シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

晴れ舞台

僕は昔から運動が苦手で、でも苦手と言っても全くダメダメな訳でもなく、通知表の評価で言えば5段階の3くらい、100m走を5人で走れば3番目くらい、という、抜群の運動能力ではないけど全くのダメダメでもないという実に平凡で地味な立場であり、だから運動会の花形競技であるクラス対抗リレーなんて僕の出る幕じゃなかった。
それが高校を卒業してから17年にもなろうかという今、リレーに出る事になった。地区運動会の年代別リレー。参加者が集まらずにやむを得ず、という理由からなのだけれど、運動会の取を飾る花形競技だ。BMI体脂肪率も標準的であり、どちらかと言えば肉体労働的な仕事で毎日体を動かしているし、学生時代ならいざしらず、一緒に走るのはみんな中年なんだから、今ならなんとかなるかもしれない。
リレーがスタートし、僕らのチームは2位という好順位。バトンを受け取り、僕は全力で走り出す。たかが200mじゃないか。それも1度キリ。スタミナが尽きる前にゴールしてるよ。ほら、コーナーリングはお手の物さ。コーナーを終えてストレートに入りスパートを掛けた直後、何故だか地面が傾いて、気が付けば僕はグランドの上に突っ伏していた。咄嗟に立ち上がって走り出すものの、2、3歩踏み出したところで足がもつれて再び転ぶ。良い所を見せるどころか、這う這うの体で次のランナーにバトンを渡すことになった。
歳を取ると、本当に走れなくなるんだ。そして、僕自身もそういう年代にあるんだという事を痛感させられて、僕の晴れ舞台は一世一代の舞台となった。