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HONDA XR600R キャブレターの整備

 

 

キャブレターの整備をする。

先日ツーリングに出掛けた際、朝一の始動性が非常に悪かった。6月にもなれば気温は高めなので始動性は悪くないはずなのに15分~20分くらいキック蹴っていた。何とか掛かったけど始動後もアイドリングが安定しない。アイドルを上げると今度は高くなり過ぎる。下げると不安定になる。

そんな状態をバイクの師匠Sさんに相談していたら、「キャブが詰まってるんじゃないの?」と言われた。でも一通り掃除しているし「ジェット類は新品に替えて掃除もしましたよ」と答えると、「キャブ本体の細い経路が汚れで詰まっている事がある」と言う。確かにジェット類を交換してもキャブ本体の経路は変わらない。言われてみればスロー系やパイロット系は流路が細くて詰まりやすいし、それらの不調は始動性やアイドリングにも影響が出そうだ。Sさんは「古いキャブは掃除しても直らない事も有る。程度の良いキャブに替えてはどうか。」と言うけど、XR600Rの程度の良いキャブが出てくるとは思えないし、中古のキャブの場合外見が綺麗でも中の状態までは分からない。なので、とりあえず再度分解してとことん清掃してみる事にした。

 

 

キャブを取り外し、分解する。XRは整備性が良いしシングルキャブなので簡単に外せる。

 

疑わしいのはパイロットの経路。エアクリーナー側の下部に有る3ヵ所の内、真ん中の穴。スロットル全閉の時やチョークを引いた時に、この小さな穴から空気が流れ、パイロットスクリューで調整されたガソリンと混ざって燃焼室に送られる。これが詰まれば空気が通らないから、始動性の悪化やアイドリングが不安定になる。スロットルを開けると他の経路が働く様になるので、調子が良くなる。

真鍮製のオリフィス(絞り穴)が取り外せると作業しやすいんだけど、圧入してあるので外せない。パイロットのオリフィス径は他に比べてとても小さいので詰まりやすい。パイロット以外は結構大きな穴なので詰まりにくく、クリーナーを吹きかけてもちゃんと通る。

 

バイクの師匠Sさんが言うにはキャブクリーナーよりもエンジンコンディショナーの方が汚れを落としやすいとの事。手持ちで残りが有ったので、これをパイロットのオリフィスから注入する。穴が小さいのでなかなか入らない。逆噴射して目に入らない様に注意。

 

針金で突くとオリフィス径が変化しかねないのであまりやりたくはないけど、汚れが酷くて詰まっている場合はやむを得ない。0.5mmの針金はオリフィスを通らない。0.2mmの針金を差し込んで掃除するけど腰が無いのでなかなか入らない。

 

エンジンコンディショナーを吹込み、しばらくしてから針金で突き、パーツクリーナーで洗い流す、という工程を何度か繰り返す。そのうちエアカットバルブ(キャブ側面のカバー内)のポートから流れ出てくるようになった。ちゃんと通ったみたいだ。

 

腰が無い針金では掃除しにくいので、ノズル掃除用針金を買ってみた。

 

パイロットのオリフィスはφ0.3mmくらい。掃除用針金は腰が有るので途中で座屈する事無く突き当りまで入る。ちゃんとポートは通っているみたいだ。穴が小さいのは真鍮のオリフィス部分だけで、それ以降はそこそこ大きな穴が通っている。だからオリフィスが取り外せると綺麗に掃除出来るんだけど。

 

パーツクリーナーが勢いよく出る(ポートが通った)事を確認して、キャブを組み立てる。

 

バイクの師匠Sさんは「インシュレーターからの2次空気の吸込みも不調の原因になる」と言っていた。インシュレーターは劣化により表面に亀裂が生じていたので、以前念の為コーキングを塗ってる。中までは割れていないので大丈夫そうだけど、不安要素は省いておいた方が良いだろう。

 

インシュレーターとOリングを新品に交換して組み付ける。インシュレーターの矢印は取り外す時の目安。キャブを外す時はインシュレーター毎外し、インシュレーターを矢印方向に90度回すと簡単に脱着できる。すこぶる整備性が良い。

 

タンク後部を留めているバンドが切れてしまったので、これも交換。走行中にタンクが暴れても困る。

数年掃除をサボってたエアーフィルターも洗浄しておく。塗布されている古いオイルを洗剤で洗って乾燥させた後、オイル(ギヤオイル#80~90)を全体的に薄く塗布する。専用の洗剤やオイルも売っている。社外品で乾式フィルターも売っているのでダート走行比率が低い人は乾式の方が手軽で良いかもね。

 

戻しました。

一見綺麗な車両でも、長年放置されたバイクは当然キャブの詰まりが有るだろう。スロー系やパイロット系は特に詰まりやすいので、アイドリングや低開度で調子が悪い場合は掃除が必要。僕のXRも幾度は掃除しているけど、掃除し切れていなかったかもしれない。

 

 

始動してみるとキック2回で掛かった。アイドリングも安定している。試運転でちょっと走ってみただけなので、パイロットスクリューも基準値から触っていない。後日しっかり検証してみる。

冬場の始動や低速での不安定さで今まで散々苦労してきたけど、原因はこのパイロット経路の詰まりだったのかもしれない。パイロットはアクセル全閉やチョークを引いた状態の時に効く回路だから、始動性やアイドルに大きく影響するので、今までの不調と合致する。今までの苦労は何だったのか?と思わなくもないけど、まだ確定した訳では無いのでしばらく検証してみる。この程度の整備で直ってくれた方が有難いけど。


今回の出費
16211-MN1-671 INSULATOR,CARBURETOR 3,595円
91301-MK4-601 OーRING,SPECIAL 606円
17516-MN1-670 BAND,RR.TANK 1,306円

送料 850円

総計 6,357円

webのパーツリストで選定し、多摩部品販売で購入。タンクのバンドなど小物もまだ純正部品が供給されるので大変有難い。

 

 

 

今までの経緯、XR600R関連の記事はこちら

singlesmile.hatenadiary.jp