二十歳の夏、僕は一度も出会ったことのない女の子と再会した。架空の青春時代、架空の夏、架空の幼馴染。夏凪灯花は記憶改変技術によって僕の脳に植えつけられた“義憶”の中だけの存在であり、実在しない人物のはずだった。「君は、色んなことを忘れてるんだよ」と彼女は寂しげに笑う。「でもね、それは多分、忘れる必要があったからなの」これは恋の話だ。その恋は、出会う前から続いていて、始まる前に終わっていた。
★★★★☆
レビュー
サイエンス・フィクション・ミステリー・ロマンス。面白い。
読み始めて、何だこのベタな幼馴染設定は。エロゲーかよ。って興醒めしそうだったんだけど、それも伏線の1つなのか。どういう展開になるのか予想が出来ず、ついつい読み進めてしまう。設定と展開はとても面白かった。
反面、技術的側面と、人物の底の浅さが気になるところ。ネグレクト設定に救われている感も有るし、周囲の人物像も薄い印象。そういう点ではフィクション感がぬぐいきれなくて感情移入しにくいものの、それでも面白かった。
kindle買ったのに、結局紙の書籍読んでる。kindleが有効なのは、普段から継続的に本を買っている人で、吟味して吟味して結局買わないとか、図書館で何とか済まそうなどと考えている人(僕)にはあまり向いていない。いや、そのうち買うよ。多分。