大きな声では言えないのだけれど、というよりも書いているのだから大きな文字では書けないといった方が良いのかもしれないけれど、そんな事はどっちでも良いんだけど、先日仕事中にホイスト(天井クレーン)に挟まれた。大きな声では言えないというのは、もし怪我でもして大事になれば労災扱いとなり、多くの人に多大な迷惑を掛けることになるからだ。実際にはちょっとした打撲程度だったので、死にそうになったと言うには大げさかもしれないけれど、でも一歩間違えれば死んでいたかもしれない。
ホイストの調子が悪く、やむを得ずホイストまでよじ登って不具合の原因を探っていた。危ないのは分かっていた。こういう死亡事故の事例を聞いたことが有るしなぁ。と、思っていたら、自分も建屋の鉄骨との間に挟まれた。幸い危険を感じていた為にインチング操作(押ボタンスイッチを小刻みにオン/オフ操作して微速動作させること)していたので、左ひざを打撲した程度で済んだのだけれど、あのまま走行させていたら左足を骨折していたかもしれない。運が悪ければ圧迫死していたかもしれないし、バランスを崩して転落死という事も充分有り得る訳で、左膝をさすりながら、あぁ、事故で死ぬ人ってこうやって死ぬんだ、と漠然と思った。
作業に問題が有るのは分かってる。人がホイストに乗った状態で動作させるのは、どういう理由であれ厳禁だ。だけど、「故障」ではなく、「不調」の原因を探るのはとても難しい。完全に壊れて全く動かない状態の方が原因が探しやすいのだけれど、「動かなくなる時が有る」というのは厄介で、止まる原因を探す為に、止まる瞬間を確認しなければいけない。ホイストの専門業者ならノウハウがあるから症状からある程度原因を特定できるかもしれないけれど、ほとんど素人みたいな僕は、実際に状況を確認しながら原因を探さなければ分からない。ホイストに限らず、機械の修理には動かしながら確認したり、電源を切ることが出来ない状態で修理しなければいけない状況が出てくる。そして、そういう本来ご法度であるはずの状況に慣れてしまう。僕は1年程前に両手を無くしかねない事故を起こしているというのに、だ。
以前、とある人に「そういうミスを犯すヤツは繰り返す」と言われたことがある。正にその通り、僕は繰り返している。打撲程度のことは良くあること。1年前の事故も打撲程度だった。だけど、それは単に運が良かっただけのこと。危ない事をしているという認識がありながら尚危ない事をしてしまう僕は、同じ事をまた繰り返すかもしれない。その時もまた幸運である保障なんて何処にも無いというのに。
五体満足で正月を迎えられるのは、運が良かったからだ。いや、まだ年末の仕事が残っているから、正月の事はまだ分からない。死にたくなければ、用心深いこと、臆病なこと、時には諦める事も大切だと思う。