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目指すのはジャンガリアンな生き様

発達障害者は多くの場合が詰むのではないか

 

 

追記 2023.05.08

サービスまでの手順が困難なのは、僕が独断で行っていたせいも有るかもしれない。先日計画相談員から貰ったチラシには、手順の一番最初が「役場の福祉課に相談する」となっていた。そこから状態を確認して必要な各手続きなどを行う事になる。

僕の場合はまず自力で心療内科で診察を受け、主治医と相談しながら今後の流れを決めていった。どちらが先でも行きつく所は同じなので、どうしたら良いのか何も分からない状態であれば、まず役場の福祉課に相談すると良いかと思う。

 

 

 

追記と修正 2023.04.20

【はじめに】

良い事態ではないので身内の事をネット上に曝すのは憚られるものの、今の世の中引き篭もりが増大していて、これはかなり深刻な問題なんじゃないかと思い公開することにした。社会復帰させるのは本人の努力や気力だけでどうにかなるものではない。周囲のサポートが不可欠になる。当事者となり思う所があったので、今までの経験を書き残しておく。

 

 

【おおまかな流れ】

1)発達障害に思い当たるか

ネットでも簡易的な自己診断のサイトが多数ある。ただ、簡単に自己判断出来る様なものではないので専門医に診察してもらった方が良い。

2)心療内科で受診する

心療内科で受診する。発達障害と診断されたなら次のステップへ。発達障害と診断されなくても、何らかの改善アドバイスは貰えるはずなので無駄ではない。

3)医療費控除の手続き

発達障害と診断さらると、市町村によっては医療費の控除が受けられる。継続して受診する必要が有るので控除できるならしておいた方が良い。

4)障碍者手帳の申請

症状が重い場合は障碍者手帳の申請をする。手帳を貰わなくても次のステップに進む事は可能。

5)福祉サービス受給者証の申請

支援サービスを受けるには受給者証が必要になる。役場で手続きする。

6)計画相談員の選定

支援施設を利用するには計画相談員をつける必要が有る。計画相談員と相談しながら、どの様な支援が必要か、その為にどこの施設のどんなサービスを受けるか、どれくらいの頻度で行うかなどを決める。ある意味一番の難関。

7)支援施設の選定

B型作業所など、支援施設を利用する手続きを行う。

 

在住の市町村によって異なるかもしれないし、僕自身専門家ではないので間違いも有るかもしれない。詳細は下記へ。

 

 

 

 

【支援までの流れ 詳細】

1)発達障害に思い当たるか

ネットでも簡易的な自己診断のサイトが多数ある。ただ、自己診断で該当しても受診したら非該当だったり、その逆も有り得る。そもそも発達障害は明確な症状ばかりではなくグレーゾーンがあるので主治医やカウンセラーの見方次第でいか様にも判断出来るし、発達障害に該当しなくても鬱や他の症状の場合も考えられる。まずは現状を改善したいかどうか、生き辛くはないかで考える。改善したいと思うなら、受診した方が良い。発達障害の場合、本人の努力だけでは解決できないからだ。

2)心療内科で受診する

受診するのが本人ではない場合(家族が障碍者を連れていく等)、受診に抵抗が有るかもしれない。ただ、放っておいても改善はされないし、発達障害ではない場合でも何らかの改善アドバイスや薬の処方は貰えるはずなので無駄ではない。

何処で受診するにも初診は予約が必要。診察に時間が掛かるからだ。素人の考えではあるけど、ある程度大きな診療所の方が良いと思う。規模が大きいという事は働く職員も多いので、作業が分業化されて作業密度が高くなるから。小さな個人の診療所だと診察からカウンセリング、各種手続きまで全て主治医が一人でやる事になるので、雑になったり抜けたりしかねない。発達障害の診断はとても時間が掛かる。主治医の問診のほか、カウセンラーによるチェックや問診など、診断が出るまでに数回の受診で数時間程度はかかる。逆に簡単にすぐ診断が出る様な医療機関は信頼性に欠ける。正しく診断し、それに対して適切な処置をしなければ改善されない。症状を正しく診断した上で、どの様に改善していくかを相談しながら進めていくので、診察が受けられたなら後は主治医の指示に従っていけば良い。ただ、診察後薬を処方されて放置、という場合は改善されない場合が有るので、その後の見通し(改善していくストーリーとスケジュール)を主治医に確認した方が良い。

難点は自分に合う医者を見つけるのが困難という事。ネットの口コミはアテにならないし、医者によって合う合わないも有る。周囲にお勧めの心療内科を知っている知人友人が居たら頼ろう。自分に合う医者に出会うのが最短の道のりだし、発達障害は継続して長期間(というかずっと)受診する必要があるので、合わないと思ったら医者を替える。自分に合わない所で我慢して頑張っても改善はしない。

3)医療控除の手続き

発達障害と診断されたら、自立支援医療費支給認定を申請する。市町村によって医療控除が受けられるというシステム。申請すると健康保険3割負担から、1割負担に軽減される。月に1回程度の診察なので3割負担でも大した金額ではないけど、治癒しないという事は継続して通院せねばならないので1割負担になるのは有難い。控除を受ける為には、かかり付け医の診断書、健康保険証を持って役場に行って手続きを行う必要が有る。市役所本庁の窓口に行かなければいけない(当然平日の昼間)、受付後書類が届くのは2週間後くらい、年1回更新手続きが有る。

4)障碍者手帳の申請

症状が重い場合は医療控除の申請と同時に障碍者手帳の申請も行う。これは主治医と相談して決める。うちの場合は様子見の状態で手帳までは申請していない為詳細までは把握していない。

5)福祉サービス受給者証の取得

就労継続支援B型施設(B型作業所/障碍者向けに単純作業などを斡旋して自立支援を促す)を利用するには福祉サービス受給者証が必要になる。先の医療控除を既に申請済みであれば後は印鑑だけで申請出来る。役場窓口まで本人が行く必要が有る(代理人だけではダメ)。これを取得する事で初めて様々な支援サービスを受ける事が出来る。B型作業所の他にデイケアサービス(手芸やレクリエーションなどを通じて他者とのコミュニケーションを促す)が有るけど、こちらは受給者証は要らなかったと思う。

6)計画相談員の選定

B型作業所を利用するには計画相談員を選定する必要がある。計画相談員が障碍者に対してどの様な支援を行っていくか計画を立ててくれる。が、基本、計画相談員は自分で探さないといけない。役場で計画相談員を抱えている施設一覧が貰えるので、そこに電話して対応してもらえるかを確認する。B型作業所によっては自社にケアマネを抱えている事業所も有る。そういう施設を利用する場合は、B型作業所と計画相談員が同じなので楽になる。計画相談員を持たない作業所を利用する場合は自力で探さないといけない。これが有る意味一番の難関。受診するのも各種手続きも自分で行動することで解決出来るけど、計画相談員の役割は自分では出来ない為、他人頼りになる。何処の施設も計画相談員は人員が乏しくてなかなか対応して貰えない為、これが決まらないと先に進めずに頓挫する。

7)支援施設の選定

運良く計画相談員をつける事が出来たら、計画相談員に相談して支援施設を決める。また、デイケアにしろB型作業所にしろ、自分がやりたい事、出来そうな事を自分で探しても良い。B型作業所で計画相談員を抱えている所も有るので、やりたい作業所からアプローチしても良い。それらの施設は市町村のサイトから検索も出来るけど、何だか超見難いサイトだったりするし、計画相談員が在中しているかまでは書いてなかった。アポを取ってまずは見学し、やれそうなら手続きをする。

規則正しく就労出来るほど症状が軽めで継続して働く事が出来れば、A型作業所(一般的な会社と同じく就業時間が決められている)で働いたり、障碍者雇用枠で一般企業に就職したりも出来る。まずはデイケアで様子見、多少でも働けるならB型作業所、B型で充分作業が可能だという実績を積んでA型へ移行、という様な流れが理想的。

 

ここまでの期間、2年以上掛かっている。短期間に解決したり改善したりするようなものではないし、焦って強行すると逆に悪化させるかもしれない。根気よく気長に付き合う必要が有る。

 

 

これらの手続きは、もちろん最初に「心療内科を受診する」必要がある。じゃないと診断書が貰えないから発達障害である、という証明も出来ない。だけどまず「心療内科を受診する」事が既に困難だ。その上これらの手続きがスムーズに行えるとはとても思えない。なんなら健常者でもまごつくレベルだ。

対象は「発達障碍者」だよ。ADHDにしろASDにしろ、それらの症状を抱えた人間が、自分1人でこれらの手続きが出来るとは到底思えない。そもそも発達障碍は遺伝するケースが多い印象なので(すみません完全な主観でソースはうちのn=1のみです)、そうすると周りの身内も発達障碍者もしくはグレーゾーンだったりすると身内でもフォロー出来ず本当に詰んでしまう。

せめて心療内科で診断されたら、そこから役場の手続き~ケアマネの選定~支援施設の斡旋、とひとつながりのサービスになっていたらまだ敷居が低くて済むのに。実際に自分でやってみると現状はシステムもリソースも(多分予算も)全然足りていなくて、サービスが受けられず支援の範疇からこぼれてしまっている人が相当数居るのではないかと思った。じゃあどうしたら良いのか?っていうのも正直よく分からない。なので、現状の経験と思った事を書き残しておく事にした。市町村によってサービスの対応や手順が異なるかもしれないけど、質問等あれば気軽に尋ねて欲しい。

福祉サービスに繋げるには、「情報の収集」と「行動力」が不可欠だ。そのどちらかが欠けてもサービスまで辿り着けない。そして発達障害の場合、そのどちらかが欠けてしまうケースが多いのではないか。子供はもちろんのこと、僕自身ですら今の心療内科でサービスを受ける道筋を教えてもらっていなければ自力で解決出来たか自信が無いし、「子供の為」という強い思いが無ければ何処かで頓挫していたかもしれない。だから一通りの流れを書いておいた。

 

 

 

 

 

以下は余談(うちのケース)

【経緯】

子供が発達障害ASD自閉症)だと分かった。19才の時で、大学に通えなくなった。通学していたのでちゃんと学校に通っているものだと思っていたら、学校には行くけど授業に出れなかった。運悪くコロナウイルスで緊急事態宣言になり通学出来なくなった事によって同級生と馴染むきっかけを失ってしまった。コミュニケーションが取れず、ボッチになった。その程度の事であれば割と良くあるケースで僕自身大学で馴染むのにかなり苦労した経験が有るけれど、発達障害のそれは健常者とはレベルが違う。先生方はとても協力的で子供を何とか復帰させようと親身に対応してくれたけど、どうしても馴染めず授業も出る事が出来ず結果退学する事になった。ちなみに子供の異変に気付いたのは上の子供で、Twitterの裏垢でかなり病んだ内容をツイートしている、と教えてくれたから。上の子供は学校でADHDASDに関してかじってた事から、何らかの発達障害を抱えているのではないかと教えてくれた。中学も高校もサボらず通っていたし部活にも励んでいたので、ほぼ成人になるまで表面上では気付けなかった。今思えば中学、高校は運良く友達に恵まれたんだと思う。

 

心療内科で受診】

学校の問題と並行して診断を受ける事にした。物忘れが多い事や注意散漫になりがちな様子から最初はADHD多動症)を疑ったんだけど、素人が判断出来る様な簡単なものではない。きちんとした医療機関できちんとした診察をして、その後適切な対応を取る必要が有る。その旨本人に丁寧に説明したら、受診する事に同意してくれた。

しかし心療内科なんて普段かかるものではないのでかかり付け医も無く、何処の医者に行けば良いのかが分からない。しかも予め予約が必要だし、仕事をしながらだと土曜日くらいしか行けないし、かなり面倒臭い。何処が良いのかさっぱり分からなかったので最初Googleの口コミ評価が高い所へ行ってみたら見事に外れた。素人の僕から見ても「それは無いだろう」という様な診察で、その程度の診察で判断したらほぼ全ての人が発達障害になってしまうだろ、という様な始末。しかも次の診察は翌月とかになるので、それだけですでに数ヵ月浪費した。結局奥さんの知り合いの口コミから良さそうな心療内科を教えてもらい、そこに通っている。ちゃんとした心療内科はちゃんと時間を掛けて丁寧な診察をしてくれる。先生の他にカウンセラーが居て症状の確認やケアをしてくれる。発達障害は症状や重度が人によって様々なので時間を掛けて綿密に診察しないと判断出来ない。

結果、うちの場合はADHDではなくASDの傾向があると診断された。発達障害は病気ではないので治癒出来ない。幸い重度ではないけど、本人の自主性に任せて自立出来るほどでもない。周りが自立支援していく必要がある。

・医療控除の手続き

心療内科の主治医から医療控除が受けられると説明を受けたので申請した。

 

・福祉サービス受給者証の取得

最初は心療内科に併設される施設でデイケアを利用した。手芸やレクリエーションなどのイベントをやっているので、好きなものを選んで参加する。必要なのは材料費数百円程度。

しばらくして、B型作業所で働く。その為には福祉サービス受給者証が必要なので手続きを行う。

・支援施設の選定

B型作業所は心療内科のすぐ近くにある作業所にした。作業所によって作業内容が異なる。うちの場合は内職程度の簡単な作業を行う。時給はとても安い。お金を稼ぐのが目的では無く、社会復帰のリハビリみたいなものだからだ。わりと頑張って通っていたけど、しばらくして通えなくなった。仕事が嫌なのではなく、仕事の担当者(計画相談員ではなく作業担当者)と折り合いが悪かった様だけど、なかなか自分から言わない子なので随分後になってからやっと理由が分かった。

今は別のB型作業所で働く為の準備をしているけど、計画相談員が見つからない。

・計画相談員の選定

最初に行ったB型作業所は作業所内に計画相談員が居たので、自分で計画相談員を探す必要が無かった。新たに通おうとしているB型作業所は計画相談員が居ないので、自分で計画相談員を探さないといけない。役場で貰った一覧に片っ端から電話を掛けているけど見つけられない。全然人員が足りていない様だ。

追記 2023.0613

計画相談員をみつけ、B型作業所に通所出来る所まできた。記事を書いてから2ヶ月経過している。何かにつけ時間が掛かるので気長に。

 

 

子供の自立支援だけでも大変なのに、親の介護支援もやらなきゃいけない様になって結構てんやわんやだった。数年経過した今でもバタバタしている。今でこそ奥さんも理解を示してくれるようになったけど、最初は子供の発達障害に対してもいぶかしんでいたので、僕がアクションを起こさなかったら本当に子供の人生が終わってしまう所だった。僕は昔から子供に対して穏やかに接してきたから、今回の件も診察も手続きも基本僕が担ってる。

家族だから無条件でフォローして貰えるとは限らない。発達障害の症状なんて「あなたは障碍」「あなたは健常」なんてはっきり区別出来るものではなく、僕自身人見知りや面倒臭がりな傾向が有って見方によれば発達障害の範疇になるかもしれない。そういう曖昧なもので、そしてそれは薬や努力で変えられるものでもない。そして身体的な問題では無く外見は健常者だから、発達障害の傾向が有るという様なグレーゾーンの範疇の場合、「どんくさい」「何で出来ないの?」「大事な事なのに何で忘れるの?」と叱責されてしまう。そんな事は本人が一番自覚しているし、頑張っても出来ないのに。いくら怒っても何の解決にもならないし、叱り続ける事で自尊心が損なわれて自己肯定感が著しく低くなる。自分に出来る事は誰でも出来るとは限らない。逆に誰かに出来る事が自分には出来ないかもしれない。発達障害はひとつの個性でしかない。周りで思い当たるケースが有ったら、どうか自分に出来る事で優しくフォローしてあげて欲しい。

引き篭もっていても自立出来ていれば構わないと思う。だけど単に引き篭もっているだけの状態だと、周りの身内に頼れなくなった時に生活が行き詰ってしまう。例えささやかであっても何とか自立出来る人が増えてくれたら良いと思う。