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目指すのはジャンガリアンな生き様

僕が自転車に乗る理由

 

 

 

 

僕が乗っているバイクは27年前の古くて極めて原始的(単気筒エンジンで始動すらキック)な物で、最早今時そんなバイクは売っていない。環境性能や安全性の観点から電子制御でなければ成り立たなくなっている。僕は単気筒の600ccくらいが過不足無くて一番楽しいと思うんだけど、そういうカテゴリーは極めてマイナーだ。一般的にウケが良いのは大排気量の4気筒、2気筒エンジン、それが御し切れないというのが分かってきた人が少し小さめの4気筒や2気筒。でも、それすらもパフォーマンスを発揮させるのはかなり難しい。

車はもっと顕著だ。電子制御がフルに介入してドライバーに依存する部分はどんどん減っていく。それはそれで正常な進化なのかもしれないけど、ドライバーがドライビングに積極的に関与していく様な物は極少数になっていくんじゃないかと思う。

利便性や快適性が悪い訳じゃない。積極的に進めた方が良い物だってあるだろう。掃除や洗濯、食器洗いなんて自動でやってくれた方が楽だ。だけど、商品付加価値の為の利便性の様で、メリハリが無い。身の回りの何もかもを自動化した先に、自分でやるべき事って何だ?リビングで寝転がってスマホを眺める事がやりたい事なのか。

よく「多趣味ですね」と言われるけど、僕は自分でやる事に価値を見出したいだけでやっている事は変わらない。ジョギングも登山も自転車もバイクも一輪車もギターも、自分でやらないと何も出来ないという点ではみんな同じだ。いくらネットで便利になったって、インターネットが自転車を漕いでくれる訳じゃない。

これだけ世の中が豊かになって技術が進歩しても、自転車はライダーが漕がない限りは前には進まないし、ライダーが操作しないと曲がらないし止まらない。全てはライダー次第。バイクは車に対してより運転者のスキルに大きく依存するしストイックではあると思う。でも自転車は「ほぼ全てライダー次第」で、もっととてつもなくストイックだ。豪華で自動化して肥大化していくバイク(オートバイ)に対して、自転車はいまだに呆れる程高効率化しか求めていない。登山は自分の足で歩くから面白いのであって、自転車も自分で漕ぐから面白い。分かる人には分かるだろうけど、分からない人には全く理解出来ないだろう。ジョギングや登山が苦にならない人なら、理解してもらえるかもしれない。

反面、そんな極めて原始的でストイックな自転車だけど、何だか凄く可能性が有る様な気がしてきた。動力(エンジン)を持たないというのはメンテナンスの観点からすると物凄いメリットだ。定期的にオイル交換する必要も無いし、動力部で消耗する物も無い。車検も税金も無い。バイク(オートバイ)はエンジンが最大の魅力であると同時に、最大のネックでも有るんだ。電動アシスト自転車にしても動力部分はほとんどメンテナンスフリーだ。メンテナンスの敷居はとても低いし、金も掛からない。高齢者が運転する自動車が引き起こす事故が問題視されているけど、電動アシスト自転車がこれからもっと発展していけば解決出来るケースも結構有りそうな気がしてきた。3輪タイプとか、ちょっとした屋根付き(自転車の規格から外れるかもしれないけど)等が有れば、セニアカーよりはずっと機動的になる。あくまでも車が上位なのではなく、車の運転をやめて自転車にしました、っていうのがスマートだと世間で認識されれば良いのに。

相変わらずの原始的さとストイックさ、電動アシストによる将来性と、全く違う二面性が有って、自転車ってシンプルなくせに面白いなと思う。