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BETA テクノ(1995) クランクシール交換(4)

 

 

 

 

エンジンを始動させると勝手にスロットル全開になる。どうやらクランクシールが悪いみたいで、ジェネレータ側のシールを交換したけど、クラッチ側のシールもダメみたい、というのが前回まで。

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クラッチ側のクランク端についているフライホイール(?)を抜くプーラーを自作する。ピッチ62mmでφ8.5の穴(M8のボルトが入る穴)を空け、真ん中に大きめのタップをたてる。M8のボルトを2本フライホイールにねじ込んだ後、真ん中のボルトを締め込んでフライホイールを引き抜く。この時押し抜き用の真ん中のボルトとクランクシャフト端の間に適当な丸い鉄片を入れる。押しボルトを直接クランクシャフト端に当てると、クランクシャフト端のネジ穴を傷める可能性が有るから。

 

クラッチ側のクランクシャフト端はテーパー形状になっている。なのでフライホイールは一度緩めば簡単に外せる。というか緩んだ瞬間に飛び出してくる。位置決めのキーは無くてシャフトに押し付けて固定しているだけの様。ただのフライホイール(はずみ車)とウォーターポンプのインペラを回すだけなので、正確な位置決めは必要無いからだろう。

クランクケースにネジを押し当てた様な傷跡が見える。クランク軸を挟んで対角に2点有るので、どうやら前回作業した人はフライホイールのM8のネジ穴に長いボルトを突っ込んで締め込む事でフライホイールを押し抜いた様だ。治具が無いからやむを得ずやったんだろうけど、クランクケースにピンポイントで過度な負荷が掛かるのでヘタをするとクランクケースを壊しかねない。プーラーか打撃で引き抜いた方が無難。

 

クラッチ側のクランクシールも引き抜く。

 

外したクランクシール(クラッチ側)。

 

普通のオイルシールに見えるんだけどなぁ。何でこんなに高いんだろう。外観的にはKOYO(ジェイテクト)のオイルシールに似ている。

 

クランク軸にシールのルップが当たった跡があるけど摩耗して凹むほど酷くは無い。

 

ミタニスポーツに問い合わせたら部品が買えた。届いたクランクシール。普通のビニール袋に入って届いたけど多分純正部品。

 

純正クランクシール裏面。@4,290円也。

 

右が純正シール、左が同じ寸法のNOK製オイルシール。純正シールはよく見るとやや茶色掛かった色をしている。

 

見た目は同じなんだけどなぁ。材質はNBRではなくフッ素ゴムなのかな。KOYO(ジェイテクト)製で茶色掛かったシールが有るので代用出来ないかな。色々考えたんだけど、クラッチ側のシール交換はかなり面倒なので純正部品を使う事にした。

 

シールを組み込む。が、シールを挿入する際に押し込み過ぎた。シールの嵌め合い部分は段付になっていて押し込んだら段で止まるものだと思ってたらどこまでも入っていく。クランクの面で止めておかないといけないらしい。押し込み過ぎたものは戻せないのでやむを得ずこのまま戻す。

 

ついでに他のシールも交換しておく。これはシフト軸のシール。サイズは12.22.5。シフトのシールはミッションオイルが漏れ出ない様にしているだけなので互換品でも良さそうだけど、純正部品は858円なので価格差を考えるとあんまりうまみが無い。

キックアーム軸シールのサイズは16.24.5。ざっと探した感じでは同サイズの汎用品は見当たらない。

 

ウォーターポンプの軸シール。サイズは10.18.4。@869円。ざっと探した感じでは汎用で同サイズは見当たらない。

 

ウォーターポンプシールはケーシング側(外側/インペラが付いている方)から圧力を受けるので、キックアーム軸やシフト軸シールとは向きが逆になる。ついているシールを見れば分かるけど。シールを交換するにあたり軸(軸と駆動ギヤの一体)を抜いたけど、この軸は軸方向の位置決めが無い。軸が段付になっていないので何処が定位置なのかが分からない。外側に入れ過ぎるとカバーに当たるし、入れ足りないとフライホイールにギヤが当たる。

と、ここまできてウォーターポンプのケースパッキン(変形Oリング)を買うのを忘れていた。仕方が無いので元のシールを使う。まぁ漏れても外にクーラントが滲む程度だから大した影響は無いだろうし、後から交換するのも面倒じゃない。

 

部品の組み立て方を忘れてしまう前にさっさと組んでしまう。クラッチフリクションプレートの厚みは3.5mm。使用限界値が何mmか分からない。

 

車体を戻す。アンダーガードが変形していて取付穴が合わず苦労する。ミッションオイルとクーラントを入れて完成。

 

始動させてみると、掛りが悪い。アクセルを開けながらじゃないと始動出来ないし、掛かってもアクセルを開けていないとアイドリングせずに止まってしまう。あれ?これって直ってないのでは?

プラグを見るとべったりと濡れている。けど煤けて真っ黒になっていないのでキャブセッティング不良でカブり気味という訳では無さそう。というとミッションオイル?クランクシール交換前と何も変わっていない。

クランクケースにミッションオイルが残っているのかな?と思い、アクセルを煽りながらしばらく走行していると、突然

「パアアアアアー!!」

とスロットル全開みたいにエンジン回転数が爆上がり!しかもキルスイッチ押してもエンジン止まらない!!燃料コックをオフにしてひたすらキルスイッチを押してなんとか停止した。自宅から3km先で。自宅まで3kmバイクを押して帰る。

作業前と何も変わってないじゃないか。クランクシール不良だと思ったのに原因が分からない。どうすんだよコレ?

 

 

 

今回の出費

クランクシール(クラッチ側) 4,290円

ウォーターポンプシール 869円

シフトレバー軸シール858円

キックアーム軸シール 770円

ケースガスケット(クラッチ側) 2,750円

クラッチカバーOリング 1,023円

送料 2,090円

 

計 12,650円

 

 

続く

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