シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

50代からのお友達作り

 

 

転職先を決めて、11月末までの出勤にしてもらう様現会社にお願いした。それから、取引商社や協力会社、設備メーカーの担当者にその旨連絡を入れる。すると、とある設備メーカーのサービス担当の方から電話がかかってきて、近くまで来ているから会える内に挨拶をしておきたいと言う。僕も色々お世話になったので、会えるなら会って挨拶をしておきたい。

一通りありきたりな挨拶を交わした後で、1つ気になっていた事を尋ねてみた。

「僕の仕事ぶりって、どうですかね?」

僕が発注側、相手が下請け側になる訳だけれども、その対応に対して仕事がやりやすいのか、やり難いのか、段取りが悪いとかルーズだとか何処かイマイチな所が有るかとか、そういう事が有れば教えて欲しいと。例えネガティブな意見が有ったとしても、そんな事は面と向かっては言えないだろう。でも、どうせもう顔を合わせる事も無いんだから、もしかしたら本音を言ってくれるかもしれない。

何でそんな事を聞きたいかというと、例え勤め先が変わったとしてもそういう外部業者とのやり取りは必ずついて回ると思ったからだ。何か悪い点があるなら改めたい。次に生かしたい。こんな事を聞けるのは今しかない。

答えは、とてもやりやすかった。こんなにやりやすい人は居ない。だった。「壊れたからとりあえず来てくれ」とか、「じゃあ後はお願い」って完全放置するクライアントが多い中で、ちゃんとトラブルシュートして必要な情報を事前に確認して冷静に理論的に伝え、作業が難航すれば必要に応じて協力してくれると。それは僕が実際に作業をしている人間だから、どういう情報が欲しいのか、どうして欲しいのかがある程度理解出来るからだろう。ネガティブな意見は何も出てこなかった。

まぁ、二度と顔を合わせないからといってもわざわざ波風立てる必要も無い訳で、良い様に答えるのも当然か。と思ってたら、「次の職場でも何か有ればぜひ」と言う。それで、転職先の会社名を伝えると、「それ僕の家の隣じゃないですか。いやぁなんか運命的ですね。」って言う。マジか。いやいや近くなのでプライベートでもぜひ、と言うのでLINEを交換すると、僕のLINEの背景を見て「バイク乗ってるんですか?実は僕も1年前から乗ってるんですよ。ぜひ一緒にツーリングに行きましょう。」と言う。マジか。これが女の子だったら絶対フラグが立つところだけど、お互いにおっさんなのでお互いのスマホをいじりながらあーでもないこーでもないってLINEに登録する。

こんなタイミングで新たにお友達が出来るとは思わなかった。そういえば、夏に沢登りに誘ってくれた人も居た。何処でどうつながるのか分からなくて、でも僕は交友関係がとても狭いので本当に有難いと思う。もう10年は仕事を依頼していない業者から、いまだに僕当てにお歳暮とお中元が届く。もう退職しますので、と今までのお礼を伝えて、ひとしきり近況や世間話をする。その人もライダーで、面白い人だった。今思えば、お歳暮もお中元も〇〇株式会社の課長ではなく、僕個人宛、僕に対しての物だったんだ。そんな事に今頃になって気付いた。

仕事なんだから、やって当たり前。お友達じゃない。だけど、下請けだろうが元請けだろうが同じ人間だし、真夏の工場内は倒れるほどクソ暑くて、真冬の工場は凍えるほどクソ寒くて、それは誰にとっても劣悪な環境だし、ならば多少でもと扇風機を用意したりストーブを用意したりしてた。予め照明を点けて周辺を片付けていつでも作業に掛かれる様に事前に段取りをしたり、作業しやすい環境を整えようとしてきた。みんなプロなんだから別に何もしなくたって手を抜いたりはしない。だけど、あえて厳しく高圧的に接する必要も無い。同じ作業をするなら、お互いに気持ち良くやりたい。僕はいつも一緒に仕事をするパートナーというか、仲間とか協力者だと思ってやってきた。

仕事上のパートナーはお友達ではないし、外部との交渉や作業のやり方なんて誰も教えてくれなかった。中小企業では見習うべき人も居ない。セオリーが無くて、だから僕のやり方が良いのか悪いのかも分からない。でも、僕は高圧的に抑え付けて仕事を進めるのは性格的に無理があるし、僕がやれる手法でやっていくしかなかった。それでも、仕事を抜きにして「LINE交換しましょう」って言ってくれるのは悪くない気がした。