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目指すのはジャンガリアンな生き様

転職と感傷

 

 

 

職場の同僚が辞めた。正確には、元同僚だけど。

小さな職場だ。5人の時もあれば3人の時もあった。入社以来20年以上この職場で働いてきた。彼が来たのは10年弱くらい前だろうか。中途で入社した経験者で、寡黙でNOとは言えない性格で、僕とよく似ていた。以来、ずっと一緒に仕事をしてきた。大変な仕事も嫌な顔をせず引き受けてくれて、随分と助けられた。

この春から組織変更が有って、僕の職場は4人から2人になった。あぶれた2人は他の職場へ異動になった。他の職場と言っても今までのスキルを活かしながら、というポジションではあったけど、穿った見方をすれば良い様に使われるポジションとも言える。以前相談した時は「(異動と)言われればやるしかないですよね」と言っていたけど、結局異動になってすぐに辞めてしまった。彼なりに色々と思う所が有ったんだろう。

今までも職場の人員の出入りは有った。減る時も有れば増える時も有って、その都度色々思うところも有ったけど、今回は何だかとても感傷的な気分になった。長い時間一緒に仕事をしてきたからだろうか、僕と似た性格だったからだろうか。こんなご時世だから新しい仕事も良い条件では見つけ難いだろうし、仕事を探しながらぼちぼちと現職を続けたら?と促してみたけど、知人から仕事を紹介してもらえるかもしれないからと辞める意思は変わらなかった。ならば引き留める理由も無い。

 昨年の夏ごろに僕も転職出来ないか考えた時が有った。仕事を続ける為のモチベーションって一体なんだろう?って冷静に考えた時に、

・納得出来るだけの給料

・自分がやりたいと思える仕事内容

・一緒に仕事をしたいと思える人間関係

の3点じゃないかと思った。その内のどれか1つだけでも満足出来れば続けられるし、そのいずれも当てはまらなければ続けたいとは思えない。終身雇用の世の中ではなくなったので、転職するのも悪くはない。この会社で働きたいと思えるだけのモチベーションを与えてあげらなかっただけだし、いつ誰が辞めても不思議ではないと思ってきた。仕事の内容、トラブルシュートの手順や考え方、復旧する為の段取りや手順、知識や経験、資格、それらは全て自分の武器になる。例えこの会社が無くなってしまったとしても、仕事を辞めたとしても、それらのスキルは自分のものになる。だから仕事の一つ一つは会社の為であると同時に自分を伸ばす機会でも有るから、ムダにしたり手を抜いたりしない様に。常々みんなにはそう言ってきた。

マネジメントは難しい。技術が優れていたり知識が豊富だったりする人は居るけど、マネジメントに関しては尊敬できるような人が周りには見当たらない。お手本が居ない。ロクでもない奴らばっかりだなって思いながらも、そんな中で何とか立ち回っていかないといけない。同じポジションに長く居過ぎたのかもしれない。特殊な職種だから替えが効かないのと、僕自身のスキルが他の職場では役に立たないから異動になり難くて社内での変化も期待できず、転職するには歳を取り過ぎた。ぬるま湯の様に変化に乏しくて、もっと色んな事を経験するべきだ。

彼が僕の職場に居る時に「辞めます」って言わなかった事に少しだけ救われた気がしたのは、結局僕もロクでもない奴らの内の一人でしかないんだろう。せめて、彼が今までよりも良い環境で(金銭面だけではなく)働く事が出来たなら、と思う。どうか元気で。