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スレート屋根の雨漏りをDIYで修理する

 

 

 

3年ほど前から雨漏りする様になった。色々と試行錯誤した末にようやく何とか解決したので記録として残しておく。

スレート屋根の雨漏り修理はかなり難しい。というか、ネットで検索しても「業者に相談しろ」としか書かれておらず具体的な修理手法は出てこない。まずはスレート屋根の構造と、雨漏りするメカニズムを知る必要がある。

www.web-soken.co.jp

雨漏りの修理方法と銘打っておきながら具体的な解決方法は提示されていない。つまり、「こうすれば直る」という様な簡単なものではないという事だ。

 

 

かといって放っておく訳にもいかない。木材が腐食するしシロアリの原因にもなりかねない。以下、僕が実際に行った事。

 

1)コーキングで目止め

2)スレート屋根塗装(業者)

3)防水塗料で塗装

4)スレートの被せ部分の開放

 

詳細の解説。

1)コーキングで目止め

これは一番やってはいけない方法。一見スレートの合わせ面をシールしてしまえば雨水が浸入しない=雨漏りが直る、と考えがちだけどそうじゃない。上記サイトでも解説されているけど、構造上スレートの合わせ面をシールしてはいけない。スレート同士には隙間があって、そこから内部に侵入した雨水を排出する構造になっている為だ。そこをシールしてしまうと侵入した雨水が抜けなくなってしまい、逆に雨漏りを悪化させかねない。

 

2)スレート屋根の塗装

築20年を超えたのでいい加減に補修が必要なタイミングになった。屋根と外壁塗装を業者に依頼した。その際に雨漏りの件を相談したところ、雨漏りは塗装では直せない、直すならカバー工法しかない、との事。結局塗装で何とかなるんじゃないかという見解だったので塗装をお願いしたけど雨漏りは解決しなかった。どういう見解で塗装で何とかなると判断したのか不明だけど、塗装のプロだから知見があるだろうと任せたもののやっぱりダメだった。いずれにせよカバー工法で修理するほどの予算は無い。

 

3)防水塗料で塗装

雨漏りする個所は屋根の傾斜が緩い為、雨水が滞留する時間が長くなる。防水塗料というより撥水性の塗料を使い雨水がスレート内部に侵入する前に流してしまえないか、という目論見。結果失敗だった。というのも業者による屋根塗装で既に防水塗装されているからほとんど意味をなさないからだ。

 

4)スレートの被せ部分の開放

雨漏りの原因は、スレートの被せ部分が密着していた為だった。その為、スレート内部に侵入した雨水が排出されずに溜まってしまい雨漏りする。密着したスレートを開放して内部に侵入した雨水を排出出来る様にした。

 

雨漏りする個所は、増築したガレージ部分。住居部分ではないので緊急性は低いものの放置も出来ない。緊急性が低いので解決するまで数年掛かってしまった。

 

雨漏りヵ所の屋根裏。

 

垂木に沿って雨漏りの跡がある。雨が降ると水滴が落ちてくる。

 

ガレージ部分は増築の為、屋根の傾斜がかなり緩くなっている。その為雨水の流れが悪く、スレート内部に侵入しやすい構造的な問題がある。それでも十数年は雨漏りしていなかったし、適切に施工されていれば雨漏りはしないはず。

ちなみに微妙に屋根の色が違うのは、防水塗料を塗ったから(左側)。

 

スレート屋根を水平方向に覗くと、スレートの重なった所にはわずかな隙間が有るのが分かる。隙間に白く見えるのは防水塗料。

 

スレートの重なり部分には所々スペーサーの様な物を入れて意図的に隙間を空けている。これがスレート屋根の構造上とても大事なポイント。

 

防水塗料で塗装しながら、これは塗装では直せないよな、と気付く。じゃあどうすれば良いのか?と、雨漏りする位置を計測して検討をつけてみる。

 

すると、どうやら赤矢印の辺りで雨漏りが発生している。想像していた所よりも随分と奥の方で、ほぼ家屋の軒先付近になる。こんな所で雨水が浸入するのか。

 

何でこんな所で雨漏りするんだ?とよく観察すると、その辺りのスレートの重なった部分には隙間が無く密着している(黄色線部分/画像は処置後)。これは以前コーキングした個所ではない。

 

奥から2列目のスレートの合わせ面がほとんど密着している。そこをカッターナイフで切り込みを入れて密着したスレートを開放していく。すると、黄矢印の辺りに切り込みを入れた際に水が出てきた。つまり、屋根のほとんど左端付近から侵入した雨水が、スレートが密着した事で排出出来ず、中央付近まで流れて溜まって雨漏りした、という事らしい。まさかこんな奥の方が、しかもこんな端の方が影響しているとは思わなかった。雨漏り難しい。

 

スレート用のスペーサーなど持ち合わせていないので、とりあえず手持ちで有ったステンレスのワッシャーを代わりに入れておく。

 

これでスレートに隙間が出来た。僅かでも隙間が空いていれば水が排出される。

 

スレートは強固に密着していてカッターナイフで切り込みを入れるのもかなり苦労した。何故こんなに強固に密着しているのか分からない。スレートの固着具合から、業者による屋根塗装のタイミングではなく建てた時からの様。スレート内部に雨水が浸入してもスレート下には防水シートが有るので雨漏りせずに排出されるはずだけど、スレートを固定したり防水シートを固定する為に釘は使っているはずなので、あまりにも内部に溜まれば雨漏りの原因になるだろう。

 

 

今回はたまたま直せたけど、スレート屋根の雨漏り修理は難しいので当然直せないケースも有ると思う。というか直せない事の方が多いだろう。これで直らなかったらスレートを剥がして張り直すか、厚めの防水塗料で屋根全体を塗り潰してしまうか、と考えていたのだけれど、いずれにせよかなり大掛かりになるので何とか直って良かった。

屋根と外壁塗装で結構な費用を払ったので、素人の僕が解決出来る様な事だったら塗装のプロならもう少し何とかしてくれても良かったんじゃないかと思う。ただ、「何とかしてくれ」と言うとカバー工法で直すハメになりそうなので結局自力で何とかするしかなかった。

自分で雨漏り修理をしようなんていう人はそう居ないかもしれないけど、スレート屋根の雨漏り修理に対する具体的な方法はなかなか紹介されていない。カバー工法で直すのは確実だけど費用が高額になるので、まずは自分で確認出来る所はやってみても良いかと思うので参考までに。

あと、今回は屋根の傾斜が緩いから良かったけど、普通の家屋のスレート屋根はかなり勾配が急なので2階の屋根に自分で上るのはお勧めしない。実際に上ると見た目以上に急で、屋根に置いた道具類が滑り落ちていくというレベルだから自分も滑り落ちるかもしれない。それでも上るなら転落防止の措置をした方が良い。