シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

おいしいごはんが食べられますように  高瀬隼子

 

 

 

 

第167回芥川賞受賞作。

「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。

職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。
ままならない人間関係を、食べものを通して描く傑作。

★★★☆☆

 

 

レビュー

タイトルと装丁から「美味しいご飯を食べると幸せになるよ」的な内容かと思いきや、逆だった。「一日三食カップ麺を食べて、それで健康に生きていく食の条件が揃えば良いのに」とか、クソ忙しくて深夜に帰宅したのに自炊なんかやってられるか、的な内容。

サラリーマンの二谷(男)と、料理とお菓子作りは得意だけど他はてんでポンコツな同僚の芦川(女)、要領が良く頑張り屋だけど評価に繋がらない同僚の押尾(女)の微妙なゆるい三角関係。二谷視線での語りと、押尾視点での語りが交互に進む。

仕事やプライベートの日常を丁寧に描いているけど特に驚く様な展開も無く、三角関係のバランスも崩れてドロドロになる事も無く、食に関しても冒頭の通りで、あれ?一体何を読まされているんだろう?という気になる。最終的にはどういう結末になるんだろう?と思ってたら、そのままゆるく終わってしまった。

結局何が言いたかったのか。飽食に対するアンチテーゼなのか、結局男は可愛くて守ってあげたくなる様な女性を選ぶ、という皮肉なのか。賞を取るくらいの小説なので何らかのメッセージ性が有ると思うんだけど、いまいちしっかり読み取れない。

僕ならいくら可愛くて料理が上手くてもポンコツ過ぎる芦川は結婚相手には選ばないな、と思ったけどそもそもが選べる立場ではなかった。