先日キャブレターを整備したばかりだけど、もう一度開けてみる。
やれる事はやったつもりだけど、先日乗ったホンダTLR200の始動性が抜群に良かった。ゆるりとキックを踏み下ろすだけで1発始動する。軽い車体と相まってヒルクライムの途中でも再スタート出来た。XRのキックが重いのは仕方がないとして、本来はあれ位始動性が良いはずだし、あれ位始動性が良ければもっと楽に走れる。
前回も念入りに掃除しているので、ただ闇雲にやっても変わらないだろう。基本に返ってもう一度構造を把握して、怪しい個所を重点的に確認清掃する。
始動性やアイドリング付近はスロー系になる。黄矢印のSJ(スロージェット/ジェットは取り外した状態)が影響する範囲。SJから送られたガソリンは青矢印のPS(パイロットスクリュー)で流量を調整してエンジンに送られる。赤矢印のMJ(メインジェット)はアクセルを大きく開けた時に影響する範囲なので今回は確認する程度。MJはかなり大きな穴なので、余程酷い状態でなければ詰まることはない。
キャブのメインボアのエンジン側。SJから供給される穴、PSから供給される穴が見える。比較的小さい穴なのでクリーナー等を使って掃除する。
今回念入りに観察してみて気付いたんだけど、SJの穴は、SJのホルダから直接貫通していない(キャブ底から覗いても穴が見えない)。汚れで詰まっている訳ではなさそう。SJからのガソリンは一旦PSを通ってから、この黄矢印の穴に出てくる。なので、SJはアイドリング付近でも大きく影響する。
あと、側面に有る穴(赤矢印のACV)はエアカットバルブのダイヤフラムを動作させる為の穴で、エアカットバルブに貫通している。
メインボアのエアクリーナー側。スローに関係するエアジェットが2つある。ACV1、ACV2共にエアカットバルブに通じている。経路はそこそこ大きな穴が空いているけど、矢印部分のオリフィス(エアージェット)はかなり小さな穴なので、クリーナー等を用いて念入りに掃除しておく。
先のACV1、ACV2のエア経路は、エアカットバルブに繋がっている。ここが少しややこしいんだけど、通常はエアカットバルブは開いているので、ACV1、ACV2共にエアーが流れて、黄矢印のSJへ送られて、SJからガソリンを吸い上げる。SJから吸い上げられたガソリンは、SJとPSの穴からエンジンに送られる。
エアカットバルブのダイヤフラムを組んだ所。通常はスプリングでダイヤフラムを押さえていて、ダイヤフラム先端の突起でACV2のチェック弁を押しているから、ACV2からエアーが流れる。エンジン回転数が高い状態からスロットルを全閉にする(エンジンブレーキを掛けた状態)と、画像赤矢印のポートから強い負圧が発生してダイヤフラムを引っ張る。スプリングの張力よりも負圧の力が勝るとダイヤフラムが手前側に動いてACV2のエア経路を閉じる。そうする事でACV1の経路しか働かなくなり、空燃比が薄くなり過ぎるのを防ぐ仕組み。
大層な仕組みっぽい印象を受けるけど、ダイヤフラムが損傷したりしてエアカットバルブが動作しなくても始動性には影響しなさそうだ。通常はエアカットバルブは開いた状態だから。
各部を清掃、確認して戻す。フロートを組む時に油面高さも確認したけど正常だった(規定値14.5mm)。
組んだ後始動させてみると、アイドリングが上がった。元々ストールを嫌って上げ気味にしていたからかもしれない。相変わらずPSの効きは悪い。PSの規定値は全閉から2回転開けだけど、全閉から開けてすぐから変化が見られない。普通はPSの開け加減によってアイドリングの回転が上下するものだけど、変化しない。
バイクの師匠Sさんから、サイドカバーを外してみてはどうかとアドバイスをもらった。エアクリーナーボックスの吸気口についている整流ダクトが無いので、吸気に渦が生じて低回転域で不安定になる事が有る様。なので、いっそのこと大きく空けてしまえば渦が生じないという事らしい。アイドル状態でサイドカバーを外し、エアクリーナーボックスをオープンにした状態でPSを触ると、微妙に変化する。大きくは変化しないけど、大体PS2回転開け付近が最高回転になる印象。Sさんは、いっその事エアクリの上を切り抜いてしまえば良い、モトクロッサーはエアクリの上は解放になってる、と言う。とは言え開けてしまうと戻せなくなるのと、当然セッティングもやり直しになるのでちょっと様子をみる。
エンジンが掛かってしまえば調子は良い。低回転からもアクセルのツキは良い。始動性が悪いのは点火系の影響なのか燃調の影響なのか、いまだに釈然としない。
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