穏やかな週末。
僕は山ではなく、ハシゴに登っていた。
別に良い天気だからとか、良い景色が見たいからとか、軽く運動がてらとか、そんな理由で登ってんじゃない。コーキングだ。
先日布団を干していたら台風で屋根が飛んでしまっているのに気付いた。あぁ修理しなきゃ。でも保険が使えるから業者に直してもらえば良いや。って思ってたんだけどね。後日また布団を干そうと思ったら、サイディングのコーキングが劣化してボロボロになってるのに気付いた。なんだよ。布団干すとロクな事が無い。
サイディングというのは家の壁材。最近はトタンとかじゃなくて綺麗に装飾された石膏ボードみたいな物を使うケースが大半だと思う。そのボードの継目をコーキングでシールしてある。そのシール材が経年で劣化した。
サイディングの継目のシールが劣化してる。ひび割れて下地が見える。このまま放置すると雨水が侵入して家屋を傷めそうだ。
まぁ薄々は予感してたんだけど。大体築10年過ぎると補修を検討しましょうね、というのがリフォーム会社の見解らしい。まぁ10年は早過ぎるとは思うけど、早めに対処すれば軽い補修で済むから費用も抑えられますよという意味も有るんだろう。ウチは築17年。そろそろ補修しなきゃいけない時期というのも仕方が無い。
そうは言っても補修の費用がいくら掛かるかなんて考えただけでも恐ろしい。仮にサイディングはそのままで目地のシールだけやり直すとしても、家中の目地を補修しようと思ったら3人掛かりで2日位は必要なんじゃないだろうか。諸々の諸費用含めて一人当たり4~5万円とすると、作業費だけで30万円掛かる計算になる。高所作業も有るから作業するに当たり家の周りに足場を組む必要がある。足場のレンタル費用がいくらかわかんないけど、組み立て半日、撤去に半日、レンタル2日として40万円位は必要になるのかな。それにプラスして材料費諸々でトータル100万円。この際だから塗装もしておいた方が良いですよ的な提案をされて、もう数百万円単位の作業になるんじゃないかと予測。
じゃあ、自分でやろう。道具も必要になるし、ある程度のノウハウも必要だろうけど、コーキング打つだけなら自分でやってやれない事じゃない。ネットでも詳細を解説してくれているサイトが有る。
これは非常に参考になる。専用のコーキングの選定、プライマーが必要、マスキングは乾く前に剥がす等、素人が疑問に思う事や躓くであろう個所が細かく解説されてる。サイトを参考に、必要な物を購入する。
コーキング セメダイン POSシールLM
プライマー セメダイン MP-1000
コーキングガン ちょっと良いやつ
プライマー塗布用刷毛
マスキングテープ
仕上げ用ヘラ
サイディング用のコーキングは品揃えが豊富なホームセンターでなければ置いてないし値段も高いけど、後々を考えると専用の物を使用したい。コーキングガンは既に持っているんだけど、大量に処理するなら扱いやすいガンを用意しておいた方が良い。でも凝った物は重くなるし(満タンのコーキングをセットすると更に重い)、不安定な高所作業で重い物を使い続けるのも酷なので、扱いやすさと重量のバランスが気になる所。仕上げ用のヘラは500円くらいするのでちょっと躊躇ったけど、専用のヘラはやっぱり扱いやすくて綺麗に仕上げ出来る。
材料はともかく、素人は足場が用意出来ない。なので梯子を買う。先日も屋根に登る時に連梯子有ると良いのになぁ、って思ってたんだけど、まさか本当に買う事になるとは思いもしなかった。しかしある程度の高さまで登れる連梯子は、縮めた状態でも4m位の長さが有る。そんな物、僕の車では運べない。ネットで買うか?ホームセンターのレンタルトラックを借りるか?って考えてたんだけど、そういえば僕の車でも運べる手段が有った。
ルーフキャリアに載せてしまえば良いんだ。自転車用に買ったのに、まさか梯子載せるとは思いもしなかった。車よりも長い梯子を積むマーチはシュールだけど、ルーフキャリアが思わぬ所で役に立った。長尺物に限らずボックスを固定すれば大量の荷物を運べるし、結構便利だな。
買ってきた連梯子を掛けて処理する。全体的にやろうと思ったんだけど上部の白い部分はそれ程劣化が進んでいないので後から上塗りで仮補修するとして、劣化が酷いレンガ色部分を優先的に処理していく。古いシールをカッターで取り除き、プライマーを塗布し、マスキングする。
コーキングを打ち、ヘラで仕上げ、マスキングテープを剥がす。コーキングのカラーはダークアンバー。紹介しているサイトに有る通り、マスキングテープは巻き取りながら剥がすと処理しやすい。適当に剥がすと乾いていないコーキングでベタベタになって大変な事になる。
ん?素人がやった割には結構マシじゃね?どうせ他人の家の目地なんか誰も見ないだろ。大体4m位処理するのにコーキング1本位使った。コーキングは割と沢山使うけど、思いのほかマスキングテープが減らない。プライマーは1缶2280円と結構な金額だったけど、1缶有れば足りそう。半日で西の壁面(4本)処理出来た。あとは南面。日差しが良く当たる部分は劣化が激しい。晴れた日しか作業出来ないのが恨めしい。
費用
連梯子 ハセガワ HC2-7 17236円
コーキング セメダイン POSシールLM @645円×8
プライマー セメダイン MP-1000 2280円
コーキングガン ちょっと良いやつ 665円
プライマー塗布用刷毛 220円
マスキングテープ @195円×3
仕上げ用ヘラ 498円
カッター替刃 188円
計 26832円
梯子はネットでざっと見たけどネットでも大して安くなかった。これだけの長尺物だと送料がかなり掛かりそう。コーキングは色が数種類有るのでサイディングに合わせて選定したいけど、コーキング単体では色合いが分からない。ダークアンバーは思ったよりも濃く、グレーは思った以上に薄い。事前に色見本で確認しておいた方が良い。とりあえず劣化が著しい所を処理して8本使った。少なくとも10本以上は必要だろうと思っていたけど、思いのほか少なくて済んだ。カッターの刃はそれ程傷まなかった。コンクリートみたいなサイディングだと傷みが早いかもしれない。
高所作業は慣れてないと怖い。僕の感覚だと6m辺りを越えると急激に怖くなる。連梯子は上部に行けば行くほど不安定になるのでしっかり安定させる必要が有る。
梯子以外にも、軒に乗って作業する時にハーネスとロープが役に立ったり、安全の為にヘルメット被ったり、山の道具も何かと重宝した。
連梯子は保管が困る。かなりの長尺物だから保管場所に困るというのもあるけど、安易に触れる場所に有ると泥棒に入ってくれと言っている様なもの。梯子と脚立はカギを掛けて保管してる。
伝統工芸品を造るとか、アスリート並みの結果を出すとか、そんな極端な物事でなければ世の中の大抵の作業は自分でやってやれない事は無い。ただ、それをやろうとする気力に加えて、専用の機械や道具が必要だったり細かなノウハウが必要だったりして、費用と時間と仕上がり具合を考えたら割に合わないというだけで。
自宅の庭先に木枠を組んでテラスを作ったり、トイレの貯水タンクからの水漏れ直したり、エアコンを取り付けてガス入れたり、通常は業者に依頼する様な事も自分でやってきた。仕事柄も有るだろうけど、この程度の作業なら出来るという目途が立つから業者に頼まなくても自分で出来なくはない。でも、だからといって業者に頼む事がムダだとか、業者は高いとは思わない。むしろ自分で苦労して作業する分、それなりの費用が掛かる事は納得出来る。でも逆に、「プロでこの程度の仕事なのかよ?」って思う事だってある。頼む側は素人だ。多少手を抜いたって、失敗を誤魔化したって大抵の人は分かりはしない。
サイディングのコーキングもそう。10~20年に1回の補修ならリピーターは望めない。例えば5年程度持てば、その頃には誤魔化せてしまう。必要最低限もしくは手を抜いて最低限以下の作業をするのか、手順通りにきちんと手堅い作業をするのか。何の義理も無い一回コッキリの客に対してどれだけ丁寧に誠実に作業してくれるかは業者次第で、それは営業マンの愛想とかでは分からない。口コミにしても、施工後数年スパンで見なければ良し悪しは判断出来ないし、素人でそこまで判断出来るかどうかも分からない。だからリフォームの選定は難しい。
サイディングのコーキングは思ったよりも簡単に出来た。これならとりあえず酷い所だけやっても良いし、失敗してもまたやり直せるし、自分でやればムダが無くて良いかもしれない。連梯子を使っての作業は危ないし、普通壁面には固定出来る様な物も無いのでこういう作業に慣れていない人にはお勧めしないけど。