エンジンを始動させると勝手にスロットル全開になる、というトラブルは解決した(今の所)ものの、今度はカブってアイドリングしない。何で?というのが前回まで。
アクセルを開けながらじゃないと始動出来ない。始動後もアクセルを煽っていないとエンストする。エアクリーナエレメントとエアクリーナーボックスのフタを外した状態でも変わらない。プラグを外すとベタベタで、しばらく放置しても乾かないからオイルっぽい。クランクシールの交換に失敗したのか、はたまた別の原因なのか。見当がつかず作業が進められないので、再びインシュレータの件を教えてくれたブログ主の方に泣きついてみた。
すると、
・クランクシールの不具合ではなさそう
・テクノのキャブはちょっとした事でカブりやすい
・2stオイルは1:80、良いオイルなら1:100でも良い
・一度カブったプラグはNG
・チャンバーが詰まって抜けが悪くてもカブ気味になる
など教えてくれた。
クランクシールを交換する前と後で全く症状が変わっていない事からも、どうもクランクシールが原因ではなさそうだ。燃調に問題が有るのか。どうしたものか全く見当がつかなかったけど、方向性は分かったので本当に助かった。
今まではBETAのサービスデータに基づいて混合比1:70でガソリンを作っていたけど、1:100にしてみた。新品のプラグに替えて始動してみたけど症状は変わらないし、白煙がもうもうと上がる。プラグもベタベタ。
何で?分からん。バイクの師匠Sさんに「プラグがカブる。何で?」と聞いてみたら、セッティングが濃過ぎるんじゃないの?と言う。エアーを吸った状態に合わせてジェットを上げてるんじゃないの、と。うーん、そんな事するかなぁと思いながらも燃調に問題が有るのは間違いなさそうなので調べる。
再びキャブをバラす。前回見落としていたけど、メインジェットはフロートチャンバーを固定しているボルトの先端についている。前回メインジェットだと思っていたのはニードルジェットホルダだった。
メインジェット。#88がついているけど、標準のジェットサイズが分からない。
スロージェットとスタータージェット。デロルトキャブの仕組みがイマイチ良く分かっていないんだけど、左上の隅に有るのがスタータージェットと呼ばれる物で、中央下がスロージェットみたい。スタータージェットは、多分パイロットジェットの様な役割をしているんじゃないかと思う。
外したジェット。
スターターJ(左) #100
NJH(中上) CF262
スローJ(中下) #58
メインJ(右) #88
各ジェットの動作範囲が良く分からないんだけど、スタータージェットが#100ってデカ過ぎじゃね? これ本当に標準のジェットなの? 何でメインジェットよりデカいんだよ。それにネットで調べた情報に対してメインジェットがやけに小さ過ぎる。まさかジェットがイジられているとは思ってなかったけど、バイクの師匠Sさんが言う様にこれは何らかの変更がされているのかもしれない。
このセッティングがまともなのかが分からないので、まずは1995年モデルの標準のセッティングが知りたい。が、パーツリストを見てもキャブASSYしか載っておらずジェットの番手が分からない。日本語のサイトを検索してもデータは得られず、海外のサイトからMJが#145程度、PJが#27.5程度の様(SJは分からない)なので、それに比べると随分とおかしい。こんなセッティングでまともに走れていたのか?
そこで、トライアル車の部品を多数扱っているトライアルワークス小坂に「BETAテクノ1995の標準のジェットが欲しいんだけど扱ってませんか?」と尋ねてみたんだけど、古過ぎて入手出来ないとの回答だった。
次にヤフオクで丁度1995のデロルトキャブが出品されていたので落札してみた。
ヤフオクで6,700円。キャブASSYでこの値段なら悪くはないかな、と思ったんだけど。
スロットルバルブとフロートチャンバは固着し、内部は劣化したガソリンで全部詰まってる。まぁそれは洗浄すれば良いとして、
スタータージェットが折損している。折れ込んだ部分は何とか抜けたけど使えない。しかも折損した先端部分にジェットの番手が刻印されているからジェットの大きさが分からない。
折れた先端は何処に行ったんだろ?と思ったらフロートチャンバーにはまっていた。汚れで完全に詰まっているけど、掃除すると何とか刻印が読み取れる。スタータージェットは#75の様。#75が標準なのかが分からないけど、そうそうイジる様な物でもないだろうから多分標準は#75じゃないか。
元のキャブのスタータージェットは#100だったので、このジェットが変更された事が不調の原因として一番疑わしい。
メインジェットは既設も入手した中古キャブも同じ#88。という事は、おそらく標準のメインジェットは#88なんだろう。ネットで調べたジェットの番手とはかなり違うけど、スタータージェットが物凄くデカいので各ジェットの働く範囲が僕が思っている様な仕組みではないのかもしれない。デロルト分からん過ぎる。
スタータージェットの先っぽはフロートチャンバの穴(画像左上)にハマる構造になっている。画像の中央上の穴からガソリンが流れる様。穴に汚れが溜まっているので掃除して戻す。
ヤフオクの中古キャブは汚れと固着が酷くてスロージェットが外せない。多分スローは標準から変更されていないだろうという希望的予測から組み戻して始動させてみる。ヤフオクキャブのスタータージャットも折損して使えないから、結局中古キャブからは何も使えない事になる。
パイロットスクリューを目一杯締め込んでもカブり気味でアイドリングしない。あと考えられるのはスタータージェットがデカ過ぎる事くらいか。
テクノの1995年式についているデロルト製のキャブの各ジェットを採寸する。PJと書いているけど実際はスタータージェットらしい。トライアルショップでは購入出来なかったけど、ヤフオクで「デロルト ジェット」で検索すると交換用のジェットが売っている。番手さえ分かれば標準状態に戻せそうだ。
とりあえずスタータージェットの#75を入手して確認してみる。
今回の出費
デロルトキャブ 6,732円
送料 910円
計 7,642円
安物買いの何とやらで、散々な目に遭っている。エンジンが掛かる車両と言うから基本的な整備で乗れると思ったのに、何でこんなに苦労しなきゃならないんだ。
ベータテクノは1996年モデル以降ミクニのキャブに変更されている。ミクニのキャブASSYが手に入ればこんな苦労する事も無いんだけど、中古キャブが売っていないしこれ以上金掛けたくないし、と言いながらも随分と余計な金を掛けた。
標準ジェットが手に入らないかトライアルワークス小坂に尋ねてみたけど、不躾なお願いにも関わらずとても丁寧な対応をしてもらえた。何か買う時はトライアルワークス小坂で買おうと思った。
続く
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