シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

三体 劉 慈欣

 

 

 

三体

三体

  • 作者:劉 慈欣
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: ハードカバー
 

 物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?

★★★★☆

 

レビュー

 言わずもがなのSF超大作ベストセラー。中国のSF作家が描く3部作の第1部。3部作なのにこの作品だけで433ページも有るかなりのボリューム。

中には序盤が退屈という意見も見られたけど、意外に序盤の方が面白かった。予備知識を持たずに読んだので先の展開が全く分からない。葉文潔(序盤に中心となる女性科学者)がどうなってしまうのか?紅岸基地とは一体何なのか?

ところが、紅岸基地の真の目的が分かると「え?そっちに行くの?」的な展開になり、終盤になると序盤から中盤でばらまいた伏線を延々と説明する様な文体になってしまって驚くというよりは興醒めする。

緻密で破綻が無い設定は凄いし、「三体」の意味が分かると「なるほど、すげーな」って思える素直に良い小説だと思うけど、いまいち世界にのめり込めないのは何故なのか。