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目指すのはジャンガリアンな生き様

BETA テクノ(1995) クランクシール交換(3)

 

 

 

 

保安部品の取付けと配線まで終えたけど、エンジンを始動させると勝手にスロットル全開になる。どうやらクランクシールが悪いみたいで、ジェネレータ側のシールを交換してみたけどまだダメだった、というのが前回まで。

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仕方が無いのでクラッチ側もクランクシールを交換する。

クラッチ側はミッションオイルが入っているのでカバーを開けるとオイルが抜けてしまう。せっかく新品のオイルに交換したのに抜く。

 

クラッチカバーを開けてクラッチ板を外す。カバーのガスケットはOリングの様。

 

外したクラッチ板。初めて分解する機械なので戻す事を考慮して写真を多めに撮っておく。薄いワッシャが入っているので無くさない様にする。

 

スラストベアリングが入っているので外しておく。クラッチのハウジングを固定しているセンターナットを外す。ナットを緩めようとしても一緒に回転してしまって緩められない。ギヤを1速に入れてインパクトレンチで緩める。レンチのソケットは22mm。なかなか緩まなくて、コンプレッサーのエアが5、6回無くなるくらいトライしてやっと緩んだ。

 

 

外したクラッチ1式。センター部分のスラストベアリングの他、クラッチのプッシュロッド(センターナット部分の貫通穴に入っている)とボールも無くさない様に。

 

ナットが緩んだので外そうかと思ったらアンダーガードと干渉して外せない。ジェネレータ側は干渉しなかったのでアンダーガードは触らなかったけど、クラッチ側は当たる。アンダーガードも外す。

 

クラッチの軸部にカラーが入っている。無くさない様に外しておく。

問題のクランクシールは左奥に見えるギヤの裏側に有るはず。って事はウォーターポンプも外さないといけない。という事は交換したクーラントも抜かないといけない。全部裏目

 

ウォーターポンプのインペラ(羽)と軸の嵌め合いがズレてる。何だよこれ。冷却水を送っているだけだからインペラがズレる程の負荷が掛かるとは思えないんだけど。

 

クーラントを抜いてウォーターポンプを外し、ケースを外す。クランクエンド端のボルトは24mmのソケット。これも回転してしまって緩められないのでインパクトレンチを使う。かなりのトルクで締めてありそうだけど、こちらは3回くらいで緩んだ。20年位前に買った安物のインパクトレンチで、もう10年以上は使ってなかったんじゃないかと思うんだけどこんな所で大活躍。インパクトレンチが無いと作業出来ない。

ボルトは緩んだけど、ローター(ウィト?)が外せない。プーリー抜きも掛けられないので、側面の穴を使って専用工具で引き抜くしかなさそうだ。こちらは大して難しい構造ではないので採寸してプーラーを自作する。

 

クラッチ側のクランクシールを交換するには、ここまで分解しなければいけない。ミッションオイルもクーラントも抜かなければならないし、これはちょっと本腰を入れて整備をした方が良いんじゃないか。というのも、クランクシールの他に

ウォーターポンプ軸シール

キックアーム軸シール

シフト軸シール

もタイミング的に絶対交換した方が良いし、

クランクケースガスケット、クラッチカバーOリングも再使用が出来ないレベル。トライアルショップのミタニに尋ねてみたら部品が買えるとの事だったので、これら1式を購入して交換する。クランクシールもクラッチ側の交換は大変なので純正品を使う事にする(かなり高い)。届いたシールを見て、汎用シールでも代用出来るのか調べてみたいと思う。

ちなみに、

キックアーム軸シールのサイズは、16.24.5

シフト軸シールは、12.22.5

ネットで探すとシフトのシールはヤマハ用で出てくるのでベータの純正品でなくても買う事が出来そう。キックアーム軸シールはサイズが汎用ではない様でピッタリのサイズが出てこない。まぁでも何とかなりそう。クランクシール以外は純正部品でもベラボーな金額では無いので、純正が買えるなら純正でも良いかも。っていうかクランクシールって何であんなに高いんだ?

 

部品が届いたら作業を再開する。あまり間を空けると分解した手順を忘れてしまうので早めに戻したい。

結局エンジンまで触らなきゃいけなくなって、覚悟はしていたもののオークションの「エンジン掛かります」はほんとにアテにならない。まぁエンジンが掛かる、っていうのは嘘ではないか。掛かるけどまともに乗れないだけで。

 

 

続く

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ベータ・テクノに関する過去記事

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BETA テクノ(1995) クランクシール交換(2)

 

 

 

 

保安部品の取付けと配線まで終えたけど、エンジンを始動させると勝手にスロットル全開になる。どうやらクランクシールが悪いみたいだ、というのが前回まで。

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分解用のツールと交換するシールが入ったので作業を進める。

 

特殊工具のフライホイールエキストラクタ。ジェネレータのローターを外す為の工具。以前スズキDR800Sの整備の際に特殊工具を自作した事があるんだけど、利用したナットのサイズがデカくて特殊で結構高かったので自作してもあまりうまみが無かった。だから素直に工具を買ったんだけど、後から調べるとM30P1.5のネジは千円前後で売っている。それ位なら自作すれば良かった。今はネットで何でも買えるから便利だよね。

 

とはいえ割と工具の精度が良い。トライアルショップで普通に売っているって事は使用頻度も高いという事だろうから、まぁ買っておいても悪くは無いかも。ベータ以外にもシェルコでも使えるみたい。ブレーキもそうだけどトライアルバイクって意外にメーカーを超えて共通のパーツとか互換が多かったりする。国産ならメーカーどころか車種毎にバラバラな印象だけど。

 

工具を使用しても抜き取りが結構固い。何とか抜けた。ローターを外すとコイルが出てくる。コイルの奥に問題のクランクシールが有るのでコイルも外す。プラスネジなので整備性が悪い。ネジを替えてしまいたいけど、下手に替えるとローターと干渉するかもしれない。

あと、コイルのベースの取付穴が長穴になってる。取付位置が変わるとピックアップコイルの位置も変わってしまうので特性が変わる? 外す前にマーキングして位置が変わらない様にしておく。

 

コイル外れた。問題のクランクシールが出てきた。

 

ちなみにコイルにもDUCATIのロゴが入ってる。

 

埃にまみれているけど、外観上で良否は分からない。

 

フォークシール交換の時には役に立たなかった自作のシールピッカーがこんな所で役に立った。シールは金属製の芯材が入っているのでタッピングビスをそのまま押し込んでも食い込まない。千枚通しで小さな穴を空けて、そこにねじ込んだ後に打撃で抜き取る。上手く行くか心配だったけど、比較的簡単に抜けた。

 

クランクシールを抜いた後の、クランクケースとクランク軸部。クランク軸にシールの跡が有る。シール不良を起こす程は摩耗していない。と思いたい。

クラッチ側はミッションオイルが有るけど、ジェネレータ側は完全にドライ状態。高回転で回転するし、それでシールのリップは損傷しないのかな。

 

外したシール(右)と用意した新品のシール(左)。シールは純正部品が今でも買えるのか、何処から買えるのかが分からなかったので汎用のオイルシールを買っている。

 

シールのサイズは普通に規格品の様で25.40.7。内径φ25、外径φ40、厚み7で一般的なシールのサイズ。オイルシールならNOK製が良いかなと思ったけど、古いシールは茶色っぽいのでKOYO製の方が良かったかもしれない。汎用シールが問題無く使えるのか分からないけど、ゴム系の製品は国産の方が性能高そうだし、とりあえず1個500円前後で買えるので失敗してもあまり痛手では無い。ただこれは個人的に自己責任でやっている事なので、国産の汎用シールでも問題無く使えますよ、と言っている訳じゃないし、まだ走れていないのでどの程度使えるのかも全く分からない。なので汎用シールを使うのはお勧めしない。

 

組付けはすんなり出来た。ジェネレータ側のシール交換は工具さえあれば比較的簡単で短時間で出来る。

が、エンジン始動させてみると、アクセルを煽らないと始動出来ない、掛かるとパァー!と回転が急激に上がった後ですぐにストールする。やっぱりクラッチ側も交換しなきゃダメっぽい。クラッチ側は面倒くさそうなので腰が重い。

 

 

今回の出費

フライホイールエキスタラクタ BTFWP 6,050円

送料 760円

オイルシール TC25407  1,252円

送料 550円

計 8,612円

 

 

続く

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BETA テクノ(1995) クランクシール交換(1)

 

 

 

 

保安部品の取付けと配線まで終えたけど、エンジンを始動させると勝手にスロットル全開になる、というのが前回まで。

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エンジンの掛りは悪くない。始動後はアイドリングもちゃんとしている。が、始動後1分くらい経過すると勝手にスロットル全開みたいに回転が猛烈に上がってしまう。異常時でもスロットルに手ごたえはあるのでスロットルの異常ではなさそう。インシュレータ(キャブ~シリンダ間のゴム製の継手)が劣化して二次空気を吸っているのかと疑ったけど、インシュレータも悪そうな感じはしない。

 

悪そうな所といえば、キャブレター上のスロットルワイヤーの取出し部分についているゴムキャップが劣化して割れている。

 

ゴムキャップを補修するにはスロットルワイヤーを外す必要がある。再度バラす。

 

ゴム系接着剤で補修する。

 

が、ミタニスポーツで部品売ってた。ついでにスロットルワイヤーも購入。純正のスロットルワイヤーはどういう訳か調整ネジが無い。だからスロットルの遊び調整が出来ない。ミタニスポーツのスロットルワイヤーは調整ネジが有るし、ステンレスワイヤーだし、この際交換する。

 

スロットルワイヤとゴムキャップを交換。

 

が、症状変わらない。バイクの師匠Sさんに相談すると「クランクシールじゃね?」と言う。なにそれ聞いた事が無い部品だな。

2stエンジンはクランクシャフトの左右端にシールが有って、クランクケースの気密を保つ構造になっている。そう言われれば、2stエンジンはクランクケースを使って1次圧縮しているから気密を保つ必要がある。4stエンジンのクランクケースは大気開放されているからクランクシールは無い。そのシール部分からエアを吸うとエンジンが勝手に高回転になるという。古い2stエンジンではよるあるトラブルみたいだけど、ヤマハDT200、スズキTS200R、ホンダCRM250では経験していない。いつも4stエンジンばかり触っていたのでそんな所にシールが有るなんて知らなかった。

で、バイクの師匠Sさんに「どうやって修理したんですか?」と尋ねると、しばらくしたら直った、と言う。修理するのも面倒なので勝手に直らないかな。エンジンを掛け、高回転になったら止める、というのを数回繰り返していたら、高回転まで回らない様になった。が、今度はアイドリングしなくなった。絶えずスロットルを煽っていないとエンストしてしまう。

 

 

チャンバーの継目から真っ黒な未燃焼オイルの様な物が飛散する。

 

プラグを見るとオイルでべっとり。どうやらクラッチ側のクランクシールからミッションオイルを吸ってしまうみたいだ。

ジェネレータ側にはオイルが入ってないので、ジェネレータ側のクランクシールが悪くなるとエンジン回転が上がり、クラッチ側のクランクシールが悪くなるとミッションオイルを吸って燃焼不良を起こす様。

丁度車屋さんと話す機会が有ったので現状を相談していたら、「エンジンが掛かるならそのうち直るんじゃないか」と楽観的な事を言う。Sさんといい車屋さんといい楽観的だなぁ。でも修理が面倒だし金も掛かるので何とか勝手に直らないかとエンジンを掛けスロットルを煽りながらエンストしない状態を保持していたんだけど、「パン!パン!」とめちゃくちゃ煩い。近所迷惑なので仕方なく近所をグルグルと走りながら様子を見ることにする。

しばらくするとアイドリングの不安定さが無くなった!と思ったら今度は全開状態に!走行中に

「パアアアァーン!!」

っていきなり猛烈な音を立てながらスロットル全開状態になるのは流石にビビる。クラッチを切ってキルスイッチでエンジンを止めようとするも、なかなか止まらない。エンジン焼付くかと思った。走行中に、混入したミッションオイルが燃えきって、今度はエアーを吸ったんだろう。ヤバい。こんな恐ろしくリスキーな状態ではとても乗ってられない。2stエンジンではよく有るトラブルらしいけど、走行中に勝手にスロットル全開になるなんて恐ろし過ぎるだろ。

 

仕方がない。やりたくないけどバラすしかない。とりあえずオイルが出てこないジェネレータ側から開けてみる。ボルト3本外すだけで簡単に外せる。液体ガスケットが少し残っているだけでガスケット類はついていない。これが正規の状態なのかも分からない。

 

フライホイールに刻印がある。みるとDUCATIドゥカティ)と書いてある。え?BETAのエンジンってドゥカティ製なの?いやでも2stエンジンのドゥカティなんて無いよな。

いや、そんな事よりもどうやってフライホイール外すんだ?緩めようとしてもクランクが回ってしまって緩められない。フライホイールに穴が有るから特殊工具を作るか?でも面倒臭い。

 

インパクトレンチを使ったら簡単に緩んだ。ちなみにセンターのナットは2面幅24mmで正ネジ。

 

ナットが緩んだのは良いけどフライホイールが外せない。フライホイール側にもネジが切ってあるので、これはフライホイールを外す特殊工具が必要みたいだ。M30P1.5のボルトが有れば作れるけどそんな物は無いので買うしかないかな。

 

 

続きの作業は特殊工具とシールを購入後。

BETAの整備につきっきりで他の事が何も出来ない。いつまで修理すれば良いんだ。

 

 

 

今回の出費

スロットルワイヤ   2,750円

シール キャップ ケーブル 660円

送料 990円

計 4,400円

 

 

続く

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