シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

サバティカル  中村航

 

 

 

転職先への入社まで5カ月――。
ぽっかり空いた“人生における休暇"のあいだ、
僕は、新しい何かをはじめられるだろうか。

エンジニアとして無我夢中に働きつづけ、33歳で転職を決めた。
次の会社に入社する4月まで、「大人の夏休み」=「サバティカル
と決めた主人公の梶くんは、
自分に何ができるかを試すようにさまざまな「宿題」を課していく。

プロジェクト管理ツール「トレロ」を使いながら「宿題」を片付けていく
梶くんだったが、新たな課題として引き受けたのは、
元彼女との思い出の場所で知り合った将棋の師匠が生き別れたという娘の消息だった。
「人探し」という意外な展開に戸惑いつつも、最後の「宿題」は
意外なほどに順調に進むのだが……。

『リレキショ』『夏休み』から『100回泣くこと』まで、
青春小説の王道を紡いできた著者が初めて描く、
本当に手に入れたいものをさがす大人たちの夏休み。
転職が当たり前の世代に送る新しい時代の青春&恋愛小説。

★★★★☆

 

レビュー

中村航の作風が好きで良く読んでる。本作は過去の作品を今風に合わせてブラッシュアップさせた様な印象。転職のタイミングで余暇が出来た、やりたい事をリストアップした、そんな中で出会いが有って、というのは僕自身丁度転職をしたタイミングだったのでさほど違和感無く読めた。少々都合が良すぎる所も有るけど、些細な事を挙げ出したらきりがない。

何故、彼女と別れたのか。香奈さんとの関係はどうなるのか。救い様がない状態に報われた様な思わせぶりな展開をするのはリアリティを損ないかねないけど、読後感は悪くなかった。