気温が低くなると始動性が著しく悪くなる。点火系の不調を疑って色々やってみたけど解決しない。時間に余裕が出来たので、重い腰を上げてオーバーホールする。
前回は、ヘッド回りを分解して確認まで。
今までの経緯、XR600R関連の記事はこちら
分解時に折れてしまったヘッドカバー固定ボルトを処理する。折れ込んだボルトのセンターに穴を空けて取り除き、タップでさらえる。折れたボルトがM6で細いので、真ん中に穴を空けるのが至難。車屋さんに行ってボール盤を借りて空けたけど、シリンダーブロックまで分解する予定じゃなかったので、シリンダーブロックに折れ込んだボルトは手抜きしてハンドドリルで空けた。
バルブ周りを掃除して、バルブシートの摺り合わせをして組み戻す。RFVCなのでバルブが放射状に伸びている。既に30年近く経過している車両なので、バルブステムシールの交換は必須。シールだけじゃなく、分解するなら、カムのベアリング、カムチェーン、カムチェーンテナショナーのスライダーとか、ありとあらゆる物を交換しておきたいけど金が無い。走行距離は25000km程でそれほど消耗していないので我慢する。
燃焼室とバルブを掃除して戻す。綺麗な丸い燃焼室と、燃焼室ギリギリサイズの大きなバルブ。機能美。
ヘッドガスケットは新品に交換してシリンダーヘッドを戻して
カムシャフトを戻す。クランクの合いマークを合わせた状態で、カムスプロケットの合いマークを水平にした状態がカムの正規位置になる。念の為分解する前にマーキングしておいたので分かりやすい。カムチェーンテンショナーを緩めながらカムチェーンとスプロケットを組まないとけいないので少々テクニカルだけど、カムチェーンテンショナーの穴に六角レンチ等の適当な棒を突っ込んで緩めてやると作業しやすい。
カムチェーンの伸びも確認しておきたかったんだけど、サービスマニュアルを見ても伸びの限界値や計測方法が見当たらないのと、どうせ交換出来ないので諦めた。
ヘッドカバーを外したついでに、デコンプのシールを交換しておく。ヘッドカバー内のピン(矢印)を引っこ抜くと、デコンプのシャフトが抜ける。
デンコンプのシールを交換しておく。シール自体は300円程度で交換も難しくはないけど、交換するにはヘッドカバーを外さないといけない。このシールも30年モノだからカバーを開けたなら交換しておくべきだろう。
タペットカバーのOリングも交換しようと思ったんだけど、意外に高かった(408円×4個)のと後からでも交換できるので買わなかった。
ヘッドカバーを固定する。が、固定ボルトの長さがまちまちで厄介。マーキングせずに分解してしまったので、何処がどのボルトなのか分からない。ボルトを差し込みながら、ボルトの突出具合が均等になる様にする。なお、圧縮上死点じゃないとカムシャフトがバルブで持ち上げられるのでヘッドカバーが浮いてしまう。
ヘッドカバーを固定したら、タペット調整する。以前もやったけど、分解しているし、バルブの摺り合わせもしているので調整が必要。
折れたボルトの新品が届いたので締結する。センターが微妙にズレて渋い個所もあるけど何とか締めれた。良かった。
組み上げ。
丁度冷え込んだ朝だったので始動性テストには都合が良い。が、キックしても掛からない。プスリとも言わず掛かる気配がない。オートデコンプをキャンセルしたのに、キックの踏み応えが弱い気がする。という事は圧縮漏れしているのかもしれない。これでは何が良くて何が悪かったのか判断出来ないので、中途半端な作業をせずシリンダーまで完全に分解して整備するべきだった。
もしかして組立ミスかもしれない。始動性はともかく、とりあえずエンジンが掛かるかどうかは確認しておきたい。穏やかな天気の日の午後にテストすると、キック5回位で始動出来た。多分気温12~14℃くらいじゃないかと思う。とりあえず、気温が2桁有れば何とか掛かりそうだけど、気温が低いと掛からないというのはやっぱり何かがおかしい。作業が中途半端だったせいで、原因は機械的要因なのか、電気的要因なのか、それとも燃調のセッティング不良なのか、判断がつかないままになってしまった。ただ、シリンダー(ピストンリング)に問題が有れば、ピストンがもっと汚れると思う。そうするとセッティング不良なのかもしれない。
追記
今頃思い出した。そういえば、以前乗っていた1988年式のXR600Rも納車直後はかなり不調だった。低回転が不安定で、信号待ちや右折時にエンストする事が有った。色々調べて、原因はダクトキャップ(エアクリーナーボックスの吸気口についている整流ダクト)が無い事に気付いた。ダクトキャップを購入して付けた後は、見違えるように安定した。
で、今回のXRもダクトキャップが無かったのでコレが原因っぽいので購入して付けようと思ったんだけど、既に欠品で入手出来なかった。というのをすっかり忘れていた。ダクトキャップを外すのはハイパフォーマンス化の手法としてホンダも指示しているので、これだけ不安定なのはセッティング不良なのかもしれない。ただ、どうせ600ccのエンジンなどフルスロットルに出来ないので、ハイパフォーマンス化よりは低速域での扱いやすさの方が有効で、ダクトキャップが欲しい。
今回の出費
91202-MG3-003 OIL,SEAL(デコンプ) @308円×1個
91301-MK4-601 O-RING(インシュレータ) 606円×1個
12209-MN1-671 SEAL,VALVE STEM @460円×4個
90544-KF0-000 WASHER,SAELING(ロッカーアームシャフト) @157円×4個
12391-MG2-790 GASKET,HEAD COVER 2,822円×1個
12251-MN1-671 GASKET,CYLINDET HEAD 2,268円×1個
90544-439-930 PACKING(オイル配管) 136円×4個
部品代総計 9,016円
送料 850円
総計 9,866円
追加(折損したヘッドカバーボルト)
90025-MK4-600 BOLT FLANGE 6×115 341円×1個
96001-0603200 BOLT FLANGE 6×32 53円×1個
96001-0606500 BOLT FLANGE 6×65 64円×2個
部品代合計 522円
送料 200円
総計 722円
TOTAL 10,588円
パーツはwebで部品番号を調べて、ネットで発注しています。