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目指すのはジャンガリアンな生き様

カーボンペースト MOTOREX Carbon Paste / 自転車用トルクレンチ BIKE HAND YC-637

 

 

走っているうちにサドルが下がって困る。フレームもシートポストもカーボン製だから固定クランプの締付規定トルクがシビアで思い切り締められない。という事を先日書いたら、「カーボングリス」とか「カーボンペースト」っていう専用のケミカル有るで。と教えてくれた。そんな物が有るのか!そんな事、教えてもらわなきゃ分からんがな!

で、早速調べて見ると確かに売ってる。乗る度にサドル調整しなきゃいけないのはあんまりなので買って固定する事にしたんだけど、ネットの評価を見ると安い製品は傷がつくみたいだ。フリクションを上げる為にザラザラした粒子を配合しているらしい。もう既に傷付いているから今更感は有るものの、ザラザラでフリクションを上げるという手法がお粗末過ぎて何だか解せない。ザラザラ粒子を使っていない製品が有ったのでそれを買おうと思ったらバカ高い。100gで3,240円もする。5g入りの使い切りチューブの製品が有ったのでそれで良いやって思ったんだけど、5gで583円+送料756円で1,339円。5gで1300円はあんまりだ。100g 3,240円なら送料は無料なので、泣く泣く100gを買うことに。

 

 

 そもそも、きちんと締付トルクが管理されていなければ、いくらカーボンペーストを使っても性能を発揮しきれないだろう。そうするとどうしてもトルクレンチは必要になる。でもトルクレンチ高いんだよなぁ、1万円以上はするよなぁ、って思ってたら、あれ?自転車用が売ってる。超安い。構造がトーションバーで簡素だから安いんだ。それは有難いけど、精度はどうなんだろう?と悩みつつ、値段が安くて比較的使えそうな物を買ってみた。

 

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問題のシートポスト クランプ。締付トルクは5.6N・mと書いてある。締め過ぎるとシートポストやフレームを壊しかねないし、緩過ぎると下がってくる厄介なヤツ。アルミやチタン製なら強度が高いので締め過ぎて壊す事はまず無い。

 

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ずり下がりを防止ししっかり固定する為にカーボンペーストなるケミカルを使う。100g入りは明らかにデカ過ぎだけど、5gの割高感も半端ないのでやむを得ない。っていうか、グリスとかペーストとかロードバイク用品ってボリ過ぎじゃないのか?「ロードバイク用」って言っときゃ高くても買うだろ、むしろ高い方が高性能っぽいから買うだろ、って思惑なんじゃないの。どうでも良い個所ならエポキシ接着剤でくっ付けちゃうとか、シリコンコーキングとかネジロック(ロックタイト)を使うとかするんだけど、シートポストはフレームに固定するからヘタな物は使えない。

 

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中身は半透明のグリスみたいな物。ザラザラした感じはしないので、粒子を使ってフリクションを上げている訳ではなさそう。要はネジロックみたいな物じゃないのか?と思うんだけど、フレームに使うから変な物使って外れなくなっても困る。

 

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 カーボンペーストを塗布してトルクレンチで締める。トルクを掛けると軸部でねじれて針が振れる、という極めて単純な構造。10種類のビットが付属するけど、ロードバイクなら4か5の六角しか使わないだろう。レンチ側のビットホルダがマグネットになっていて、磁力でビットを保持する構造。凝っているけど保持力は比較的弱いのでうっかりビットをなくさない様に注意しないといけない。

 

施工後に実際に走ってみたけど、ビタイチ下がらない。んだけど、それが「カーボンペーストの効果」なのか、「トルクレンチで適正トルクで締めたから」なのか分からない。というのも、僕が感覚で手締めしていたのはかなり弱かったみたいで、感覚的に3.5N・m位だった。5N・mって「え?マジ?まだ大丈夫なの?割れちゃうんじゃないの?」っていう位のトルクだったので、適正トルクで締めていたらカーボンペースト使わなくても良かったんじゃないのか?とも思わなくもないんだけど、100gもどうすんだよ。

 一通り調整して、以前裏返して高くしたステムも元の低い位置に戻した。各部の寸法を測ってみたけど、とりあえずS(52)サイズのフレームでもポジションが取れるので、このままがんばる。

 

 

とまぁ、めでたしめでたし。で終わるはずだったんだけど。やっぱり気になるでしょ「安物のトルクレンチの精度がいかなるものか」ってのが。で、簡易的に調べてみた。

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手持ちの国内メーカーのプリセット型トルクレンチ(CANON)。国内メーカー製だから精度は高いものの、既に30年ほど経過しているのでどこまでの信頼性か分からない。なので、まずこのトルクレンチの精度を調べる。校正基準となる物が有れば良いんだけど、とりあえず会社で2、3年前に購入した東日製のトルクレンチでボルトを締め、手持ちのCANONで同じボルトを締めてみる。精度が高ければボルトは回らないはず。逆にCANONで締めたボルトを東日で締めて、同じ様に回らなければオーバートルクでもなくアンダートルクでもなく、トルク指示と合っている事になる。実際にやってみると同じなので、大きく狂ってはいない様。最初から東日製を使えれば良いんだけど、10N・m以下の様な弱いトルクを設定出来ない。手持ちのCANONは最低が70kgf・cmなので約7N・m。

次に、CANONで締めたボルトを、BIKE HAND YC-637で締めてみる。BIKE HANDはプレート型トルクレンチで針が振れるタイプなので、締めながら針が指示する目盛りを読む。と、CANONの設定よりも明らかに低い指示でボルトが回ってしまう。つまり、BIKE HANDのトルクレンチの指示でボルトを締めるとオーバートルク(締め過ぎ)になる。

仮にオーバートルクになったとしても、それが綺麗に比例的になればその分差し引いて締めれば良いんだけど、例えば二次曲線的に変化してしまうと一体何を基準にしたら良いのか分からなくなってしまう。そこで、CANONと比較出来る範囲で比較してみた。  

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 結果はやっぱり綺麗に比例しない。1~2N・mの範囲で誤差が出る。大体目安として1.5N・mほど差し引いて締めると丁度良さそう。って事は、実は安物トルクレンチよりも僕の手締めの方が精度が高かったって事か。

安物レンチだから精度は高くないだろうとは思ったけど、アンダートルクならまだしもオーバートルクになってしまうのは頂けない。大切な物を扱うなら、精度の高い信頼できる製品を使った方が良い。と、言いつつ傾向は分かったからBIKE HAND使うけどな。