シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

終の車

 

 

 

いきさつ(軽自動車への乗り替え)

少し前から、奥さんが「軽自動車に替えようかな」と言い出した。

 

我が家の車事情は、

メインカーはフォードのフィエスタ(mk7)。奥さんの好みで選んだ物で、主に奥さんが乗る。家族で乗る時もこれ。1.0LターボのAT(DCT)車。

 

僕が乗るフォードのKa。ほぼ通勤のみ。僕が独りで登山などに出掛ける際もこれ。ただ、子供たちと出掛ける時は使わない。2ドアは不便だから。家族はMT車を運転出来ないから僕しか乗れない。ただ運転はめちゃくちゃ楽しい。

 

子供が乗るダイハツのミラ・ジーノ。子供が出掛ける時はもちろん、僕が休日に子供と出掛けたり迎えに行ったりするのにも使う。子供は長距離を乗らないから性能維持の為に動かしたいというのもある。何だかんだいって軽の4ドアは便利だ。

 

最近は家族全員で乗る機会も少ないから、それなら別に軽自動車で良いんじゃないか、という事らしい。とは言えフィエスタはメインカーとして残した方が良いだろう。別に飽きた訳ではないらしいし、車検を通したばかりだし、10万kmを越えた中古の外車など下取りの価値も無い。経済的な理由だけなら乗り潰した方が良い。軽自動車に替えるなら、まずはフォードKaだ。

ただ、Kaは購入してまだ1年しか経っていない。地道に不具合を潰してきたのに1年で替えてしまうのはあまりに効率が悪いしもったいない。それでもどうせ替えるなら早い方が良い。4月になると税金が掛かってくるから、遅くとも3月までには入替たい。

次の車の選定は悩まむまでもない。軽自動車縛りなら軽トラだ。今でもほとんど僕しか乗らない、それで何ら支障が無い、という実績が有るから2人しか乗れない軽トラでも問題にならない。奥さんは「軽トラ!?そんなので通勤大丈夫?」と唖然としていたけど。

 

 

 

 

軽トラック考

数年前から軽トラが流行り出した。農家とか業務用ではなく、個人がプライベートで使う為に軽トラを買う。アウトドアブームと相性が良いというのも有るだろうし、また海外でも軽トラは人気の様だ。軽トラは古くても機能的には問題にならないからなかなか値落ちしない。ブームにより更に値落ちしなくなるのは買う側からしたら迷惑だ。ただ「セミキャブ」には注目されなかったのは好都合だった。

 

 

フルキャブとセミキャブ

軽トラには「フルキャブ」と「セミキャブ」が有る。興味が無い人にはみんな同じに見えるだろうけど、構造が違う。

フルキャブ:フルキャブオーバー。前輪の真上に運転席が有る構造。

セミキャブ:セミキャブオーバー。前輪のやや後方に運転席が有る構造。

※「キャブオーバー」は正確には座席(キャビン)がエンジンの上(オーバー)に有る構造の事をさす。軽トラの場合、メーカーや年式によってエンジン搭載位置が様々なので正確にはキャブオーバーとは言えない物もあるけど、正確な言い回しをするととても面倒なので便宜上「前輪の上」の事をキャブオーバーと言っている。

 

古い軽トラ(1998年以前)は全てフルキャブ構造だった。1998年に軽自動車規格が変更され車体寸法が拡大されたのを機に、各メーカーは軽トラをフルモデルチェンジさせた。中でもスズキ、ホンダ、三菱は前輪を車体前端ギリギリまで押しやった「セミキャブ」構造で売り出したけど、一過性のもので今現在セミキャブ構造の軽トラは販売されていない。

セミキャブ構造にする事で、操縦安定性、ハンドリング、乗り心地、安全性が向上した。代わりに、小回りが効かなくなり、荷台が若干狭くなるという弊害があった。セミキャブは車としては正常進化だったはずなのに、ユーザーには物凄く不評でスズキとホンダは早々にフルキャブに戻してしまった。三菱だけは自社生産している限りはセミキャブ構造を貫いたけど、それはセミキャブに拘ったというよりフルキャブに戻すだけの余力が無かったからじゃないかと思う。

セミキャブが酷評された理由は、ユーザーの用途には合わなかったからだ。軽トラの主なユーザーは農家、林業水産業、あとは工務店や配送業もあるだろうけど、大体こんな所じゃないかと思う。自宅から数km先の田んぼに行くのに、鹿や猪くらいしか出会わない山奥の林道を進むのに、操安性や安全性は重視されない。ユーザーが求めているのは荷車であって快適な乗用車ではない。求められる機能は、なるべく小回りが効き、なるべく沢山荷物が積めて、丈夫で壊れなくて、価格や維持費が安い事。つまりセミキャブは大半のユーザーには合わない構造だった。

だけど、ほとんど舗装路しか走らない僕にはセミキャブの軽トラの方が良い。フルキャブの小回り性能は重要じゃない。現に軽バンや軽ワゴンは各メーカー共セミキャブ構造になっている。一般的な道路を走る分にはセミキャブの方が適している。でもセミキャブの軽トラはもう新車では販売されていない。入手するには中古車しかない。

 

 

メーカー

まずセミキャブ構造でスズキ、ホンダ、三菱に絞られる。ダイハツとスバルは元々セミキャブ構造の軽トラは造っていない。加えて、どうせなら四駆が欲しい。軽トラは車体が軽い上に空荷だと更に後輪に荷重が掛かり難く、路面の状況によってはかなり不安定になる。雪道など滑りやすい状況だと真っすぐ走るのも大変だ。四駆だとそれらの欠点を補ってくれる。

スズキは販売台数が多いので中古車の玉数も桁違いに多い。選ぶのには困らない代わりに人気が高くて値段が高い。ボロボロなのに高い。スズキで四駆でエアコン付きで程度が良い車両となると、もう新古車を買った方が良いんじゃないかという価格になる。ホンダと三菱はスズキと比べると数は少ないけど、セミキャブも探せばそこそこ有る。価格もそこそこ。なのでホンダか三菱に絞られる。

興味が無い人には軽トラなんてみんな同じに見えるだろうけど、一口に軽トラと言ってもメーカーによって構造が全く違う。ホンダはMR(ミッドシップエンジン/リヤ駆動)にビスカスカップリングの四駆構造。荷台のやや後ろ寄りにエンジンが搭載されていて、通常は後輪駆動で走行し、後輪がスリップすると前輪にも駆動が掛かる仕組み。なのでドライバーが二駆/四駆の切換えをする必要は無い。

対して三菱はオーソドックスなパートタイム四駆構造。エンジンは運転席下に有って通常はFR(フロントエンジン/リヤ駆動)で走行し、ドライバーがスイッチ操作する事で二駆/四駆を切り替える。切換え操作が面倒だけど、もう1つ高速と低速を切り替えるトランスファーが備わるので悪路では半クラッチを使わなくても這う様なスピードで走る事が出来る。

普段使いするなら前後輪の荷重配分も優れているホンダの四駆に分がある。路面状況が変化する場面でいちいち二駆/四駆を切り替えなくても良いという点もメリット。ただ、ホンダのセミキャブで四駆でエアコン装備で状態が良い車両が無い。そんな折にかなり程度の良い三菱ミニキャブトラック(5MT/四駆/エアコン付)が出てきた。

これならKaを手放しても良いかもしれない、と思った。これが僕の終の車(ついの車/人生最後の所有車)かもしれない。腑に落ちる気がした。

 

ちなみに購入する前に行きつけの車屋さんに軽トラのメーカー毎の傾向を聞いてみた。

ホンダは当たり外れが有る印象で、当りの個体だと大したトラブルもなく走るそう。軽ならスズキ推しかと思いきや意外にも三菱が良いと言っていた。パジェロミニのミッションが故障したので、駆動系が同じミニキャブトラックも同様のトラブルに見舞われる可能性がありそうだから悩んでいたけど、それならもう一度三菱に乗ってみるか。

 

 

 

三菱ミニキャブトラック

そんな訳で僕の元に来た三菱の軽トラック。運転してみて気付いた事が有る。

 

 

 

 

 

めちゃくちゃ乗り心地が悪い

 

 

いや、軽トラだから当たり前だろって思うかもしれないけど、僕だって以前軽トラに10年乗っていたし、今でも時々乗る事が有るから軽トラがどんな物かくらい分かっている。それでも想像よりももっと悪かったし、短時間の運転では分からなかった。自分が運転する車で酔いそうになったのは初めてだ。これは多分セミキャブ構造の影響じゃないかと思う。何だこりゃ、逆に乗り心地悪いじゃないか。

 

 

この記事を読んで「自分も軽トラを買おう」なんて思う人は居ないと思うけど、余程セミキャブに拘りが無い限りは「極力新しい主要なメーカーの軽トラ」を買う事をお勧めする。