シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

イタい小説

小説の中の「僕」は、未成年のくせして30も半ばの僕よりも大人な言動をして、30も半ばなのに小説の中の「僕」ごときにヘコんだりもするし、彼女の方はといえば男性から見た理想的な彼女とでも言うか、小説の中にでも出てきそうな彼女というか、実際に小説の中の彼女なんだけれど、そんなバカな。と、思いつつも読み進めてしまうのは、その2人の関係の危うさというか情けなさというか、互いにとても惹かれあっているにも関わらず自信が持てずに傷つけてしまうその情けなさっぷりは僕にも思い当たるフシが有るというか、あいたた・・なんだか読むのがイタい。そのクヨクヨっぷりは正に僕自身?
何でこんな僕のことが好きなんだ? そんな事を尋ねるのはナンセンスだって事くらい分かってる。アナタの○○が好き、なのではなくて、その人が好きなのだから答えようが無い。だけど、自分に自身が持てず、相手の好意に対してさえ疑心暗鬼になってしまった経験は僕にもある。恋愛事だけじゃなく、就職し、結婚し、子を持ち、家を建て、一家の主となった今でさえ、僕は自分に自信が持てずに居る。それでも僕なりに誠実に生きてきたのだから、少なからず自信を持ってもいいものがあるはずだと小さな自信を積み重ね、やっと人並みの自信を持った頃に全く違う性格の、全く違う生き方をする人を目の当たりにして、その小さな自信はあっけなく崩れてしまう。他人と比べること、しかも自分と全く異なる人と比べることが無意味なのは頭では理解できても、はいそうですか。と、簡単に自信が湧くはずもない。
根拠の無い自信なんて張子の虎の様なもので、仮に人を上手く誤魔化せたとしても、自分自身は誤魔化せない。僕のこの自信の無さっぷりは、多分そうやって今まで安易な選択肢を選んだり、避けたりしてきた結果じゃないかと思う。自信を持つには僕なりに1つ1つ積み上げていくしかないのだろうけど、それは遅々として進展しない小説よりも時間が掛かりそうだ。