シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

プロジェクト・ヘイル・メアリー / アンディ・ウィアー

 

 

 

グレースは、真っ白い奇妙な部屋で、たった一人で目を覚ました。ロボットアームに看護されながらずいぶん長く寝ていたようで、自分の名前も思い出せなかったが、推測するに、どうやらここは地球ではないらしい……。断片的によみがえる記憶と科学知識から、彼は少しずつ真実を導き出す。ここは宇宙船〈ヘイル・メアリー〉号――。
ペトロヴァ問題と呼ばれる災禍によって、太陽エネルギーが指数関数的に減少、存亡の危機に瀕した人類は「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を発動。遠く宇宙に向けて最後の希望となる恒星間宇宙船を放った。

 

未知の地球外生命体アストロファージ――これこそが太陽エネルギーを食べて減少させ、地球の全生命を絶滅の危機に追いやっていたものの正体だった。
人類の英知を結集した「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の目的は、ほかの恒星が光量を減少させるなか、唯一アストロファージに感染していないタウ・セチに赴き、その理由を探し出すことだ。
そして、〈ヘイル・メアリー〉号の乗組員のなか、唯一タウ・セチ星系にたどり着いたグレースは、たったひとりでこの不可能ミッションに挑むことになるかと思えた。

★★★☆☆

 

レビュー

「火星の人」でも有名なアンディ・ウィアーのSF小説。映画化もされるらしい。そんな作品なので期待して読んでみたものの、何だかちょっと拍子抜けする。

例えば、太陽が弱りつつある原因とか、なぜ主人公は一人で宇宙船に乗っているのかとか、主人公は何処を目指して何をしようとしているのかとか、独りきりだと思われた主人公の意外な協力者とか、そういう設定は「おぉ!」と唸らされる。が、全てがプロット的で、謎、立ちふさがる困難、解決、が全て筋道立っているのでハラハラもドキドキもしない。

なんだろう、この既視感は。全てが予定調和的なこの感じ。水戸黄門とか暴れん坊将軍とかではなく・・・と考えて、あぁこれは「映画ドラえもん」だと思った。もっと殺伐として絶望的かつ破滅的で裏の裏をかく様な展開を期待してしまうのは心が汚れているからでしょうか。