シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

高尚な乗り物

娘と近くのショッピングセンターに出掛けた。「車が良い?自転車が良い?」と、僕が尋ねると、娘はしばし考えた末に「自転車!」と、答えた。大人なら、迷わず車を選択するだろうに。苦笑いを浮かべながら僕は、娘に麦藁帽子を被せ、自転車の後ろに乗せ、30℃を超える炎天下の中、自転車を走らせた。背中越しに娘ととりとめのない会話をしながら、僕はなるべく車が通らない細い路地裏を抜けていく。自転車に乗ると、車からは殺意に似た不快な意思を感じるからね。
車に乗る事は偉い事なのかな。大きな車や、大きなエンジンでハイパワーな車に乗る事は凄い事なのかな。それらを購入し、維持出来るだけの経済力が有る事を誇示したいから? でも、車って結局他力本願なんだよね。エンジンの力を借りなければ何も出来ないただの機械の塊でしかない。つまり、いくら凄くてもそれは乗っている人ではなくて、機械が凄いだけなんだよね。更に、その性能を見せしめる為には、周りに危険と不快な思いをさせなければならない。それに対して自転車はどう? 人の力だけで、どこまでも走るよ。バイクは車に対して、もっと潔い乗り物だと思ってた。でも、自転車は更にもっとプリミティブでありながら、また、とてもシンプルであり、でもそれ故に純粋で高尚なモノに思える。
バイクをやめて、自転車にしようか。そう思うのは、バイクのエンジンが壊れているからだけじゃない。