らせるには少々コツが有る。シフトアップ時にはアクセルオフ、シフトダウン時にはブリッピング(アクセルを軽くあおる)。クラッチレバーが有る普通のバイクと操作は変わらないけど、クラッチレバーで誤魔化せない分シフトチェンジとアクセルワークのタイミングを的確に合わせる必要が有る。適当な操作でも走らせる事は出来るけど、上手く合わせられると結構スムーズに走るし、スロットルレスポンスも良いので割と面白い。

ハンドリングは軽快で、60km/hくらいまでのコーナーリングなら得意。ほぼ水平に寝かされたエンジンによる低重心化と、テレスコピック+フォークブラケットのフロント周りの構造による所が大きそう。この軽快性と(コーナーリングの)安定化は素晴らしく、まったく転ぶ気がしない。NC750がウケているのも「こういう事なのか」と納得。ただ、軽快な反面直進安定性は低くて、縦方向の外乱(舗装の縦溝等)で酷くふらつく。また4速ミッションとクラッチが無いという点で、非力さをクロスミッションでカバーするとか半クラッチで誤魔化すという事が出来なくてスピードや軽快さには限度が有って速く走らせるにはそれなりの慣れと技量が要求される。エンジンは小排気量なのに結構低回転でも粘るので、速く走る事を意識しなければ割と楽しい。

 

未舗装路

砂利道、土路面のフラットダートならそこそこ走る。そんな路面ならハンターカブ以外でも走るだろうけど。ガレ場やギャップには極めて弱い。フロント/リヤ共にサスペンションの性能が完全に負けてしまっているのと、舗装路では軽快だったハンドリングはダートでは直進安定性を損なってしまってどっか行ってしまう。タイヤのグリップにも頼れず、サスペンションの性能にも頼れず、荒れた路面は本当に危ない。小柄な車体は振り回しやすい反面ポジションが窮屈で長時間のスタンディングはこたえる。なので、苦手な場面では低速で両足を着きながらバタバタとやり過ごすお散歩的な使い方(トレッキング)が良策かと。

 

独特な操作方法とフィーリングから、初心者がライディングスキルのステップアップの為に選ぶのは避けた方が良い。古いバイクなのでメンテナンスの観点からも初心者が見た目で選ぶべきじゃない。ただ構造が極めてシンプルなのである程度構造を理解している人や、ハンターカブにしか興味が無い人とか、セカンドカーとしてマニアックなカブが好きでたまらない人なら良いかもしれない(つまりマニア向け)。また、125ccクラスだとスクーターや小径ホイールの車両が大半を占めていて「少々大柄で大人が乗っても違和感が無いバイク」という条件を満たすバイクがほとんど無い。その点「カブ」はおっさんにはうってつけとも言えるし、17インチの落ち着いた車両に乗れるという意味では価値があるかもしれないけど、走行性能やメンテナンス性、経済性を考えると現行のカブを選んだ方が良いかと思う。僕が自分でまともに金を出してハンターカブを買うか?といえば、まず買わない。とは言うものの、バイクなどハナから不便で変態的でまともじゃないんだから、そんなバイクに合理性や利便性を求めるのもナンセンスな様な気もする。まったく余計なお世話な意見で、自分が欲しいバイク、乗りたいバイクに乗れば良いんだけど、メリット・デメリットをちゃんと把握しておかないと長く維持するのは難しい。

 

追記

その後メインをホンダXR600Rに替え、通勤にホンダ・ジョルノ(原付スクーター)を使ったりして、改めてハンターカブの(舗装路での)安定性に感心させられた。舗装路で60km/h以下でのコーナーリングの安定性は群を抜いていて、本当に何をやっても転ぶ気がしない驚異的なレベルだった。その後XR600Rに乗ると恐怖を覚える程不安定で、原付スクーターだと不安定過ぎて恐ろしい。比べる対象が極端過ぎるけど、それを差し引いても通勤、通学、ちょっとした足の用途にはハンターカブはうってつけかもしれないと思う。

反面、やはり古過ぎるのとサスペンションの能力不足は足に使うにはネックになる。幹線道路じゃなくても、車通りの多い道路を走るなら80km/hで安定して走れる位の車体とエンジン、ブレーキが欲しいけどノーマルのハンターカブではそこまでの性能が無い。イジれば良いけど、それだけの手間と金を掛けるなら現行のカブを買った方がマシだと思う。つまり、足に使うならやっぱり現行のクロスカブが最適じゃないかと思う。ただ、この安定感に慣れてしまうと、他のバイクには乗れなくなるかもしれない。

ハンターカブは今でも人気が有るみたいだけど、ハンターカブに興味が有る人の多くはその走行性能云々に関しては余り大した興味はないかもしれない。副変速機が付いたモデルの方が人気が有るらしいけど、副変速機が必要なユーザーなどほとんど居ないという事からも何となく分かる。それほど数が多くないから難しいとは思うけど、出来ればハンターカブとクロスカブを乗り比べて判断した方が良いんじゃないかと思う。個人的にはハンターカブ以外は興味が無いという人でなければクロスカブを勧める。

 

 参考にフラットダートの走行動画

youtu.be