恩人の命令は、思いがけないものだった。
不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。
そこへ弁護士が現れ、依頼人に従うなら釈放すると提案があった。
心当たりはないが話に乗り、依頼人の待つ場所へ向かうと伯母だという女性が待っていて玲斗に命令する。
「あなたにしてもらいたいこと、それはクスノキの番人です」と。
そのクスノキには不思議な言伝えがあった。
★★★☆☆
レビュー
願い事が叶うというクスノキの番人になった男の話。どういう展開になるのか興味がわいたので読んでみた。
ミステリーというよりはヒューマンドラマ的な内容が大半。クスノキの秘密にしても、東野圭吾だから2段3段仕掛けてくるだろうと思っていたら、意外に拍子抜けした。
ミステリーに有りがちな神経を逆なでする様な凄惨な描写とか、嫌悪する様な人物描写とかはほとんど無く、意外にも良い人しか出てこない。そういう点では読みやすいけど、もっと何か仕掛けてくるだろうと身構えていただけにちょっと物足りなかった。ヒューマンドラマ的な展開も涙するほどではなくて、あまり残らなかった。