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目指すのはジャンガリアンな生き様

羽田圭介、クルマを買う。  羽田圭介

 

 

 

 

はじめてのクルマ購入のために数十台もの車の試乗を繰り返しながら、考え、悩み抜き続けるリアルなドキュメンタリー・エッセイです。
車を通して自らの生き方を考え直したり、様々な人とのやりとりから新たな人生に気付かされるなど、車好きはもちろんのこと、そうでない方も次の展開にハラハラしながら楽しむことができる内容です。
気に入った車は評価し、そうでない車は正直に批評する、そんな歯に衣着せぬ痛快さが魅力で、この本を読めば、気になる車がきっと一台は見つかるはずです。 

★★★★☆

 

レビュー

連載や書籍の前に、「おぎやはぎの愛車遍歴」でゲスト出演した回を見ていたので内容も結末も既に分かっていた。車のレビューを期待する内容ではなく、羽田氏のエッセイとして読むととても面白い。素人目線での感想や判断は、意外にあなどれない。何となく外見が気に入った車を試乗して、「こんなモノかな」で終わらずに何がどう気に入らないのかを考察して次に繋げていく、というのはなかなか出来る事では無く鋭い考察力だと思う。

読んだのは車のレビューが気になったからではなく、羽田氏が面白かったからだ。食事を1週間分まとめて作ってしまうとか、非常に合理的な考え方をする人で趣味嗜好が共感出来るからだ。多分、合わない人には全然合わないと思うし、この本も全然面白くないと思う人も沢山居るだろう。だってただの試乗日記だから。

僕も車は好きなのでインプレ記事などは良く読むけど、あくまでも参考程度にしかしていない。評価が高い車が必ずしも自分の好みと合うとは限らないし、ボロクソに評価されている物が意外に面白かったりする。なので著者が情報を鵜呑みにせず実際に自分で試乗してみて判断しようとする姿勢は共感できる。それに、充分な予算が有るにも関わらず、「100万円分の差額に見合うだけの価値が有るかどうか」なんて考える辺りも、「そうだよね」って共感したり。まぁ僕はそんな高価な車は買えないんだけど。

そもそもが、これだけ色々な車が有る割には自分の趣味と合致する人はほとんど居ない。共感出来る、というだけで凄いと思うし、これが全く趣味嗜好が異なる著者であれば評価は違う物になると思う。