地球では「恋愛」がどんなに素晴らしいか、若い女はセックスをしてその末に人間を生産することがどんなに素敵なことか、力をこめて宣伝している。地球星人が繁殖するためにこの仕組みを作りあげたのだろう。私はどうやって生き延びればいいのだろう。
★★★★☆
レビュー
著者の「コンビニ人間」が芥川賞を受賞した頃はTVや雑誌、ネットなど様々なメディアで見掛けて、なかなかに個性的な人でどんな文章を書くのか興味があった。「コンビニ人間」を読みたかったんだけど貸出中で当分読めそうも無く、でもこの本は有ったので読んでみた。
想像に違わずいきなり突っ込んでくる。恋愛の意義、結婚の意義、セックスの意義、既成概念に対するアンチテーゼ。それら現代社会の問題や矛盾を「異星人」と「魔法少女」という肩書で浮き彫りにしていく。どういう展開になるんだろう?何処を落とし所にするんだろう?って読み進めると、想像の斜め上の更にかなり上の方だった。
小説とはいえ綺麗事で済まさない辺り中盤まではかなり面白くて、これなら「コンビニ人間」買って読んでも良いかなって思ったんだけど、衝撃のラストを読んでちょっと躊躇いが。いや、芥川賞作品なら大丈夫か?